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初心者キャンパーの異世界転生 スキル[キャンプ]でなんとか生きていきます。  作者: 奈輝
1年限りの自由時間。

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君はやはり……

お待たせしました~




「この地図が正しければ、たぶんこの家かな?」


ラグナはとある人物に会う為に、王都の防壁の外にポツンと建てられている家に訪れていた。


「すみません~。どなたかいらっしゃいませんか~?」


だいぶガタが来ているドアをノックしても反応無し。


声を出して呼びかけても反応無し。


留守なのだろうか……?


ラグナがもう一度声を掛けようとしたその時。


ダッダッダッと、家の中から階段を急いで登っている様な音がした。


そして勢いよく玄関のドアが開くと人が飛び出して来た。


中から出てきた20代前半の青年と目が合う。


そしてその青年の第一声。


「伏せろぉぉぉー!!」


青年はそう叫ぶと、地面へと華麗なヘッドスライディング。


ラグナも慌てて地面へと伏せると、ガタガタと地鳴りと共に物凄い暴風が室内から玄関の扉を通り外へと吹き出してきた。


「だぁぁぁー!!」


玄関から飛び出してきた青年は、ヘッドスライディングした場所が悪かったのか暴風が直撃。


ゴロゴロと転がりながら吹き飛ばされていた。


「ぺっ!ぺっ!」


対してラグナは砂埃が少し口の中に入ってしまい、少しシャリシャリする程度で済んだ。


「うー、いきなりヒドい目に遭った。とりあえずさっきの人は大丈夫かな?」


ゴロゴロと吹き飛んでいった青年の元へとラグナは駆けつける。


「大丈夫ですかー?」


「いつつ、あ、あぁ、大丈夫だ。」


多少の擦り傷は有るみたいだが、そこまで酷い怪我はしてなさそうだった。


転がっている青年にラグナは手を伸ばすと、青年はラグナの手を取り立ち上がる。


「いきなりビックリさせてすまねぇな。坊主こそ怪我はしてねぇか?」


「はい、大丈夫です。それよりもさっきのあれは……?」


「あー、あれか?まー……実験失敗ってやつだな。それよりもこんな人気のない所までどうした?俺になんか用か?」


「失礼ですがアヤト・サトウさんですか?」


「そうだが……坊主は?」


見ず知らずの子供に自分の名前を呼ばれた事にアヤトは警戒する。


『こんな子供が俺に何の用だ?』


ラグナは背負っていた背嚢からホバーシューズを取り出すと、アヤトの目の前で履き替える。


「それは……」


以前自分が作った魔道具を目の前の子供が背嚢から取り出した事に驚くアヤト。


『確かヒノハバラの魔道具屋から、俺の作った魔道具が数点売れたとは聞いていたが……』


魔力消費型の出力重視の魔道具。


あまりにも莫大な魔力を必要とする欠点を解消する事が出来なかった。


『もしかしてクレームか!?』


わざわざ自分の所まで魔道具を持ってきて、クレームやら返金しろやら言われるんじゃないだろうかと、アヤトは更に警戒感をあげる。


「よっと。」


ラグナは掛け声と共に魔道具を起動。


「なっ!?」


作者であるアヤトの目の前で自由自在に動き回る姿を見せた。


『嘘だろ!?あの魔力バカ食いの魔道具を平然と使いこなしてるのか!?』


自分で作ってはみたものの、あまりにも莫大な魔力を必要とするので自分自身での稼働実験も短時間しか出来なかった作品。


それが目の前で少年が完璧に扱い、自由自在に動き回っている。


「お前、それだけ動き回って魔力は大丈夫なのか!?」


普通の人間なら、とっくに魔力欠乏症状に襲われてダウンしている。


「大丈夫ですよ!まだまだ余裕です!」


そう言いながら先ほど地面に置いた背嚢の下へと向かうと、中からもう一つの魔道具を取り出す。


「それはダッシュメイルじゃねぇーか!」


まさか、こんな子供が自分の作品を2つも所持しているとは思わなかった。


すると目の前の少年はそのままダッシュメイルも装着し、2つの魔道具を起動させると超高速ホバー移動を始めていた。


「嘘だろ!?2つも起動させたまま動けるのか!?むしろこの動きって……」


超高速でホバー移動するラグナをジッと見つめるアヤト。


そして……


「くっくっ、あーっははは!そうか、この2つを使えば再現出来るよな!全くその考えは無かったぞ!」


ジッとラグナの事を見ていた青年が突如として爆笑し始めた事に驚いたラグナは、青年の元に移動する。


『今この人再現って言ったよな。』


アヤトが発した再現という言葉。


やはり……


「あーっははは!ダメだ。もうその動き、まるでド○じゃねぇか!あー、笑いすぎて腹がいてぇ!」


『やっぱり!?』


ラグナは確信する。


この青年。


日本人だ!


「急に笑ってすまねぇな、あー腹いてぇ!」


「大丈夫ですよ。やっぱりこの動きってまるで黒い○連星で有名な○ムに見えますよね!」


「お前もそう思うか!?この動きはどうみて……」


アヤトがそう言っている途中で動きを止めた。


『まさか……』


アヤトは目の前にいる少年をジッと見る。


そして……


「まさか、お前……日本を知ってるのか……?」


アヤトはラグナから一歩だけ離れると、恐る恐る質問する。


「知ってるというか……元日本人ですよ。やっぱりアヤトさんもでしょ?」


元日本人だと平然と答えた少年に驚きつつも返事をする。


「……あぁ、俺は日本人だ。」


ラグナとアヤト。


元日本人と日本人は異世界で運命的な出会いをするのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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