今後の予定は。
最新話お待たせしました。
「誰もいないよな……?」
周囲を警戒しながら陸地へと上がっていく。
「ふぅ……ここはどこだろう?」
目の前には砂浜を囲むように深い森が広がっていた。
数時間は水中を泳いでいたと思うから結構離れた場所だとは思うけど……
収納からタオルを取り出すと身体を拭いて、新しい服に着替える。
そして近くにある少し高めの木によじ登る。
「よっこいしょっと……どれど……!?」
ラグナは慌てて木から飛び降りた。
「まじかよ。こんな場所に湖だか海があるなんて聞いたこと無いぞ。でもまぁ……だから人の気配が無かったのか。まさかこんな所に……」
少し高めの木に昇り見えた景色。
深い森の奥には草原が広がっており、さらに遠くに見えるのは立派な城壁と学園と思しき建物。
さらに奥には王城が夕日に照らされて輝いて見えていた。
「でも……この場所なら、すぐ誰かに見つかるって心配は無いか。」
ラグナが辿り着いた場所は、学園の上級生などが演習時に使うと聞いたことがある草原の更に奥に広がる深い森の先。
流石にこんな緊急時に、暢気に演習なんてやらないと思う。
「はぁぁ……」
正直今すぐにでもこの国から逃げてしまいたい気持ちが強い……
でも……どうしても妹や子供達の姿が脳裏にチラついてしまい、無事なのかだけでも知りたい。
そんな事を考えているとぐぅっと腹が鳴った。
「とりあえず飯を食べてから考えるか。」
収納から、何気なく弁当を取り出して広げると一口。
口の中に懐かしい味が広がる。
「母さん……」
思わず目から涙が零れ落ちる。
腹が空いたからと収納から取り出した食事は母さんの手料理。
しかも、初めてナルタに向かうときに収納した弁当の一部。
以前、創造神様やマリオン様達と母さんの手料理を食べたけどまだまだ大量に収納されていた。
収納から取り出したお弁当は、まだ温かい……
必死に零れ落ちる涙を堪えながら弁当を食べ進めていく。
ワイルドボアの肉の肉団子の味付けにアウトドアスパイスが使われていて本当に美味しい。
噛むと口の中で肉汁がじゅわっと広がって行く。
それに野菜炒め。
どれも母さんがよく作ってくれた味付けだった……
「父さん、母さん……2人共どこにいるの……?」
2人が無事なのか……
何もわからない。
食事を終える頃には既に周囲は薄暗くなっていた。
砂浜で寝っ転がると星を見上げる。
「俺……何してるんだろ……」
ただの辺境の子供だった筈が、気がつけば貴族になって……
王にも謁見して。
そして最後は守護の女神の神殿から異端認定されて異端者か……
「もういいや……妹や子供達の無事が確認出来たら……こんな国をすぐに出よう……」
フィリスの顔や同級生達の顔がチラつくけど……
もうこの国には居たくない。
この国を出るとして、どこに行くべきか……
・剣神国エーミルダ 両親の生まれ故郷
・海神国シーカリオン マリオン様を崇める国。商人の国。そしてあの謎の声の女性がいると思われる国。
・救済国家ミラージュ 宗教国家
・深緑の森アルテリオン エルフが住まう深緑の森に包まれた国。
・鍛冶の国ガッデス ドワーフが住む鍛冶の国。 鍛冶が有名。
学園の授業でもさらっとでしか紹介されてなかったからな。
この中で真っ先に除外されるのは救済国家ミラージュだ。
自分達は神々に選ばれし特別な存在であるとか言っているみたいだし。
出来る限り宗教には関わりたくない。
正直な所、悩むのはこの2国だな……
エーミルダかシーカリオン……
まぁエーミルダは両親の国と言っても、あの2人の本名って知らないんだよなぁ。
だから実家がわからない……
それにわかったとしても……
俺は2人の血のつながった子供じゃない……
だからきっと喜ばれるのはメイガの方だろうな。
「はぁ……」
ため息しか出てこない。
創造神様、どうせならちゃんとあの2人の子供としてこの世界に転生したかったよ……
だから行くとしたらシーカリオン一択。
「マリオン様の神殿もそうだけど、あの時助けてくれた声の主の場所でも行ってみるか……それにイルマもシーカリオンの学園に通っているし……イルマの両親の遺品……渡さなきゃな……」
月明かりを頼りに木に登る。
そして目を閉じて深呼吸。
ゆっくりと目を開けると2冊の本がふよふよと浮いていた。
そのうちの1冊に手を伸ばして発動する。
「キャンプスキル発動。」
ラグナが手に取った魔道書が光り輝くのだった。
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
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