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慰霊碑と出発と。

長らくお待たせしました。




パチパチ。


パチパチ。


キャンプファイヤーの火を見ながら、時折火葬炉の状態を確認すること数時間。


真っ暗だった空は日が昇って明るくなっていた。


ラグナは一睡もすることなく朝を迎える。


「そろそろかな。」


火葬炉上部から激しく燃え盛っていた炎の姿は既に無く、うっすらと煙だけが出ていた。


後は封をするだけ。


「すいません。ビリー様、マルク様は起きてらっしゃいますでしょうか?」


ラグナは兵士達の野営地へ向かうと、警備をしている兵士に声を掛ける。


「はっ!ラグナ様が来られた場合はすぐに通すように命令されております!案内致しますので、どうぞこちらへ。」


ラグナ様と呼ばれた事にピクッと反応してしまうがなんとか我慢して、そのまま兵士の後ろを続いて歩いていく。


「失礼します。ラグナ様がお越しになられました。」


案内された天幕の中にはビリーさんやマルクさんだけでなく、昨日は居なかった文官らしき人達が必死に書物に書き込んでいた。


「おはようと言うのは変だね。お疲れ様。」


「ありがとうございます。ビリーさん達もずっと仕事ですか?」


「ずっと現場に居たからね。仕方ないさ。それよりも何かあったのかい?」


「そろそろ火葬が終わるので皆を集めて封をしようと思います。」


「そうか……それじゃあ皆も一旦仕事は止めて行こうか。」


ビリーさんの合図により文官達も一旦手を止めて火葬炉へと向かう。


火葬炉の周辺には子供達を含めて人が集まっていた。


「それでは火葬炉の封をします。」


ラグナは土魔法を発動させると上部の穴と空気の取り入れ口を塞ぐ。


そして火葬炉に文字を刻んでいく。


『未来を託し戦い抜いたアオバ村の英霊達、ここに眠る。』


そして亡くなった事が確認できた村人の名前を書き込み魔力を込めてガチガチに固めていく。


そして作業が終わると元火葬炉でありアオバ村の慰霊碑となった建物の目の前に立ち、ラグナは祈りを捧げる。


「英霊達よ、どうか安らかに。そして我らのことを見守って下さい。」


ラグナの祈りに続きその場にいる人間も同様に慰霊碑へと祈りを捧げる。


すると慰霊碑の隣で燃えていたキャンプファイヤーから、突如バチバチバチと激しい音が鳴り響く。


音に驚き皆の視線がキャンプファイヤーへ。


するとキャンプファイヤーの炎の色が様々な色へと変化していく。


そして一気に炎が激しく燃え上がると遺品なども綺麗に燃え尽き、そのまますぅーっと消えていった。


「女神様、ありがとう!!」


「父さんと母さんの元へとお願いします。」


子供達はそれぞれ空に向かって感謝を述べていく。


『マリオン様かな?ありがとう。』


ラグナも心から感謝を伝える。


祈りを捧げた後は今後の予定をマルクさんが子供達に説明していた。


「今日の昼過ぎには迎えの馬車が到着するだろう。君達もその馬車に乗って移動してもらう。その後は王都へと向かう予定だ。移動出来るように準備を進めておいて欲しい。」


マルクさんが子供に説明しているのを聞いているとちょんちょんと肩を叩かれた。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ。フィリスも子供達の側に居てくれてありがとう。大丈夫だった?」


「年長組は何とか大丈夫だったが……やはり年少組はな……」


「そっか……」


2人で話をしているとビリーさんに呼ばれたので向かうことに。


「迎えが来たら子供達や兵士は馬車で帰る予定だけど、君達2人はどうする?僕らと共に転移球で帰るかい?」


フィリスと目が合うと頷く。


「僕達は馬車に付き添って帰ろうと思います。」


「そっか……それじゃあ君達が王都に帰る前までには受け入れ体制を整えておくよ。」


「よろしくお願いします。」


ラグナはビリーに感謝を伝えると再び村を見て回る。


「やっぱりこのままって言うのもな……」


村の防壁は破壊され崩されたまま。


せめてこれだけでも……


ラグナは破壊された防壁へと向かうとアースウォールを発動させると、村の防壁を補修していく。


兵士達は一歩下がってその様子を見守っていた。


補修を終えたラグナは慰霊碑の隣に小さなメッセージを記した石碑を残すことに。


『子供達は無事です。王都へと避難しました。ラグナ』


「これでよし。父さんや母さん、それに村長さん達もこれを見れば大丈夫かな……」


そうこうしているうちに馬車が到着。


兵士達や子供達と共に馬車へと乗り込む。


「それじゃあ道中の無事を祈ってるよ。」


「ありがとうございます。後のことはよろしくお願いします。」


「任せておけ。子供の受け入れ体制は先に王都に戻り整えておく。」


ラグナは2人に頭を下げる。


「それでは出発します。」


大臣2人に見送られながら王都へと馬車は出発するのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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