まさかの……
数日間更新休んで申し訳ありません。
度々連絡を取っていた友人の国が戦争になってしまい、音信不通になり執筆出来るような気分ではありませんでした。
連絡は取れましたが一刻も早く平和に解決出来ることを祈っています。
「詠唱!!」
第一魔法師団団長の号令と共に詠唱が一斉に始まる。
「「水よ、敵を貫く槍となれ、ウォータースピア!」」
「放て!!」
水の槍が魔法によって生成されると合図と共に一斉にアースドラゴンへ向けて発射され、次々とアースドラゴンへと突き刺さる。
「ギャァァァ!!」
アースドラゴンは先ほどとは違い、水を嫌がるような動作をしていた。
「やはり大量の水は嫌がるのか!」
先ほどの第一陣はそれぞれの位置にバラけて防衛していた為、そもそも火力が足りていなかった。
「再詠唱!!」
「「水よ、敵を貫く槍となれ、ウォータースピア!」」
魔法が発動し再びアースドラゴンへと突き刺さるかに見えたが……
「グルァァ!!」
咆哮と共にアースウォールが発動。
巨大な土の壁に次々と水の槍が突き刺さるだけだった。
「こやつ、魔法を使えるのか!!」
魔法が防がれたことに驚いている魔法師団に対してアースドラゴンは巨大な尻尾を地面に擦り付けながらアースウォールを尻尾で砕く。
『魔力障壁!!』
ラグナは咄嗟に自身と自分の周りにいる学園長達3人を囲うように魔力障壁を展開。
迫り来る大量の石礫から身を守る。
「ぐわぁ!」
「ぐはぁぁ。」
魔法師団はアースウォールによって視界が塞がれてしまい反応が遅れてしまった。
前列から魔法を放っていた兵士達は飛礫が直撃し、大多数が負傷してしまう。
今の一撃だけで約三分の一の兵士が前線を離脱。
「いてぇぇぇ。」
砕かれた石の破片が直撃してしまい、痛みにのたうち回る兵士達。
しかし後方から魔法を放っていた魔法師は仲間が傷ついたと言うのに助けに入る気配が一切無い。
「なんだ、あいつら……仲間が傷ついたって言うのに……」
ラグナがそう呟くと学園長が飛び出していく。
「お前らぁぁ!!第二魔法師団の連中を肉壁に使いやがったな!!」
「おや?何を言っておられるのか。わざわざ第二魔法師団から第一魔法師団に引き抜いただけでも感謝して欲しいですな。次、詠唱!!」
誰1人として助けに入ることなく次々と魔法を放っていく。
イアン、ラグナ、ビリー、アムルの4人は負傷した魔法師達を第一魔法師団が攻撃しているうちに、次々と後方へと運んでいく。
ナルタからアースドラゴンとの戦闘を見守っていた領兵達も、負傷者の輸送を手伝いに次々と助けに入ってきた。
救護所は一気に負傷者で溢れていく。
「止血急げ!!」
「包帯持ってこい!!」
「おい、サフマン!!俺だ!しっかりしろ!」
イアンも負傷者に必死に声を掛けて負傷した元部下達を励ましていく。
その光景を人一倍厳しい目つきで見ている人物がいた。
「皆、すまない……私の力が足りないばかりに……」
ビリーさんだ。
「やはり……どうにかしてアイツを排除するしかあるまい……」
アムルさんがそう言いながらビリーさんの背中を叩く。
『……アイツ?』
大臣である2人よりも上の権限……?
王?じゃないな……
あの王だったらこんな事許さないだろうし……
「グルゥゥゥァァァァ!!」
突如アースドラゴンからの激しい咆哮が城壁の外から聞こえた。
そして……
激しい衝撃と共に城壁が崩れ落ちた。
救護所からアースドラゴンの姿がよく見える。
「くそっ、失敗か。総員、撤退!!」
第一魔法師団のメンバーが胸元から何かを取り出すのが見えた。
すると一瞬にして姿が消えた。
アースドラゴンは尻尾をぶんぶんと激しく振り回しながら怒り狂っているように見える。
「このままじゃマズイ!!行くぞ!!」
再び俺達はドラゴンの元へと駆けつける。
ドラゴンは街中に入って来るわけでもなく、ただただその場でバタバタと暴れまわっている。
「くそっ!!そういう事か!!第一魔法師団が来た時点で疑うべきだった!!」
ビリーさんは何かに気がついたらしい。
俺達が近くに来ても全くこちらを見ようとしない。
ただただ咆哮しながら身体を動かし狂ったようにグルグルと回りながら暴れまわる。
「これは、まさか!?」
「あぁ!イアン、そのまさかだ!!アイツらは最初から討伐する気なんて無かったんだ!!首元に刻まれてる魔法陣がその証拠だ!隷属魔法の実験をするためだけに来やがったんだ!!」
隷属魔法??
「隷属魔法って言うのは、召喚魔法で召喚できないような強力な魔物を操る事を目的として開発された魔法なんだ。はるか昔、実験中の死亡事故が多発してこれ以上の開発を禁止された禁術……ちょっと待ってくれ……」
ビリーさんは考え込む。
「アイツらはアースドラゴンが事前に攻めて来ることを知っていた……?でなければわざわざ第一魔法師団が前線まで来るわけが無い……」
「まさか!?このスタンピードが仕組まれた物だったとでも言うのか!?」
「まだ可能性だよ。証拠なんて何もない。それよりも先ずはコイツをどうにかしないと。」
目の前にはただただその場で暴れまわるだけのアースドラゴン。
ラグナも暴れ回るアースドラゴンをどう攻撃しようか悩んでいた。
そしてたまたまアースドラゴンが動きを止めて上空を見ながら咆哮した時に見つけてしまう。
「あ、あれは家にあった……」
アースドラゴンの腹下には実家の壁に飾られていたガントレットが突き刺さっていた……
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
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1日も早く平和になることを切に願います。