まさかの演出。壮大に。
神様の御子だ!神様の使いだ!
奇跡の子だ!使徒様だ!
村人達はお祭り騒ぎになっていた。
まさか心の中でお礼を言ったらまさかみんなに伝わるなんて……
皆がいい意味で騒いでいることに驚いてます。
どうも、翔弥です。
創造神様……声が届いたのは、たまたまなのでしょうか?
それともその様なスキルなのでしょうか?
スキルだとしたら健全ではない考え事も皆に伝わってしまった場合……居場所が無くなるんですが……
たまたまですよね?違いますよね?今回だけですよね?
それに……
この状況、どうしたらいいんですか?
何やら神様の御子やら使いやら使徒やらいろいろヤバい雰囲気になってますよ?
ほら……こんな俺を拾ってくれた夫婦なんて固まったままですよ?
どうするんですか?どうすりゃいいんですか?
どうにかして下さいよ!創造神様ーーー!!!
「仕方ないのぅ…」
えっ……
今の声は……
嘘、嘘ですよね?
まさかこっちに来たりなんて……
来たりしたら確定しちゃいますよ?
ねぇ?創造神様?助けてとはいいましたけども?
突然空が暗くなる。
村人達は急に暗くなった空を見上げて固まった。
その光景を見て青白くなる赤子の顔。
目の前にはみたこともないほど、真っ黒な雲が空を覆っていた。
そして……
真っ黒な雲の中心だけが真っ白な雲に徐々に切り替わっていった。
そして真っ白な雲の空間だけ空から太陽の光が注がれる、とても幻想的な空間に……
この世の者では出来ない力の行使。
ゴクリと唾を飲み込む住人達。
そして……演出をやり過ぎだと赤子の小さい手を自分の頭に乗せて頭を抱えている翔弥だった赤子。
太陽の光が注がれる空間に人型のような光がゆっくりと現れた。
村人達は自然と膝をつき祈りを捧げ、頭を垂れていた。
そして人型のような光から頭の中に声が聞こえた。
「その赤子を育てたまえ。」
「ふつうの子として今抱えている夫婦が育てよ。」
「決してその子を崇めること無かれ。特別扱いを禁ずる。」
「立派に育ててみせよ。さすれば祝福が訪れるであろう。」
「今日のこと。他者に語ることなかれ。」
空より現れた人型の何かがそう語り終えると、村人達の目の前が急に眩しくなり目をつぶってしまった。
そして恐る恐る眼をあけると普段と変わらぬ青空が広がっていた。
今のはいったい……
神様だ。
神様が降臨なされた。
その子は神様に縁がある子なのか。
しかし特別扱いはするなと。
普通の子のようにってなんだ?
拝んだらダメなのか?
赤子を拝もうとした男性の妻が力いっぱい頭を叩いていた。
崇めることは禁止って言っていたでしょ!
バカなのあなたは!
これはどうしたら……
「皆の者、落ち着けい!!」
あっ、村長だ。
そうだ、いったん落ち着こう。
「先程の光。きっと我々では軽々と口にしてはならぬ御方なのであろう。」
あぁ、そうだ。
身体が無意識に膝をついて頭を垂れてしまったしな。
「先程のメッセージ、皆憶えているな?」
た、たぶん大丈夫だ。
「先程起きた現象。みな心の中に仕舞っておくこと!決して他村や領主などに漏らさぬこと!もし漏れたことが発覚した次第、その者は即刻死刑とする。よいな?」
わかってる!
そんな罰当たりなこと出来るか!
俺、これからはきちんと礼拝に行くよ。
「グイド、ミーナよ。大丈夫か?」
「あぁ、だっ大丈夫だ。」
「えぇっ、だっ大丈夫ですよ?」
「この際だ。いろいろ諦めて吹っ切るしか無かろう。あの御方の願いじゃ。仕方あるまい。」
真っ青な顔色の夫婦。
まぁ判るよ?
まさか創造神様が出てくるなんて思わないじゃん。
しかもめっちゃ威厳たっぷり。
あんな登場されたら敬うしかないよね。
なんかごめんね。だいじょうぶ?
「あいだぶ。だぁだぁぶ?」
頭を上下に激しく振る夫婦。
あれ?もしかしてまた聞こえちゃった?




