怖い一面と貢ぎ物
まさかの発熱にダウンしてました。
更新遅くなり申し訳ありません。
お待たせしました。
祭壇の間に戻ってきた。
早速、目の前にある祭壇と像の2つを鑑定の神眼を発動させて鑑定してみる。
『女神マリオンの像』 『祭壇セット』
すぐに目に流していた魔力を止める。
やっぱり一気に情報が入ってくると気持ち悪い。
それに鑑定結果は見たまんまって感じだ。
まだシーヴァみたいに説明文とかは出てこない。
そうこうしていると、祭壇の間の扉がノックされるさた。
「どうぞ。」
「「失礼します。」」
扉が開くとタチアナさんとアルレットさんが部屋に入室してきた。
そして何かに気がついたのか早足で祭壇の前まで進むと、すぐにしゃがみ込んで一心不乱に祈り始める。
「えっと……どうしたのですか……?」
声を掛けても返事が無い。
ちょっと怖い……
ずっと何かの祝詞を2人で唱えてる。
その後何人かが連続して部屋に入ってきては跪いて祝詞を唱えていた。
俺はその光景が少し怖くなり、そっと移動しながら入口付近に移動。
しばらく祝詞を唱えた後、急に立ち上がりこっちを振り向く2人。
しかも号泣……
「えっと……何か……」
「ひっく……もうしわけ……ひっく……ありません……」
何がいったい起きているのか……
暫くしてタチアナさんが息を整えると説明してくれた。
「このお部屋全体が、これまで経験したことのないほど濃密な神聖な気に包まれておりましたので……日頃の感謝を捧げておりました。」
そっか……
今日は創造神様に送って貰ったからか。
だから濃密な感じなのかな。
「そ、そうでしたか……」
ちょっとあまりにも驚く景色に顔が引きつってしまう。
ナルタにいたマホッテト司祭はマリオン様に送って貰った後も平気な顔をしていた気がするけど。
「この祭壇の間にて何があったのかについては決してお聞きすることは御座いませんのでご安心下さい。」
うん。
それがいいと思う。
あなた達が信仰している女神様が土下座をして謝ってきたなんて言えない。
創造神様にも怒られてたなんて言えないよ。
「そうして頂けると助かります。」
本当に言えないから。
それから商業ギルドへと戻る。
「お待たせしました。」
「おぅ、思っていたよりも早かったな。」
そっか。
あんまりこっちの世界の時間は進んでなかったんだっけ。
「それよりも、ちょっと疲れた顔だね。どうかしたのかい?」
「まぁ、いろいろと……」
今、俺の真後ろにタチアナさんがいる状態で神殿の皆の行動に恐怖を感じたなんて言えるわけが無い。
とりあえず引きつった笑顔で誤魔化す。
その後の話し合いにより、やはりミルクティーの扱いについてはメイドギルドの返答待ちとなった。
金銭的に困窮しているなら特別に前借りの形でいくらか手渡すと言われたけど、そこまで困ってないから断りを入れた。
「それじゃあ、今日はありがとうございました。」
「あぁ、学園頑張れよ。何か決まったら学園内の商業ギルド経由で連絡入れるからよ。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
「ラグナ君、頑張ってね。後、ミレーヌちゃんのこともよろしくね。手紙ぐらいくれても良いんだよって伝えておいて。」
やっぱりブリットさんはミレーヌさんと会えないのがだいぶ堪えているんだね。
「わかりました。ミレーヌさんにお伝えしておきます。それじゃあ、皆さん体調にはお気をつけて。ミーシャさんお待たせしました。」
ミーシャさんはふわりとお辞儀をすると扉をあけてくれた。
本当にいちいち動きが綺麗なんだよな。
一瞬だけど、何気ない動作にも見とれてしまう。
商業ギルドを後にした2人はこれからの予定を話し合う。
「ミーシャさん、これからどうしようか?」
「時間を考えると動けるのは2時間ほどですね。」
2時間か……
うーん。
ぶらりするには微妙な時間だよなぁ。
「買い物をするにも微妙だし……ミーシャさんはこの辺で手土産になるお菓子屋さんって知ってますか?」
「お菓子屋さんですか……?知ってはいますが……どなたかに贈り物ですか?」
流石に俺だけ特例で外出してるしね。
みんなにバレた時が怖いからそれを防ぐ意味でも貢ぎ物を準備せねば。
「クラスメイト全員分と寮で働いてくれてるメイドさん全員分と日持ちするお菓子があるなら自分で食べる用のお菓子を買おうかなって思うんだけど……」
それを伝えるとミーシャさんに驚いた顔をされる。
「クラスメイトだけでなく私共の分までもですか?お心遣いは嬉しいのですが……高いですよ?」
たかがお菓子だよって内心舐めたままミーシャさんに先導されてついていく。
案内されたお店は高級そうな店構えのドライフルーツのお店だった。
『クッキーとか砂糖を使ったお菓子とかは無いのか?もしかして砂糖が貴重とか……?』
まぁ摘まめるしドライフルーツなら日持ちするからいいだろうとぷらーっと商品を眺めていく。
どれも瓶詰めされていた。
そして値段をみて驚愕する。
『ミカンって普通に書いてあるドライフルーツが1瓶銀貨5枚ってビールジョッキ位の瓶の容量で5万か……ってたけぇな!』
最初はみんなにそれぞれ各1瓶買えばいいかとも思ったけどそれだと値段がヤバいな……
「ラグナ様、私共の分はお気持ちだけで結構ですので……」
「あっ、その前にお金を下ろして来なきゃ。」
手持ちが無いの忘れてた。
「ラグナ様は既にギルドカードをお持ちなので大丈夫です。この様な高級店では魔道具が設置されており、精算時に魔道具へカードをかざすだけで自動的に口座から資金が移動され支払いが完了しますので。」
まさかの電子マネーモドキによる支払いが可能になっていた。
お支払はタッチするだけとか微妙に凄いな。
これも絶対に勇者の仕業だな。
とりあえずクラスメイトみんなで摘まんで貰えるようにドライフルーツ3種類とメイドさん達には1瓶だけ購入、後は自分用にもう1瓶のトータル5瓶のドライフルーツを購入した。
自分用にはプルーン。
残りはミーシャさんにお任せした。
トータルのお支払は大銀貨3枚に銀貨8枚。
ドライフルーツに38万もの大金をつぎ込んでしまった。
どうやら最初に見たミカンが一番安かったらしい。
一番高いのは俺が買ったプルーンの大銀貨1枚。
ミーシャさんは遠慮したのか自分達用にミカンを選んでいた。
本当に良いのかと何回も聞かれたけど、今カードにある分だけでも大変な額のお金が入ってるし……
いつもお世話になってるから感謝の気持ちだと押し付けた。
ドライフルーツを買った後は2人で学園へと戻って行くのだった。
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
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