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更新大変遅れて申し訳ありませんでした‼︎((。 ・ω・)。´_ _))ペコリン
俺たちが馬車に乗り込んでから約一刻ほどの時間で王城へとつくことが出来た。
そして、今は国王との対面に関してレヴェルが色々な者に話をつけているらしく応接間にて、一人で豪奢なソファーに腰を下ろしている。
俺は辺りに人の気配がないのを確認したのち、仮面をゆっくりと顔から外す。
「……ふぅ、仮面は長いことつけていると疲れるな」
素顔を隠すためとは言え、視界が狭まり、呼気が仮面内に滞留し若干息苦しくなる。
《理外の生命》になってから分かったことだが、どうやらこの身体では呼吸の必要もなくなったようで、息をしなくとも別によいのだが、《理外の生命》になる前に当たり前のようにしていた呼吸をいきなり無くすとなると、どうも違和感を感じてしまう。
そのため、呼吸は普段から呼吸は普通にしていたのだが、いざと言うときのため、無呼吸の練習をしておいた方がいいかもな。
そんなどうでもいいことを考えていると、コンコンと出入り口の扉をノックする音が、静寂に包まれていた応接間に響き渡った。
「……誰だ?」
『ルイド殿、レヴェルに御座います。謁見の準備が整いました故、お呼びに上がった次第です』
どうやら、準備が出来たらしい。
俺はゆっくりと気持ちを整えるために手に持っていた仮面を再度、深く被り直した。
◆
「貴公が、ルイド・イーグルか。この度の件、誠に大義であった」
俺の目の前でそう言葉を発するのは、この国の王である、ルードス=アルバ=ガルドニアだった。
前までこの国の名すら知らなかったが、どうやらこの国はガルドニア王国というらしく、王の血は建国以来続いているらしい。
「それはありがたいことだ。だが、二つほどこの謁見をするにあたって約束して欲しいことがあるんだが、良いか?」
「……ふむ、二つというのが気になるとこだが、許そう。言ってみるがよい」
俺の言葉に横にいた衛兵が反応を示すが、国王が手で制止を促していた。
とりあえず、これで言質は取れたため、この仮面はもういらないだろう。
俺は被っていた仮面を外し、言葉を紡いだ。
「……まず一つ目だが、俺はあまり目上のものに対する言葉遣いというものが得意ではなくてな。この場では無礼講で話すことを許してもらいたい」
前にここへ来たことがあったが、あのときは仕方なく口調を変えて喋っていたがやはり苦手であり、どうも普通の口調でないと本調子が出ない。
だが、俺がいうと先程反応を示した衛兵が痺れを切らしたようで口を開いた。
「……貴様、要人であろうとこれ以上の無礼は不敬罪に値する。他国の王族でもない者が無礼講など――」
だが、その言葉は途中で途切れることとなった。
「……よい。無礼講で話すことを許す」
国王がその言葉を発すると、周りにざわめきが広がっていく。
「貴公は、竜という災厄からこの国を身を挺して守ったのだ。いわば救世主――英雄と呼んでも差し支えないだろう。そのようなものとの間に身分の差などないも同然である。むしろ、こちらの方こそ頭を垂れねばなるまい」
国王はそういうと、こちらに言ったとおりに頭を下げてきた。
――参ったな。ただ普通に話すことを許してもらいたかっただけなのだが……。
まぁ、感謝されることは悪くは無いため黙っていたが。
頭を下げたのは数秒という時間であったが、その時間は静寂に包まれ、何十秒にも感じられるほどにこの空間には緊張が走っていた。
やがて、国王は頭を上げその口を開いた。
「……して、約束事の二つ目とはなんだね?」
「ああ、それなんだが、これから話す内容をこの場にいる者以外の者に口外をしないでほしい」
「……ふむ、理由を聞こう」
そう返され、俺はふぅと息を吐く。
「まぁ、とりあえず見てもらった方が早いだろう」
俺は【アイテムボックス】のスキルを発動させ、虚空の裂け目からとある物を取り出す。
そして、取り出された物は虹色に発光する透き通る鉱石のような玉だった。
「……貴公、それは一体なんなのだ?」
「そうだな。それを話す前に聞いておきたいことがあるのだが、良いか?」
「……なんだね?」
「この場にいる全員に聞くが、アンタたちは神という存在をどう言ったものと解釈している?」
この質問は前々からこの世界の者に聞いておきたかったことなのだ。
あの時代、神という存在が引き起こす災厄は文字通りの天災であり、どの種族であろうと神を恐怖しないことはなく、いかに神を降すかを考え、実行し、そして討ち滅ぼした。
啀み合い、傷付け合い、殺し合った存在たちが戦線を共にし共通の敵だと判断した存在を滅ぼすという絵に描いたような物語だが、その元凶となった神をこの世界の住民たちはどう捉えているのか。
前から疑問ではあったのだ。
「……貴公の言っている神というのはこの世界を創ったと言われる創造神様のことで相違ないかね?」
「いや違う。ヴェルフェンのことではなく、この世界に――」
存在していた邪神という存在だ、と続けようと思ったが何やら周りからの視線が先程とは変わったことに気づいた。
「……? どうかしたか?」
「貴公よ、話しを割って悪いが、今口にしたヴェルフェンとやらは何者なのだ?」
「何者って、この世界の創造神の神名じゃないか」
――まさか、知らぬのか? 己が棲む世界を作った張本人の名だぞ。
いや、違う。この世界では魔族などはともかく神の降臨をさせるのは人類では難しいのか。
神は本来、神界と呼ばれる空間に棲み、自身らの天命をその神界で全うする。
だが、魔力や霊力などのなんらかの力によって神界という場所から神という存在を切り離し、下界へと呼び寄せることを降臨と呼び、神の位によってその難易度は比例して上がっていく。
その結果この世界の人間では精々、神の声が聞くことが出来たとしても実体を降臨させることは難しい可能性がある。
――まぁ、勝手に降りてくる自由な神々もいるが……。
複数の神々の顔が脳裏を過ぎたところで国王の言葉が耳に入ってくる。
「ま、まさか、貴公は創造神様に会ったことがあるというのか?」
「まぁ、そういうことになるな。そう言ったことを秘匿してもらうべくこの場での会話は口外してほしくないんだ」
「うむ、それならば納得だ。皆のもの聞いたか、この場に於いて話された内容を口外することは誰であれ許さぬ。コレは勅令であり、破ったものは死罪に処す」
死罪という言葉に部屋が更なる緊張感に包まれたが、そんなことを気にしていたら話し合いなど出来ないので、構わずにいた。
「……口外しないという理由は分かったが、結局のところ、貴公の持っているその玉はなんなのだ……?」
本来なら、先程邪神についての説明をしてからこの神髄に関して説明する予定だったのだが、変に質問されたので予定が狂った。
――まぁ、全てを教えなくても断片的に伝われば良いか……。
ここから全てを説明するには面倒だったので、俺はかいつまんで説明をする。
「あー、全てを説明するのはなかなか面倒だから結論をいうが、この結晶は神の心臓と言い換えてもいいものだ」
その言葉を発した瞬間、これまた静寂が空間を支配した。
まぁそうなるわな。と内心思いながらも説明を続ける。
「俺がこれを持っている理由など言わなくても分かるだろう? 俺はこの世界に降りてきた神をこの手で殺した。そしてこの神髄を抜き取り保管していたんだ」
邪神の本来の倒し方は神髄玉を破壊し、再起不能にするのが定石なのだが、神髄玉自体も超エネルギーの結晶なので、何かしらの利用価値があるかもしれない、と神体から抜き取ったのち、本体は様々な魔法を使って永久の破壊を与える空間に封じ込めた。
結局分かったことは無限にも等しいほどの魔力を内部に秘めているが、外部に流れ出るのは全体の極微量だということだけでそれ以外は全くもって分からなかった。
だが、神体という超自然体を具現化させるにはあれほどの魔力を用するのは理解出来るのだが……どうも引っかかる。
そもそもこの神髄玉というものはヴェルフェンやファルヴィスなどの神界に棲む神々は神髄玉を持っていない。
――邪神のみが持っていた超結晶……なんなのかは分からんが、再度調べる必要があるかもな。
だが、今はどうでもいい。謁見の方に集中するとしよう。
「……神を殺した、と。それは誠かね?」
静かな声音でそう問いかけてくる国王。
先程の言動を考えるに邪神という存在は知らぬようだな。
様付けまでしている創造神や破壊神などに準ずる存在を屠ったとでも思っているのだろうか?
「そうだな。そんなことで嘘を吐いたところで意味などない。俺は昔この世界に舞い降りた神を殺し、神殺しの称号を得た。それは紛れもない事実だ」
なんの捻りもなくそう告げると、懊悩を表すかのように国王は渋面を作る。
だが、国王の気持ちもよく分かる。
今まで崇高な存在だと信じ続けてきた存在をいきなりぶっ殺したというものが目の前に現れたのだ、頭を抱えたくもなるだろう。
これ以上黙っていても仕方がないので邪神のことも話そうと口を開けたときだった。
「……実は、この結晶は――」
『良い、そこから先は僕が話すとしよう』
口を開いたと同時に、虚空から低く若干くぐもった声が響いてきた。
そして突如、王の謁見の間の空間が歪み、捩れ、引き伸ばされると透明な画面が出現しそこに一人の人影が映し出された。
「アルフェレア……!」
『少々、失礼するぞ。人国の王よ』
魔界、魔王どちらの中でも最強の名を冠した《第六天魔王》第一席の姿がそこにはあった。
今年最後というか大晦日の投稿になってしまい申し訳ありません(・∀・;)
今年はあまり更新頻度を上げられず、反省すべきだと思う点が多くあったと思っております。来年こそ更新頻度を上げられたら……と思っています(っ ॑꒳ ॑c)
ではみなさん、良いお年を〜⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝




