閑話 神々による神議
〜並列神界〜
「ったく、こんなときに呼び出しってなんかあったのか?」
そう言いながら創造神らが神議を行う『神閣神議会』の会場にヴェルフェンは足を運んでいた。
会場に着くとすでに何人かの創造神たちが席に座っていた。
「おぉ!ヴェルフェンか!久し振りだな」
中に入ると20代後半の男性のような創造神に声をかけられ、ヴェルフェンは笑みを作った。
「久しいな。6000年振りくらいか?ライネル」
「相変わらず、不機嫌そうな顔してやがんな」
「ほっとけよ。俺でも自覚している」
ヴェルフェンはライネルの悪口に適当に返事を返し、自分の席に座った。
その後も続々と創造神らが会場に入ってくる。
その数、約2000。だが、創造神の数はこの程度ではないので『神議』数日にかけて行われる。
やがて、空席が半数以上だった席は一つの席を残して全て埋まった。
そこでヴェルフェンが隣に座っていたライネルに小声で話しかける。
「今日もあの方は代行か?」
「あぁ、おそらくな。今まで姿を見せて出席したことがないからな」
あの方というのは、神界全権管理者でありながら神議の会議長を務めている神‥‥創造神エルメスである。
彼の姿を見た者は極少数であり、その者たちも口止めをされているのか決して話そうとしない。
「あの方は存在自体が謎だ。詮索のしようが無い」
ライネルが吐き捨てるようにいうとヴェルフェンは首肯した。
その時、神議を開始の合図である鐘の音が会場に響いた。
その場にいた創造神の全員が唯一空いている席を見つめる。
その席に段々と光の粒子が集まっていき、ある形の形成した。
それは熊の人形である。だが、普通とは違い頭に黒い幾何学的な紋様の入った天輪が廻っている‥‥異様な光景だ。
そして、熊の人形から男性の声が発せられた。
『やぁ、他世界の創造神諸君よ。私は議長を務める創造神エルメスだ。これより第3京5609兆2800億3709回『神議』を開会する』
その言葉で空気が一気に変わり、緊張の一言だった。
『さあ、早速議題に‥‥と行きたいところだが、今日は私も《正式》に参加しようと思う。今からそちらに行こう』
会場の全員が?マークを頭に浮かべていると、それは起こった。熊の人形が消え、一筋の光が現れ人の形をとった。
「やあ、諸君。僕が創造神エルメスだ」
その場にいる全員が絶句して固まっている。
そこにいたのは10歳程の小柄な少年だったからだ。
そこで、1人の創造神が声を上げる。
「あ、あの‥‥ほ、本当に議長エルメスさんなんですか?」
席に座っていた女性の創造神だった。
「確か君は‥‥第85次元の創造神だったかな?」
「はい!メリーと言います」
——メリー・クラウシュネル。第85次元を管轄としている女性の創造神だ。ヴェルフェンの旧友でもある。
「まあ、君たちに正体を明かすのは初めてだからね。混乱するのも無理もない。だが、僕が正真正銘の会議長エルメスだ」
まだ、会場はまだ騒ついているがだんだんとそれも無くなっていき、再び静寂が訪れた。
「さて、自己紹介も終えたことだし、早速議題に入らせてもらおうかな?じゃあ第1議題は——」
〜数時間後〜
「よし、これが今回の議題は以上だ。今回はこれにて解散とする」
皆がその言葉に安堵の息を吐いて、帰宅の用意をしている。
皆と一緒に帰宅の準備をしてるヴェルフェンに後ろから声がかかった。
「おーい、ヴェルフェン。久し振りに会ったんだからよ、メリーと一緒に食事にでも行かないか?」
声をかけて来たのはライネルだった。後ろにメリーの姿も確認することが出来た。
「そうだよヴェルちゃん。一緒に行こう?」
昔の呼び名を呼ばれて少々、気恥ずかしくなったヴェルフェンだったが、あまり気にしない様に口を開いた。
「わ、分かった。今、準備するから少し待ってくれ」
そんなことを話しながら退出していくヴェルフェンたちや創造神たち。
そして、部屋に残っているのは議長のエルメスだけとなった。
「ふう、今日の仕事も終わりっと。さて、次の神議まではまだ時間があるし久しぶりに世界に出てみよっかな〜」
そんな独り言を呟くエルメスだったがあまり良いところが思い浮かばず考えを巡らせていた。
「あ!そうだ。今度『あの子』に会いに行ってみようっと!」
名案を思いつき椅子から飛び降りて魔法陣を展開した。
「どんな感じに強くなったかな『カイト』?」
口角を少し上げエルメスは転移陣を発動させた。
この話で、1章は終了となります!
次の話にキャラクター紹介を挟んだ次の話から2章となります!
2章は、剣術大会編です( ^ω^ )
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