正体
さぁ〜、またも期間が空きました(・∀・;) ギリ2ヶ月空かなかったけど、あんまり執筆の時間が取れないのと物語の構成に悩んでおります_( _´ω`)_
とまぁ、こんなまったりな私ですが頑張って書きましたので、今回も読んでいただけるとありがたいです!⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
「……流石、カイト様ですね。気配などは完全に消していたと思いましたが」
「ああ、俺でも注意して見なければ気づかなかっただろうな。【魔力隠蔽】の腕を上げたな。ディルメイド」
そう、姿を隠していたのは黒い執事服に身を包んだ青年――メアリの配下であるディルメイドだった。
「……まさか、寝首を掻きにきたのがディルメイドだとは驚いたな?」
皮肉混じりに冗談を投げるが、ディルメイドはいい反応を返すことなく、苦笑いを浮かべていた。
その様子に若干『つまらない』という感想が頭の中をよぎるが、口にすることはなかった。
「ご、ご冗談を。そのようなこと私では恐れ多くてできませんよ」
「ああ、冗談だからな。こんなこと本気にしてもらった方が困る。だが、お前の先程の魔力の隠し方や魔力そのものの高まりを見る限り、案外、寝首を掻くくらいなら出来るやもしれないな」
「ご謙遜を、私程度ではカイト様の力の足元にも及びませんよ」
困り顔で反応をするディルメイドに対して俺は若干、眉を顰めた
「そうだな。少なくともお前の身体ではそうなのだろうな?」
「……い、一体どういうことですか? 身体というのは?」
分かりやすく狼狽を見せるディルメイドだが、そんなことを気にせず俺は彼に近づいていく。
「……貴様に直接会って確信したぞ。やはり、その業は普通の生命では出来ぬ芸当だ。そうだろう? アルフェレア」
「…………」
その名を呼ぶと、ディルメイドは分かりやすく反応を示した。
先程までの動揺や、弱々しい態度などが消えて視線が真っ直ぐにこちらを見据えている。
「……何故、そう思うのですか? カイト様」
「なに、簡単な話だ。お前たちの魔力が似すぎていた、それだけだ」
魔力というのは痕跡を辿ることが出来るほど個人での特徴が分かれて異なる存在で全く同じ魔力を持っている者は存在しない。
無論、血縁関係上似た性質を持った魔力を持つ者が複数いることはあるが、その可能性は非常に稀であり、百ほど血縁のいる一族に二人いればいい方だ。
「……その言い方ですと、まるで私以外にもアルフェレア様がいるように聴こえてしまいますが?」
「なら、貴様はアルフェレアであることは認めるんだな?」
眼を細め、詰め寄るかのような声を俺は浴びせるとディルメイドは『してやられた』とでも言いたげに右手で顔を覆った。
「……えぇ、正確にはアルフェレア様という存在と私という存在には若干の差異がありますが、ほとんど当たりです。気づいておられるようですので言いますが、アルフェレア様以外に就いている配下の者の中に少なくとも一人はアルフェレアという存在がいます」
「やはりそうか。若干魔力の違いはあれどあそこまで似た魔力の波長を持っている者がその場に複数いれば嫌でもわかる」
そう、似ている魔力を持つ者がたまたまその場に二人いるというのならば偶然ということで片付けてしまってもいいかもしれないが、本人を含めあの場に六人ともなると流石に異常だ。
「それにしても、何故お前たちは姿を変えてまで他の魔王に就いている? 全ての魔王の配下にいるのだとすれば魔界の情報などアルフェレア本人に筒抜けだろうに」
ふと思い至った疑問をディルメイドに投げるが、何故か返ってきた表情はあまり納得しないようなものだった。
「その通りなのですが、私自身アルフェレア様が何を考えて私らを創ったのかは分かりません。他の魔王様方に就かせている理由も魔界の問題を迅速に対処し、安定を保つことが目的かと思われるのですが、実際のところわかりません」
「……思考の同期などはしていないのか? 同じアルフェレアなのだろう?」
「流石に力を持っていても創った存在との思考同期することは出来ないようでして……もしかしたら出来ないことはないのかもしれませんが、今のところはできませんね」
師匠が創ったという複製体とは少し訳が違うということか。
だが、そうなると教室であったアムリスの魔力がディルメイドの魔力に似ていたのはアルフェレアから魔力を分けられた結果なのだろう。
「お前がアルフェレアであることは分かったのだが、そもそもこの場に来た理由はなんなんだ?」
「それなのですが……少々お待ちを。今、部下から報告がありました」
「……なんと?」
「どうやら王都周辺の魔力磁場に異変があったようでして、最悪の場合、王都だけでなくその周辺一帯が……」
魔力を見る限り今のところあの邪神はまだ動いていないため、先程の【幻世廻逆多重空間】を発動したことによる余波と考えるのが妥当だろう。
「……それが、お前がここに来た理由か?」
「はい、本当でしたらお休みになさっているところに参るのは無礼だと認識していましたが、予想よりも事態は深刻なようでして」
「それで、俺が起きたときに言おうと思っていて起きたらクレアが来たという訳か」
すると、ディルメイドは静かに首肯する。
まぁ、王都周辺ともなると大体が人類の領域であり、下手にディルメイドたちも手を出すことが出来ないと言ったところか。
「了解だ。寝起きの準備運動には丁度いいだろう」
要は目的が少々前倒しになっただけだ。
やる事は三つ。
一つ、王都とその周辺の魔力を安定させる。
二つ、害をなす危険のある魔物などの排除。
そして三つ目に国王へ状況を説明し、国を守るための結界の展開。
俺であれば一晩で終わらせるには少し余るくらいの仕事だ。
「……朝には戻る。それと、さっきの話を聞いていたのなら分かると思うが、明日……まぁ、今日の昼になるか、それくらいにはここを出るからメアリに言っといてくれ『遊べなくてごめんな』とな」
部屋に備えられていた時計に眼を向けると既に日を跨いでいたため言い直し、そう告げる。
ディルメイドは俺が言い終えると同時に深々と頭を下げた。
「……承知しました。魔王様にはそのようにお伝えします。どうかご武運を」
「そこまで固くなるな。俺からすれば単なる散歩と変わらん。散歩に覚悟など必要ないだろう? 普通に送り出してくれればそれでいいんだ」
軽い口調でそう返すと、ディルメイドは肩に入っていた力が抜けたのか、小さく笑みを浮かべた。
「そう、ですね。それでは、いってらっしゃいませ」
「……ああ」
ディルメイドの笑顔を視界に捉えた後、俺は《転移魔法》を発動させた。
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