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代償

(ひ・ω・ま)ということで、投稿します!期間が空いてしまい本当に申し訳ありません_( _´ω`)_

テストも終わって、卒業も確定したので次はもう少し早く出せるかなぁ?(と言って出さないかもしれない)

まぁ、何はともあれ今回も頑張って書いたので楽しんで読んでください!(*`・ω・)ゞピシッ

 ――俺は気を失ったのか。


 魔力が枯渇するほど使ったことは自分の責任ではあるが、新たな魔法や技術を開発したら試さずにはいられないという悪い癖があった。


 これは仕方がない、昔から治そうとしてもどうにも治ることはなかった不治の病である。


 とまぁ、そんなことはどうでもよく意識が戻ってきたので目覚めるとしよう。


 ――……んんっ


 重い瞼を開き、見える範囲を視界に写すが眼の前に広がっているのはどこかの一室というわけではないが、かといって青い空が映っているわけでもなかった。


 どうやら俺が目覚めた場所は一面闇に覆われた広い空間であった。


 ――どこだここは?


 そこでとあることに気づく。


 ――俺はここに来たことがあるのか?


 来た記憶が全くもってないが、俺はこの空間を知っているような気がした。

 確か、足場が不安定で進めど進めど一向に永遠に続く闇のはずだ。


 そう思い、足を動かすと思っていた通りというかヌチャリと気色悪い音が耳を刺激した。


 だが、ここはなんなのかが全く思い出せない。

 俺がここを知っていることは確定であり、現に足場の状況が分かっていた。


 ――まるで、記憶を一部的に消されたような違和感だ。


 来た記憶はないのにどういった場所なのかは分かるという頭がこんがらがりそうな状況に俺は今置かれている。


 だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。


 一刻も早く元の世界に戻り、アルフェレアたちからの用件を聞かなくては!


 俺は鉛のように重くなった足を無理に動かし、前へ前へと進んでいくが、わかっていたことで景色は変わらず一向に続く永久の闇。


 そしてとある疑問が脳裏をよぎる。


 ――……っ? なんだ、アルフェレアとは……誰なんだ? そもそも、元の世界とはなんだ?


 いきなり頭の奥底から出てきた名だったが、その名前も聞いたような気はするが誰なのかが分からない。

 そのほかにも頭に浮かんでくる多数の疑問。


 だが、記憶が元よりなかったかのようにすっぽりと抜け落ちている。


 限られた記憶の中から重要なことを探していく。


 ――まず、俺の名前は……。


 ……名前は……なんだったか。もう既に忘れているらしい。


 手に掬った水がするすると溢れ、無くなっていくように、記憶がジワジワと消えて行くのが分かった。


 やがて何を考えるにも記憶の情報量が足りず、気づいた時には疑問を訴えかけてくる頭もクリアになっており、いつの間にか寝そべっていた。


 ――……。


 考えることを放棄して、虚ろな(まなこ)で俺は無限に広がる闇を見つめていた。

 

 床であるはずの闇に身体がズブズブと沈んでいく錯覚を覚えるがそんなことを気にならないほどに俺は考えることを辞めていた。


 

『……キミ、またここに来たの……?』


 何やら幻聴が聴こえるようになったらしい。若い男のような声がしたような気がした。


『……精神が壊れかけてる、魔法とかいう変な術も……使わなかったの?』

 

 何を言っているかも分からず、俺は幻聴のいうことを無視していた。


「……ここ、そんないい場所じゃないよ? 早く戻って、あげて?』


 そう幻聴が言って次の瞬間に、闇で覆われたこの場所に相応しくない、眩い光が視界を塗りつぶした。



「……かはっ!」


 俺は瞬間的に意識が覚醒し、起き上がった。


 周りを見渡すと一面真っ暗に包まれた、闇が空間を覆っており、その光景はまだ記憶に新しかった。


 眼の前には前に来たときに出会っていたこの空間の主である青年だった。


「またここに来たのか。来ることはないと思っていたのだがな」


『……さっき、君がここで倒れてたんだよ……?』


 ……? 俺は今ここで目を覚ましたはずだが――正確にはここは俺の夢の中なので寝ているのだが――どういうことだ?


 疑問に思ったときに、一瞬頭痛のようなものを感じ、その瞬間にこの空間を歩き、寝転ぶ動作をした記憶がフラッシュバックかのように流れ込んできた。


 そして、俺が疲れていたこともあってか《精神魔法》を使うことを忘れ、この空間に精神をやられたのだと確信した。


 ――夢の中でもやらかすとは本当に疲れているんだな。


「……すまない、迷惑をかけたようだな。……あー、お前はなんと呼べばいい? 名がないのだろう?」


『……君が来てくれたから僕は、嬉しいから別にいいよ。名前は……君が、つけてくれるかい?』


「俺は勝手にここに入ってきた侵入者だが……俺なんかでいいのか? お前も知り合いがいるようだが……?」


 確か、前まで忘れていたこの者の存在だったが、どうやらこの空間に再度来たせいか分からないが、前に来た時の記憶が蘇っている。


 そのとき、確かこの青年を知っている者がいるかのようなことを言っていたような気がした。

 

『別に、僕は構わないよ。僕は……君と話せることが……良いように感じるから、ね』


 無表情ながらも、どこか嬉しそうに話す青年に俺は小さく笑みを溢し、与える名を考える。


 ――何か、由来するものがあるといいが……。


 知っていることをフルで使いながらその名を考えていく。


 ――永遠に続く闇……ただ一人の存在……染まらない者……。


 そこで閃き、俺はパチンと指を鳴らす。


「……そうかなら、ネオンだ。それが今日からお前の名だ」


 エルフの言葉に『ネオール』という言葉があり、『染まらない・無色な』と言った意味があるため、少々もじって名前にありそうな形にしたのだ。


 そうして、ネオンと呼ばれた青年はここで初めて感情と言えなくもない表情を浮かべた。


『……ネオン……ネオン、ふふ、そうか……ネオン、良い名前だ。ありがとう、カイト』


 俺はこのとき初めて青年――ネオンの笑った顔をみた。


 ――前に見たときは感情がなく無気力な様子だったが、存外こんな表情が出来るのか。


『……どう、したの?』


 何やら不思議そうな表情でこちらを覗き込んで来るネオン。


 ――しまった、表情に出ていたか。


「……いや、意外にもお前は表情豊かなようだったからな。つい、にやけてしまった」


『……そう?』


 コテンと首を傾げるネオンだったが、やがてクスクスと笑い始めた。と、その時――


 ――ピシッ


 何やら聞き覚えのある音が響き、暗闇に支配された空間に淡い光が差し込む。


 その光は小さく弱かったが、空間に差した光は一筋であろうと強く明るく、それでいて温かかった。


「……目覚めるのか」


『ああ、もう、行っちゃうのか。少し……寂しいな、君が来れるのはたまにだから、ね』


 露骨に寂しそうな声を出すネオンだが、俺は立ち上がり上目遣いでこちらを見上げているネオンの髪をくしゃり、と優しく撫でた。


「心配するな、いずれここに意図的に来る方法を探す、そしたらまた来よう。偶然来れることもこともあるかもしれないしな」


 そう言い、俺は光に差す方向へと足を運ぶが視界の端で静かに微笑むネオンの姿を見逃すことはしなかった。


「……今回は世話になった。先ほども言ったがまた来る、これは約束だ」


『……約束、ふふっ、そう、か。それじゃ、またね』


「……ああ、またな」


 その一言を言い残し、やがて視界は白一色に染め上げられた。



「……ん、んん」


 重く閉ざされた(まぶた)をゆっくりと開き、眼の前に色が飛び込んで来る。


 最初に見えた色は美麗な模様が彫られた天井だったが、少ししてその模様自体が魔法回路の一部だということに気づいた。


 ――ここは、アルフェレアの城の客間か?


 魔力を使い果たし、ぶっ倒れたあとにここへ運び込まれたんだろう。


 そして蘇ってくるのはあの闇黒の中であった会話の内容。


 魔法を使い忘れてあの闇に充てられ、消えかけていた俺を助けたネオンのあの表情。


 ――いや、本当にそうか?


 そう考えていたときにふとそんな疑問が脳裏をよぎった。

 行ったことを忘れていたとはいえ、あんな普通ではない場所での警戒を怠るほど気を抜いていなかったし、現に一回目に行った時は《精神魔法》を使い精神を保っていた。


 ならば、あのとき魔法を使わなかったのではなく、使えなかったというのが正しいのではないだろうか? 

 実際、ネオンに助けられてからも一度もあの闇の中で俺は魔法を使わなかった。


 それがもし、魔法の使用を制限されていたとするのなら合点がいく。過剰評価をするわけではないが、あのような空間にいて《精神魔法》を使わないということは普通しないだろう。というか躊躇する必要がない。


 ――一度目に行ったときに記憶が消えていたのは同じ影響か?


 もしかするとあの闇の空間に踏み込んだ場合は何かしらの()()を支払う必要があるのかもしれない。


 一度目は記憶の削除、二回目は魔力使用権の剥奪。と言ったところか。


『この門をくぐる者、一切の希望を捨てよ』


 確かこのような文言の書かれた書物を昔に読んだ記憶がある。

 門というのは分からないが、もしかするとあの闇の空間にどうにかして踏み入れた者が書き記した物なのかもしれない。


 まぁ、考え過ぎな気もしなくもない。本当に単なる夢である可能性も捨てきれないのだ。

 だが、それは置いておくとしても、あの空間には興味が湧いた。


 それに、ネオンが言っていた人物についても謎が多く気になっているところだ。


「……だが、となるとあの空間に調べようとしてもそのたびに代償を支払う羽目になるというのは面倒だな」


 どうするべきか、と思考を巡らせていたそのとき、コンコンっと部屋のドアをノックする音が響いた。

お読みいただきありがとうございます!!

そういえば、1章の書き換え1話以降やってない!(・∀・;)ヤベッ

そちらもぼちぼちやっていきます!( ˙³˙ )〜♪←やる気ない顔 (おい)

さて、冗談はこの辺にして、いつもの締めに行きます!⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝


この作品がいいなぁと感じたら評価とブクマをポチポチっとしてくださるとこちらも作成意欲が爆上がりしますので何卒宜しくお願いします〜。それでは、また次回!( `・ω・‘)ノシ

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