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魔族

テストが終わったので投稿しまーす!いつも通り遅いでーす!ごめんなさーい(>人<;)

「……俺が魔界に?」


「はい。今現在、魔界はとある問題が原因で今度、《()()()()()》全員で会合を行うということが決まったのです」


 その言葉に内心、驚いていた。


 ――《第六天魔王》が全員で会合を開くだと?


 《第六天魔王》というのは現在、存在している六名の魔王を敬意と畏怖を込めて魔族や他種族から呼ばれ始めた名であり、彼らがつけた名ではない。


 そして、俺が転生する前からその六席の内に代替わりした者をメアリ以外に見たことがない。


 俺は全員の魔王に会ったことはないがリリカも会ったことのない相手がいるということを聞いているので、仲が悪いということはないようなのだが、魔王同士が面を合わせて話すことなど殆どないらしい。


 一対一でも珍しいと言うのに魔王全員で会合を開くとなると相当な一大事なのだと理解出来る。


「……魔界に行くことは考えてもいいが、今の段階ではどうにも腑に落ちぬところが多い。いくつかの質問に答えてくれるか?」


「はい。私の答えられる範囲であれば」


「……そうか、ならば一番気になった今回の会合を開く原因となったとある理由というのはなんだ?」


 とりあえず、ここに来た理由ともなる魔族領で起こったことに話してもらおうと思ったのだが、リューネは何故か苦渋の表情を作った。


「……普通に考えたらそう訊いてくるのが当たり前なのでしょうが……カイト様、申し訳ないのですが、その理由は申し上げられないのです」


 俺はその言葉にため息を溢す以外になかった。


「……協力を求める相手にその目的を話さないとは幾ら、俺がお前たちを良く思っていても本来ならこの場で断られるのがオチだぞ?」


 そう、少し魔力を込めて言葉を綴るとリューネは多少震えていたが、直ぐにしっかりとした表情に戻りその理由を語り始めた。


「……言葉足らずで申し訳ありません。申し上げられないというよりか、私もその会合を開く理由を知らないのでございます」


 俺を魔界に連れてくるように指示された魔族でさえ、その理由を知らない会合。


 その理由がなんにしても面倒なことになる予感しかしない。


 だが、知らないというならばしょうがない、今は出来るだけ情報を探るとするか。


「なら、もうその理由はいい。次の質問に答えて欲しい。俺を魔界へ連れて来いと言った……お前にその指示をした魔王の名はなんという?」


 そう質問を投げると、リューネは少し考え込んだ後に答えではなくまた別の質問を返してきた。


「……カイト様は《第六天魔王》第一席の名を覚えていますか?」


「いきなりなんだ、とは思うが……確か種族は忘れたが、アルフェレア=メジア=クレードルではなかったか?」


 アルフェレア=メジア=クレードルという者は俺の記憶にある限りだが、史上最強の魔族であり、その素性が全て謎に包まれているという魔王最強格の一人らしい。


 だが、会ったことがない為どのような魔法などを使うかなども分からない。


「はい、その通りです。今回のこのご依頼はそのアルフェレア様から依頼されたことです。私はあの方に仕える幹部の位に就かせていただいていますので……」


 幹部であろうと王から出された命令は不十分であってもその任務を遂行したということか。


 だが、ある程度この件についての概要が分かってきたな。


 まず、なんらかの理由で《第六天魔王》全員での会合をすることになった。

 そして、その理由は今の所不明であり、その指示を出したのは《第六天魔王》最強格の魔王アルフェレアであると言うことか。


 こちらに行くメリットはないように感じるが、向こうから間接的とはいえ王の一人が来て欲しいと、助けを出しているのだ。


 ならば、例え罠であろうと出向かぬ訳にはいかないだろう。


「……事情は分かった。こちらもその会合に向けて色々と準備をしよう。日程などの情報は持ってるか?」


「勿論でございます。会合の開催場所は主催者であるアルフェレア様のお屋敷にて、三日後の正午丁度より開始です」


 三日後か、あまり時間に余裕はないな。


 まぁ、とはいえ準備するには十分な時間があるのでひとまずそこは安心出来る。


 これで今回の会合で気になることはだいぶ少なくなった。


「……了解した。それじゃ、最後に二つだけ訊いてもいいか?」


「なんなりと」


「……まず一つ目、この会合に俺以外の同席者を連れて行くことは出来るか?」


「……同席者、ですか?」


 リューネは何故だか分からないと言った様子の表情で首を傾げていた。


 恐らく、俺の持っている力であれば同席者を作るほどの意味はないと思ったのだろうが、俺の狙いとは少し違う。


「俺のパーティーメンバーを連れて行きたい。少しでも会合へいくのなら戦力が欲しいんだ」


「……戦力? カイト様であれば例え――神でさえも降せるのでは?」


「……間違ってはいないが、わざわざ人間(おれ)を呼んで会合を開くなど不自然ではないか?」


「……た、たしかにそうですね」


 リューネは考え込むようにして頷く。


 俺はさらに話しを進める。


「それに、だ。《第六天魔王》全員で開く会合など何かしらの大ごとが起こっているに違いない。その場合、理由によっては戦力が必要になる可能性がある」


「……ですが、カイト様のパーティーメンバーといいますが貴方様が信頼なさる方とは一体……?」


「一人は破壊神の直属の眷属。もう一人は普通の人間だが、《精霊魔法》が使える可能性のある魔法使いだ。二人とも戦闘に於いて力量不足になることはないだろう」


 リリカは現在までの戦闘経験が豊富な為戦力として大きい上に、ネネは威力は少し弱いものの複数の属性魔法に加え、精霊をみえることから精霊の力を借り、魔力を増強することが期待出来る。


 魔法だけでなくとも二人とも剣術による近距離戦闘もウラルーク大森林にて練習済みな為、そこも抜かりない。


 そのことを話すとリューネは呆気に取られたようにポカーンとしていた。


「……ま、待って、破壊神の眷属に《精霊魔法》の使い手って本当にそんな……!」


 敬語すら忘れて素の口調で驚くリューネだが、俺は表情を変えずに言葉を返した。


「そんなに驚くことではないだろう? 魔族であれば神との接触は難しいことではないだろうし、《精霊魔法》の使い手もいないこともないだろう?」


「……た、たしかにそうだが、いやでもそれは普通じゃないっていうか……あ、普通ではないですよ」


 言葉遣いを間違えたことに気づいたようですぐに取り繕うが既に手遅れだ。


「喋りにくいなら、普通の喋り方で構わないぞ? 俺としてもそっちの方が話しやすい」


 そういうとリューネは分かりやすく咳払いをして、話を続けてきた。


「それでは……んん、では、戦力として同席者をつけて欲しいという話だったな。まぁ、それに関しては心配しないでも平気だろう。魔王の会合と言っても側近や配下の者たちもいるんだ、そこら辺は気にしないだろう」


 話し方を戻したことで肩の力が抜けたのか先程まで緊張の感情が感じられた彼女の言葉にも余裕が出来たように聴こえる。


「それはありがたいな。それじゃ、最後に聞きたいことを聞いてもいいか?」


「ああ、そういえばあと一つあったのだったね」


「ああ、といっても、当日はどうやって会場に行くのかということだけだ。俺は魔界(むこう)に行くことは簡単だが、場所が分からないんだ」


 単に魔界に行くだけなら簡単なのだが、アルフェレアの屋敷なんぞ、本人にすら会ったことがないので、分かるわけがない。


 ――まぁ、その気になれば魔族領に存在する極めて強い魔力のある場所をしらみ潰しに周ってもいいが……。


 そもそも、向こうからこちらに来るように言ってきたのだ、案内役くらいがいなくては困る。


「あー、案内役がいるってことかー。確か生徒の中に紛れ込ませたはずだけど……」


 んん? 生徒に紛れ込ませただと? まさか……。


「……あー、その案内役ってアムリスって名前のやつじゃないか?」


「ああ、そうそう。そのアムリスが案内役の魔族だったはずだ。しかし、私は何にも言ってないのによく分かったな」


 俺はため息をこぼしてから、椅子に腰掛ける力を少し強め、理由を話した。


「……俺の行った教室の前の席に座っていた奴がそのアムリスだったんだ。魔力の波長がどうにも人類には無い形だったのでな、違和感を感じていたんだ」


 アムリスからは人間とは異質な魔力が感じられた。


 その魔力は魔族のもので間違いなかったのだが、魔力の中に微かにメアリの側近であるディルメイドの魔力を感じられた。

 ディルメイドは魔族の中でも顔が広く、アムリスと知り合いであったのでは、と考えられた。


「アイツは恐らく、吸血鬼かキメラどちらかの種族ではないか? 単一の個体から複数の魔力が感じられた」


「……まさか、見ただけで相手の種族を割り出せるなんて、恐ろしいわね。その通り、アイツの種族は吸血鬼、私とは……友達とは言えないけど、幹部仲間ってことでいいのかな」


「……ほう、なるほど」


 どうやら、読みはあったっているようだった。


 吸血鬼はその名の通り、血を吸って生命を維持している。

 正確には対象の血液に含まれている魔力を自信の魔力と混ぜ合わせ、身体に順応させ、魔力を高めることによってより強くなることで生命力を増しているらしい。


 俺のいた頃のひと昔前は、吸血鬼に噛まれることによって吸血鬼になるという噂が流れたそうだが、もとより吸血鬼の魔力は人間よりも濃度が高く、吸血する際に対象の体内に吸血鬼自信の血が入ったことによって拒絶反応を起こす。

 そして、その影響で拒絶反応に耐えきれなかった者が廃人となったことで、それを吸血鬼になったと勘違いしたらしい。


 ――そのことを踏まえ先程のことも考えると……。


 アムリスからディルメイドの魔力を感じられたのは、幹部仲間として吸血した可能性がある。

 吸血鬼の中では対象を殺さずに魔力を体内に取り込むことは友情の証らしく、魔力の混在もそれの影響だろう。


「……了解した。仲間たちには俺から連絡しておく、無理強いはしないがな。それでは、当日はよろしく頼む」


「……ああ、こちらこそ協力に感謝してくれて感謝する、そして宜しく頼むぞ」


 俺たちは互いに目線で協力の態度を示し、俺が部屋から退出しようとするとリューネから声がかかった。


「……ああ、そうだ。私もあなたに聞きたいことがあったんだ」


「……ん? 何かあったか?」


「先程、空に向かって閃光と同時に轟音が聴こえたんだが、何か知らないか?」


 あ、完全に忘れていた……。

この作品がいいなぁと感じたら評価とブクマをポチポチっとしてくださるとこちらも作成意欲が爆上がりしますので何卒宜しくお願いします〜。それでは、また次回!

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