合格発表
投稿のー時間ーだーよ(・∀・)
「……さて、合格発表は来週だったか?」
俺たちは試験が終わり帰路に就いていた。
あの後、魔導測定は元からあった水晶と俺の創った水晶で行われ、数値の表示もしっかりしていると取り敢えずは信じてもらえた。
尤も、ネネやリリカは魔力数値は万の数値を超えていたので多少騒ついたが、俺をみた後だったからか然程騒ぎにはならなかった。
俺からすれば、《理外の生命》になってからどのようなものが創れるのかが分かり、なかなかに楽しかった。
そして、ここでの収穫は他にもあった。
それはゼロニスの存在だ。
俺の監視役として師匠から送り込まれた煉獄を統治する神。
だが、俺からすれば《理外の生命》をよく知ることの出来る頼もしい存在だ。
俺自身、未だ《理外の生命》について分かっていることが少なく、どういうことが出来て何が出来ないのかを訊くのには最適の相手と言える。
ヴェルフェンやファルヴィスに訊いても別に良いのだが、奴らは自由奔放であり一つ場所に留まるということをあまりしない。その気になれば追跡することも可能だが、そのためには魔法を大量に行使するため魔力を阿呆ほど消費することになる。
下界に降りていることもあるが、世界に影響がでないように魔力を隠しているため、見つけることは困難を究める。
この前、ファルヴィスにウラルーク大森林で会ったことは本当にたまたまだ。
――ちょくちょく下界に遊びに来る創造神や破壊神というのもどうとは思うが……。
「……カイトくん、確かに合格発表は来週だけど、少しは自重してね?」
ネネからの鋭い一言を俺の耳が捉えた。
確かに、水晶を壊したり、運動場にどデカいクレーターを作ったりしたためやり過ぎたとは思うが、ネネの言葉からは少しの怒りを感じた。
「……ネネ、何か怒っているのか?」
「えっとね、怒ってるって訳じゃないんだけど……カイトくん、さっき公爵家のリーオル様と戦ったでしょ? ああいうのを少し控えて欲しいなぁって思ってさ」
「……ふむ、勝てないというわけではないと思うのだがな……?」
すると横からリリカがジト目を向けてきた。
「マスター、そういうことではないかと思います……」
「む? どういうことだ?」
「えっと、今回はよかったけど貴族の人たちに不快にさせちゃったりすると不敬罪っていう罪になっちゃうってカイトくんも知ってるよね?」
「ああ、さっきの男からの説明で大体察していたが、それって完全に貴族自身の主観が入るよな?」
内容を訊く限り、不敬罪にするかどうかなど貴族が勝手に決めているようだからな。
前世であっても貴族は面倒な問題を国民に投げることは多々あり、犯罪の温床でもあったが、気分だけで貴重な国民の首を刎ねるという選択をするほど腐ってはいなかった。
平和になったこともあり、国民の存在が軽くなったと考えているのだろうか? なんとも馬鹿馬鹿しい。
「……それはそうだけど、この国では国王陛下が最高権力を持ってるんだけど、公爵家ともなると軍を動かせるくらいの権力は持ってるんだよ? いくらカイトくんが強いといっても、そんな貴族が優位な刑罰で処刑なんて嫌なんだよ……!」
ネネの言葉からは貴族に対する怒りに加えて、心配や不安のような感情を読み取ることが出来た。
――また、心配させてしまったな。
《理外の生命》になった時にも心配させてしまったが、本当に悪い癖だ。
そんな悪い癖を呪い、俺は自身の純白の髪を指に絡めた。
「……すまない。今後はこういう行動は極力避けるようにするから、そんな顔しないでくれ」
そう言ったと同時に彼女の頭に手を置く。
――こんなことで機嫌が直るのだろうか?
少し心配に思えたが、彼女の表情を見ると笑顔を作ってくれていた。
横から様子を見ていたリリカが『私も!』と俺の腕にしがみついて来て俺も自然と笑みが溢れた。
◆
〜数日後〜
合格発表の日になったので俺たちは《メルゾート魔剣学園》へと足を運んでいた。
既に合格者の名前が書き記された紙の前には多くの群衆が出来ていた。
前が全く見ることが出来ないので、【遠方可視】を使い、紙の内容を視界内に納める。
――さて、俺たちの番号は……。
俺の番号はC-24だったので取り敢えず、Cグループの範囲を探し、そこに書かれている番号を……あった。
合格者表のところに俺たちの番号が書かれていた。
――ともかく、合格は出来たようだな。
「二人とも、良かったな。俺たち全員合格みたいだぞ」
二人にそう伝えると、二人とも緊張したような表情が溶け、ぱあっと眩い笑顔を作った。
「やった! リリカちゃん、合格だって!」
「内心、緊張していましたが無事合格出来てよかったです。こんなに緊張したのは久しぶりです、家出の実行したときくらい緊張しました」
そういえば、家出してこの世界にきたと言っていたな。
家の方ではどんなことがあったのか今度聞いてみてもいいだろう。
「よし、これからはこの学園での生活ということか。なかなか楽しめそうだしな」
俺は垂れている髪を掻き上げ、眼の前の学園を見つめた。
◆
〜さらに数日後〜
「……ふむ、これが制服という物か。貴族の着ている燕尾服に少し似ているな」
俺は現在身に纏っている制服と呼ばれる物を観察していた。
普段の服装は『不死鳥の衣』を除き、だいぶラフな感じなので少し着るのに時間がかかったが、着る方法が分かれば魔法陣を使って瞬間的に着替えることも可能なので特に気にすることではない。
多少、堅苦しくはあるが動きやすいことと【修復】の魔法が付与されているため不便に感じることはなさそうだ。
服自体は黒を主軸としており、腕などの部分には赤のラインが施されていてカッコいい。
「マスター、とっても似合っていますよ!」
「うんうん! なんか貴族の人みたいでカッコいいよ!」
女子用の制服を身に纏ったリリカとネネがそう言ってくる。
女子用のものは男子のものとは対照的に白を主軸としていて、同じように赤のラインが施されている。
こちらも同じく【修復】の魔法が付与されているようで二人からの評価も良いものだった。
そんな制服だが、少し思うことがあった。
「……なぁ、これって別に【修復】以外の魔法を付与しても問題ないんだよな?」
「入学に関する資料には制服の《付与魔法》に関する言及はされていませんでしたからね。ダメだと言われていないので大丈夫なのではないでしょうか?」
「……なら、二人とも腕を出してくれ」
そういうと二人とも顔を合わせ、首を傾げていたが素直に腕をこちらに出してきた。
俺はその腕に……正確には制服にある魔法を付与した。
「……カイトくん、これって」
「ああ、【破壊耐性】の《付与魔法》だ。もとより付与してある【修復】も質は良いものだが戦闘時には【修復】を発動して直るまでの時間も命取りになることがある。なら、最初から対策は打っておくほうが得策だ」
「なるほど! マスター、お心遣い感謝致します!」
「いや、気にすることはない。《付与魔法》は出来るものが増えると何かと便利だ、二人とも覚えておいたほうがいい」
リリカは《付与魔法》を昔に教えたことがあったが、だいぶ苦手としていた。
ネネに関しては、《付与魔法》の基礎すら教えていないのでリリカと一緒に後々教えるとしよう。
そして、そんなことを考えていると高い鐘の音が響いてくる。
「……どうやら、時間のようだ。俺たちのクラスはDクラスのようだな」
「ふふっ、学生というのは初めてですので楽しみ半分、緊張半分と言った感じでしょうか」
「私もドキドキしてきちゃったよ! 楽しみだね!」
「ああ、俺も楽しみだ」
俺たちは互いに笑いながら指定の教室へと足を運んだ。
スランプって辛いねwなんにも思い浮かばないんよー!( ;∀;)




