教師
試験などで投稿が遅れましたー!猛省!ですが、今回も頑張って書いたのでお楽しみくださいませ〜!
「……ふむ、では教師の募集をみてここにきたのか?」
「ああ、その通りだ。一応、学園の注意事項の中に結界に関することも書かれていてな、その像には触れるなって項目があったんだよ」
あの後、ガウルスが何故この学園にいるのかを聞いたがどうやら前に募集をしていた教師の一人として選ばれたらしい。
だが、一つ疑問があった。
「……お前が、教師として来たってことは他にも冒険者の教師がいるということか?流石に一人だけを雇うということはないだろう?」
そう聞くと、何故かガウルスは重めの表情を作った。
「……あー、まぁ、俺以外にもいるんだが、その中の一人にだいぶヤバいやつがいてな」
「……ヤバいやつ?」
「……ああ、教師候補の最後にいたやつなんだけどよ、なんていうかな……文字通り次元が違うやつでよ、採用試験のときも試験官のやつを指一本で倒しちまったんだよ!」
――ほう、指一本でか。
前に戦った近衛騎士団長のやつもだいぶ弱かったので、その試験官とやらは恐らくそれよりも弱いのだろう。
だが、それでも俺はあの時の決闘で、剣を使って勝利したのだ。
指一本もやろうと思えば出来るが、何かと隙を作りやすいので、試験といえど実践には向くことはない。
それをやって退けた猛者がいるというのだ。気にならない方がおかしい。
俺はその者が気になり、ガウルスに問いかける。
「……そいつ、どんな奴だった?名前が分かるのがベストだが、見た目や身に付けていたものでもなんでも良い、教えてくれ」
するとガウルスは考えるように顎に手を当て、空を見上げる。
「あー、そうだな。紅いローブに翠のペンダントをつけた男だった。名前は確か――」
そして、ガウルスはその名を口にする。
「――ゼロニスだったな」
俺はその名に聞き覚えがなかったが、横で待機していたリリカがピクリと反応を示し、驚いた表情を作る。
「……リリカ、何か知っているのか?」
未だに驚きを隠せてない様子でリリカは頷く。
「……確証はありませんが……マスター、ここでは少し話しづらいので場所を移しましょう」
リリカが反応を示したということは恐らく、ゼロニスという者は神の一柱か、それに準ずるものである可能性が高い。
事情を知っているネネはともかく、何も知らないガウルスもいるのだ、下手なことを喋り詮索される方が面倒だ。
「……分かった。ガウルス、お前もこの入学試験の試験官だったりするのか?」
「いや、俺は剣術専属講師だ。試験官は他の奴らだよ。ただ、そのゼロニスってやつはもしかすると試験官に入ってるかもな」
「……了解だ。じゃあ、入学後にまた会うとしよう」
「おう!頑張って来いよ!」
そうして、俺たちは学園内へと足を踏み入れた。
〜《メルゾート魔剣学園》〜
「……それで、リリカちゃん。ゼロニスさんってどんな人なの?」
ネネが学園に入って早々、その質問をリリカにぶつけていた。
今は、学園に入ってすぐのオープンスペースで試験開始を待っている状態だ。
俺たちの他にも多くの人数が試験を受けるようでざっとみて四百人から五百人ほどの人数がここに集まっていた。
――まあ、ここなら俺たちの会話も他の会話に紛れてまともに情報を聞かれることもないだろう。
そして、質問をされたリリカが答える。
「……えっと、間違いでなければの話なんですけど、ゼロニス様という方は私のいた神界とは別の《煉獄》という場所を管轄としている神々の中でも重鎮と呼べるお方です。位で言えば破壊神と同じほどの権力を持っています」
――神々の重鎮、何故そんなやつがここに?
いや、一つだけ思い当たる節がある。
「……《理外の生命》か」
「……恐らくはその通りかと」
リリカは静かに首肯する。
ゼロニスという神を送り込んだのは十中八九師匠だろう。
そんな重鎮を動かせるとすれば師匠くらいだ。
《理外の生命》となった者は少なくともこの世界では見たことがない。
恐らくは、ファルヴィスやヴェルフェン、先程名の挙がったゼロニスという神も《理外の生命》にはなっているだろう。
転生する千年ほど前にヴェルフェンから指導を受けていたことがあったが、傷をつけることは愚か、まともな勝負にもなっていなかった。
今思えば、アレは《理外の生命》が関係していたのかもしれない。
しかし、俺は他にもある神々を見て来ている。
絶滅に瀕するまで徹底的に叩き潰した邪神どもだ。
奴らは現在で戦ってもなかなか苦戦するとは思うほどの強さが単体で備わっていたが、倒すことは出来たのだ。
ということは奴らは《理外の生命》ではないということだ。
となると、神という存在であっても《理外の生命》になることには何か条件があるに違いない。事実、亜神という存在であるリリカは《理外の生命》になっている様子はない。
恐らく師匠は《理外の生命》を神以外から創ったことはなかった、そしてゼロニスというやつは《理外の生命》となった俺の監視役として送り込まれた可能性が高い。
「……なかなか面倒ごとが起きそうだな」
そう俺が呟くと、いきなり大音量の鐘の音が会場に鳴り響いた。
『会場にいる受験者の皆さん。自身のグループを確認してそれぞれ、グループごとの役員のいる場所に向かって下さい。役員の者たちがそれぞれ試験会場に案内します』
ふむ、そろそろ試験が始まるようだな。
学園内に入るときに渡された受験票を確認すると、そこにはC-24と書かれていた。
「……俺はCグループだな、24と書かれている。ネネ、リリカ、二人はどうだ?」
「私はC-25だよ!」
「私はC-26ですね。一緒に入ったので連続した数字になったようですね」
そうか。ひとまず、二人がいてくれて安心だな。
「……それじゃあ、行こうか」
そう二人に声をかけ、試験会場へと向かった。
投稿期間が空いてしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m
次回はもう少し早めに投稿出来るように善処します!




