学園
お待たせしました〜!今日は祝日ということで時間があったので投稿しました〜!大体ひと月に二本投稿を心がけているのですが、あんまり守れてませんねすいませんm(_ _)mゴメン やはりまだ拙いところもありますが、よかったらお楽しみくださいませ〜
「……ネネさん、一つ言いたいのですが、いいですか?」
一緒に話を聞いていたリリカがネネに尋ねる。
ネネがコクリと頷いたことを確認してからリリカは質問を投げかけた。
「……まず、ネネが学園に行きたいということに私は反対しません。私はネネさんの意見を尊重したいと思っています」
そう一息で告げるが、その後に『ですが……』と言葉を紡ぐ。
「……ネネさんは『自分がパーティーには不釣り合いだから学園に行きたい』というのですよね?まず、前提としてネネさんはそう思っているかもしれませんが、私はネネさんがパーティーに不釣り合いだと考えたことはありません、恐らくこの意見はマスターも同じかと思います」
リリカの意見はもっともだ。
俺もネネがパーティーに不釣り合いだと感じたことは一度もない。
力が足りないから、魔力が少ないからという理由で仲間を仲間と認識しないというのは傲慢であり極めて失礼というものだ。
俺は確かに力を求め、強くなったが、いいことづくめではなかった。
むしろ、他者からは奇怪な眼で見られ、何度も恐怖、畏怖された。
だが、能の無い者が能を求めて何が悪いというのだ。
ネネは自身の力を知っていて更なる力を手に入れて俺たちに並ぼうという想いはよくわかった。
力の渇望というのは俺も若い頃はよくしていた。というか、現在進行形でも力をつけようと努力しているのは変わらない。
ならば、年上として少し助言をしよう。
「……そうだな、俺はネネを不釣り合いだと思ったことはない。だからネネにパーティーを出て欲しくないんだ。だが、それでも学園に行きたいのなら、一つ俺からの提案だ」
「えっ?」
ネネが声を漏らすが俺は気にせず、指を一本立て、説明する。
「……ネネが学園に行くのなら俺たちも一緒に連れて行ってほしい」
俺がそう提案すると、ネネは困惑の声を上げた。
「えっ、え、えっと、あの、カイトくんだったら勉強なんてしなくても多分、魔法とか学園の先生たち以上だから、教わることなんてないと思うんだけど……?」
「……まぁ、そうかもな。だが、学び舎というのは前世の世界にはなかったからな。中々新鮮だ。どういうものなのかが知れるのであればそれも勉強と言えるだろう」
そういうと何故かリリカはクスクスと笑っていた。
「私も、学園というものに行ったことがないのでとても興味があります。それにパーティーを出ていかず、学園が休みの日だけ会うというのもいいですが、せっかくなのですから私はネネさん一緒に行きたいのです」
「……まぁ、つまりは俺たちが一緒に学園に行けば、ネネも魔法などのことが学べるし、俺たちも学園というものがどういうものかを知れるから、得しかないわけだ」
そう説明すると、納得したようでネネはいつも通りの笑顔を見せてくれた。
「……うん!ありがとう、二人とも!」
〜二週間後〜
「……ふむ、ここが《メルゾート魔剣学園》か」
あれから二週間後、ギルドで受験手続きを済ませ、俺たちは受験会場である《メルゾート魔剣学園》に来ていた。
外観はいくつかの建物が合わさった造りをしていた。
――この学園は寮というものを設けているらしいからな、その一部だろう。
そして、赤眼に魔力を込めてあたりを確認するとあることに気づいた。
「……この学園、結界が全体に張られているな」
「結界ですか?」
リリカが聞いてきたので俺はコクリと頷く。
「……年月が経っているからか分からないが、だいぶ弱っているな。恐らく、学園を災害などから守るために張られたのだろうが、この強度では紙切れほどの意味もないぞ」
結界の強度は既に無いに等しかった。
龍がブレスを撃てば、この学園は跡形もなく消し飛ぶだろう。というか、王都が壊滅する危険がある。
「……昔、魔族とか他の種族たちからの攻撃を想定して張られた結界らしいんだけど、もう他種族との争いも無くなったから使われることがなかったんだって。カイトくんなら張り直したりすることって出来るの?」
ネネがそう説明してくれた。すっかり元気になったようで何よりだ。
「そうだな、張り直しくらいなら簡単に出来るが、結界の発動元は――」
キョロキョロと、あたりを見回すとそれらしき像が建っていた。
「……これだな。結界の要となるように神鉄鉱石が使われている」
他にも像は幾つか設置してあったが、神鉄鉱石が使われているのはこれだけだった。
赤眼を通して結界の構造を見てみるとやはりというか、だいぶ魔力が弱まっていた。
結界自体の精度もだいぶ悪かったので、張り直そうと像に触れようとしたとき、背後から声がかかる。
「コラーッ!君たち、一体そこで何をしているんだ!」
振り返ると、社交的な格好をしているが外からみて分かるほどがっちりとしたガタイのいい男性が立っていた。
そして俺はその男性に見覚えがあった。
「……お前、ガウルスか?」
目の前に立っていたのはこの時代に来てから冒険者ギルドで俺の前に並んでいた冒険者だった。
「……お前って、嬢ちゃん、俺とは初対面だろうに、確かに俺はガウルスって名だが、嬢ちゃんは見たことがねぇぞ?」
どうやら、俺を女と勘違いしているようだ。
「……誰が嬢ちゃんだ、俺だ。冒険者ギルドでは世話になった新人だよ。そういえば名乗ってなかったな。俺はカイトという、改めて宜しく頼む」
そういうと、ガウルスはぎょっと眼を見開いた。
「お、お前、あんときの坊主か!?一体、何があったんだよ!てか、話し方も変わってんな」
「……話し方に関しては、これが素だ。姿に関しては……まぁ、色々あったんだ。気にしないでくれ」
「……は、はぁ」
なんだか理解出来ていない様子で頷くガウルス。
そして、横から疑問の声が上がる。
「……マスター、その方はどなたでしょうか?」
「あぁ、リリカは知らないのか。俺がギルドに行った時に世話になった人だ。下手に手は出すなよ?」
「……マスターのご友人ということなら変に手は出しませんよ。……えっと、ガウルス様、マスターの従者であるリリカです。以後お見知りおきを」
民族衣装のような服装のスカートをつまみ優雅にお辞儀をするリリカ。
「……従者って、坊主、アンタ貴族かなんかかい?って、貴族がギルドにいんのもおかしいか」
何故か自己解決しているガウルス。
「まぁ、アンタの思ってる通り、俺はただの平民だ。リリカとは少し縁があってな。ネネと一緒に俺とパーティーを組んでいる」
そういうと、リリカとネネから『ただの平民』と言ったときにジト目を向けられた。
まぁ、あまり気にしないでも良いだろう。
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