魔王との再会
「昨日はありがとうございました」
「お母さん、元気でね〜」
手を振りながら俺たち2人はネネの家を後にした。
◆
〜首都・ルマイド〜
「さて、これからなにかしたいことはあるか?」
俺は、ネネに問う。
「特にありません。やっぱりクエストを受けましょう」
クエストも良いのだが、今回はちょっと別用があるからそれはまた今度にしてもらおう。
「ちょっと行きたいところがあるのだが、一緒に来てくれるか?」
「はい!ですが、どこへ行くんですか?」
行くといっても二つの目的地の内一つは普通に行ける場所だが、もう一つははっきり言って何処にあるのかが分からない。
「なぁ、ネネ。ここら辺に教会か神殿、とにかく神を祀っている場所ってないか?」
「神様ですか、隣の街のドルンドならあったと思いますがここら辺にはありませんね」
ネネが辺りを見わたしながら言う。
「そうか、じゃあそっちは後回しだ。もう一つ行きたいところがある。一緒に来てくれるか?俺の旧友のところだ」
「カイトさんのお友達ですか〜。どんな人何ですか?」
人?人ではないなアイツは。
「普段は冷静沈着なんだが、何故か俺や友達には甘えてくるやつだ」
「へぇ〜。年下の従兄弟か誰かですか?」
「いや、旧友と言っただろう?血の繋がりはない」
ネネには、話すより先に見てもらった方が良いだろう。
「ネネ、手を添えてくれ。転移魔法を使う」
「転移‥‥魔法。はぁ、カイトくん相変わらず凄い魔法を使えるね」
なんか疲れているようだった。俺のせいか?
ネネは俺に手を添えて、魔法を発動した。
◆
魔界・キョウシュラージュ
「着いたぞ。ネネ」
目を瞑っていたネネに話しかける。
「ここは?」
「魔界・キョウシュラージュだ」
「ま、魔界!?」
少々声がデカかったのか周りの者たちの視線がネネに向いている。
「はわわわっ」
身体を縮こまらせて恐怖している。
「カ、カイトくん。嫌な予感がするから聞きたくないんだけど今日会いに行くのって誰?」
そういえば、言ってなかったな。
「魔界の魔王メアリ・シェイツ・ヴァルファンだ」
「ま、魔王‥‥」
ネネが、ガタガタ震えている。
怯える相手ではないのだがな。
「ネネ、行くぞ。ここにいては日が暮れる」
ネネの服の裾を引っ張ってネネを連れて行く。
ネネは抵抗するが、俺の力には敵わない。途中から諦めたかのように大人しくなった。
30分ほど歩いたところに巨大な城があった。魔王城だ。
「よし、入るぞ」
「ほ、本当に魔王様に会いに行くんですか。怖くて仕方ありません」
心配性だなぁ。ネネは。
「大丈夫だって、なんかあっても守ってやる」
「や、約束ですよ!」
ネネが俺の手をしっかり握ってくる。そして、そのまま城に入っていった。
◆
「ここが魔王の間だ」
俺たちの目の前にはとても大きな扉があった。
ここまで来るのに俺はネネを連れて3分もかからなかった。常時発動している反魔法によってトラップを全て無効化したからな。
俺は、扉を力を込めて開く。因みにこの扉は片方だけの重さでも5トンはある。だから、くっそ重い。
中に入ると巨大な肉体を持った男が玉座に座っていた。
『よくここまで来たな。強き者たちよ。だが、その強さもここま‥‥』
野太い声で話す魔王の言葉を俺が遮った。
「久しぶりだな、メアリ。長ったらしい自己紹介してないで幻覚魔法を解いたらどうだ?」
すると、今度はとても可憐な声が聞こえた。
「え!?その声、カイトお兄ちゃん?」
巨大な肉体が消え、対照的な小さな銀髪の少女が現れた。
そして、数秒の間を開けて、魔王メアリは俺に向かって飛び込んできた。
「わーい!久しぶりだね〜。カイトお兄ちゃん!今日も遊んでくれるの?」
「あぁ、少しなら遊んでやれる。それとお前に紹介したい仲間がいる。ネネだ」
俺はネネを指差した。
「は、初めてまして、魔王様。ネネ・クライフィアです」
「ネネお姉ちゃん!あ、私のことはメアリで良いよ。あと、敬語は使わないでね。堅苦しいの嫌いなの〜」
メアリは、魔王でありながら基本的に戦いの好まない。なので、おやつとかで釣るとすぐに仲良くなってくれる心優しき魔王だ。
まぁ、内に秘めている力は相当なものである。恐らく俺の4分の1くらいに匹敵する。
「あの、カイトくん。メアリちゃんって私の思っていた魔王像と大分違うんだけど‥‥」
ネネが耳打ちしてくる。
「メアリは基本的に戦いを争いや戦闘を好まないからな。先代などに比べても全然良い子だよ」
と、俺も耳打ちで返す。
「ふふ、付き合いやすいですね」
「そうだな」
そんな事を話していると、メアリが聞いてきた。
「カイトお兄ちゃん!今日はなにで遊んでくれるの?」
うーん、特に考えてなかったな。何しようかな。
「あっ!カイト様、挨拶が遅れてすいません」
部屋の中に執事服を着た青年が入ってくる。
「ディルメイドか。久しぶりだな。ところでデュラハンはどこに行ったんだ?」
魔王の側近の一人。魔剣のディルメイド、魔剣の一つデュランダルを扱う強者である。が、いつももう一人の側近のデュラハンと一緒いる寂しがり屋と言う悪癖がある。
「一人での対人恐怖症は治ったのか?」
俺が聞くと‥‥
「はい、おかげ様で。カイト様には魔王様だけでなく私も色々お世話になったので、感謝しております」
ぺこりと頭を下げるディルメイド。相変わらず律儀だなぁ。
「ディルメイドばっかカイトお兄ちゃんと話してズールーイー!カイトお兄ちゃんは私と遊ぶの〜!」
メアリが俺の服をぐいぐい引っ張ってくる。
「魔王様、カイト様をあまり困らせてはいけませんよ?」
「いいよ、ディルメイド。メアリだって久しぶりに会えて嬉しかったんだろしな」
そんな時にネネがこちらに話しかけてきた。
「あの、カイトくん。なんで魔族の人たちとこんなに親しげなんですか?」
「それはーー」
俺が言おうしたら横からメアリが言ってきた。
「カイトお兄ちゃんが私たちを守ってくれたからだよー!」
あぁ、ネネに今話すと面倒だと思ったから言わないようにしてたんだけどメアリが言ってしまった。
「守った?何からですか?」
「それはーーむぐっ」
俺は、メアリの口を手で塞いだ。
「メアリ、お喋りはそこまで。お姉ちゃんに迷惑でしょ?」
流石に邪神共のことを話されると騒動になりかねない。この世界でこのことを知っているのは、魔族と一部の種族だけだから情報が漏れることは少ないと思うが注意しないとな。
「迷惑ではありませんよ?それより気になりますカイトくんが何からメアリちゃんたちを守ったのかが、私にだけ秘密というのは‥‥ずるいです」
ネネが少し泣き始めてしまった。
ヤバイ、どうするか。このままにしておく訳にはいかないし‥‥
「ごめんよネネ。分かったよ話すから。泣かないでくれ」
ネネの頭をポンポンと撫でる。
「ほ、本当?」
蒼色の瞳を濡らしながら顔を上げるネネ。
「じゃあ、まずは俺のステータスを見てくれないか?あ、メアリやディルメイドもみるか?」
「うん!見る〜!」
「では、せっかくですので拝見させて頂きます」
と、2人が寄ってきた。
「『能力板開示』」
俺が言うと透明な電子板が現れた。
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名:カイト・ルイーク
種族:人間
Lv9057
HP:389,347,565/389,347,565
MP:801,724,898/801,724,898
攻撃:3,454,682
防御:1,254,825
素早さ:2,342,526
能力:SSS+
固有スキル
種族変換、言語理解、物質融合、全属性魔法行使 大剣術、生物錬成、鑑定、魔力感知、アイテムボックス、魔法統合、森羅万象、原初魔法行使、身体変化
スキル
火炎魔法Lv10 氷結魔法Lv10 自然魔法Lv10
白光魔法Lv10 黒闇魔法Lv10 時空魔法Lv10
背反魔法Lv10 砂嵐魔法Lv10 猛毒魔法Lv10
雷電魔法Lv10 水流魔法Lv10 極炎魔法Lv10
極氷魔法Lv10 転移魔法Lv10 極癒魔法Lv10
幻影魔法Lv10 創造魔法Lv10 精神魔法Lv10
呪術魔法Lv10 解毒魔法Lv10 解呪魔法Lv10
破壊魔法Lv10 大嵐魔法Lv10 終焉魔法Lv10
称号
龍殺し、魔族の支配者、時の支配者、大魔導士、
剣豪、神殺し、神々の弟子、神託者、邪神の天敵
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「「「‥‥‥」」」
3人ともそれを見た瞬間に言葉を失っていた。
最初に口を開いたのはネネだった。
「えっと、カイトくん。Lv9000っておかしくない?本当にステータスなの!?」
どう見たってステータスだろ。
「Lv9000ってのは本当だ。ここまで上げるのにスゲー時間かかったんだぞ」
「因みにどのくらい?」
「8000年だ」
「「「8000年!?」」」
全員が口を揃えて言った。
「あの、カイト様。8000年というと長寿の魔老神様たちと同レベルまで生きているということになるのですが、その、お姿があまりお変わりなさってないように見えますが‥‥」
ディルメイドが口を開く。
「姿が変わってないってのは、俺自身が体内時間を止めて時間を超越してるからな。じゃないと邪神なんで倒せないよ」
「な、成る程?」
まだ分かってないようだった。
「カイトくん、邪神ってなに?」
ネネが聞いてきた。邪神を知らないのか。俺が倒しすぎたから影響が出なくなったのか?
「邪神ってのは負の概念から生まれた神々のことだよ。俺はその邪神を約10万体倒したんだよ」
「10万‥‥」
またネネが驚いている。
「まぁ、このことは置いておくとして、俺がメアリたちを何から守ったてのは、さっき言ってた邪神どもからだよ。メアリの力でも邪神には敵わないからな。メアリ、今の自分のレベル言えるか?」
メアリに問う。
「ん?レベル?んっとね〜、4000くらい!」
4000か、まぁまぁだな。俺のいた時代でも聖騎士が8人くらいで戦ってやっと倒せるぐらいだな。
「4000ってとんでもないですね。でもカイトくんはもっと凄い。カイトくんって本当に人間?」
失礼だな。ちゃんと人間だ。種族だって人間だ。
「あっ、そういえば、もう一つ行くところがあるんだった」
アイツのところにも行かないとならないな。
「神殿や教会ですよね。でもなにをしに行くんですか?」
あぁ、言ってなかったな。ついでだからメアリやディルメイドも連れて行くか。
「メアリのじぃさんのところに行くんだ。俺はあの人にはなにかとお世話になっているからな」
「メアリちゃんのお爺さんですか、大魔王とかですか?」
メアリが横で首を振っている。
「違うよ?ネネお姉ちゃん。お爺ちゃんは神様だもん!」
「え?神様?」
そうだな。やつは神だ。
「これから会いに行くのは創造神ヴェルフェン・シェイツ・ヴァルファン。この世界の創造神だ」