閑話 亜神の記憶《1》
少し気になったので、今回から数字を算用数字から漢数字に変えてみました〜(*´∀`*)前までの投稿の数字を変えるかどうかは正直未定です。気が向いたら変えようと思います(゜д゜lll)エ?
今日、期末試験が終わったので若干テンションが上がっております( ✌︎'ω')✌︎イエイ
今回から閑話です!リリカの過去編です!楽しんでいって下さい!(((o(*゜▽゜*)o)))♡
時間は多少、遡る。
〜服屋〜
「……強くなりたい理由ですか。少し昔話になりますが良いですか?」
そう告げた亜神は自身の過去を語り始めた。
◆ ◆ ◆
〜数千年前・神界〜
「破壊神様ここに書いてあるものは何ですか?」
私は椅子に背を預け脚を組みながら自身の主に質問を投げるが、何故か主は私の質問に応えず、不満そうにため息をこぼした。
「……リリカ、お主は妾の娘じゃ。妾のことはママや母さんで良いのじゃぞ?」
そう言われるが、自分は呼び方を変える気はなかった。だってそう呼んでいいのは親と子という関係で、私と主では親子と言う関係ではないのだ。
私はこの破壊神という次元を根本から消滅させることが可能なほどの力を持っている者のもとに三人目の眷属として生み出された。
上には兄と姉が一人ずついるが、私と同じく眷属として創られた存在であり、誰一人として主のことを母親と呼んではいない。
そう、私たちは眷属であり、主の子供ではないのだ。
そんな私たちが主を母親として呼ぶなど……烏滸がましいのだ。
「……はぁ、何というかお主らは、堅物じゃのぅ。……まぁ、それより書かれているものじゃったか?……ふむ、これは下界について書かれておるの」
「下界?」
聞いたこともない場所だった。
自分は生み出されてから二百年ほどしか経っておらず、未だ知らない知識も多々あることからこうして本から知識を得ている。
だが、実際のところ私よりも果てしなく長い年月を過ごしている我が主に聞いた方が深いものを知っているので、大概は彼女に聞いて知識を増やしている。
そして我が主は、何故か私よりも小さな姿で幾つもの本を同時に読んでいる。
物心がついた頃から我が主がこの姿以外の姿をしている様子をみたことがなく、最早違和感などは全くなくなっているが、側からみれば可笑しな光景だろう。
「そうじゃ、下界というのはこの神界に直結している天界と地獄の間にある空間じゃ」
天界と地獄というのは主とは違う神々が支配している空間で何やら亡者というものを送り出した先の場所らしく、私も何度か行ったことがあるが、その間には幾つか他の空間もあったはずだ。
「冥界や煉獄とは違うのですか?」
「全く違うの。そもそも、お主は冥界や煉獄というものを知っておるのか?」
「い、いえ……」
実際に行ったことはあったが、どのような場所かと言われるとなんと言ったらいいのか分からず、言葉に詰まってしまった。
「冥界はこの下界という場所で、生命の命が消えたときに亡者という形で冥道という場所を通り、生きていた頃の行いによって地獄か天界に行くかを決める場所じゃ」
「ということは、天界や地獄に支配している神さまたちがいるのって……」
「この亡者を監視するためじゃな。それで、煉獄というのは言ってしまえば天界に行くために亡者へ課す試練じゃな。じゃから天界、煉獄、冥界、地獄という四つは下界あるからこそ存在しておるのじゃ」
なんだか一気に色々と言われたので、混乱してきたが、何となくはわかった。
だが、根本的な下界のことは分からない。
「……下界という場所はどういう場所なのでしょうか?」
そう問いかけると我が主は先程まで読んで本を読み終わった本が積んである山に積み重ね、パチンッと指を鳴らし一瞬で本の山を本棚に戻し徐に答え始めた。
「そうじゃのぅ。まぁ、世界によっても変わるのじゃが、基本的に妾たちに似た生物が多くおるの。その本にも出てきているように人間は勿論じゃが、魔族、エルフなどの異種族もおる世界もあるのじゃ」
我が主は【空間魔法】を使って私の持っていた本に描かれている人間や魔族などの絵を空間に投影しながら説明してくれている。
――地上のことも気になりますが、この魔法ってどうやって発動させているのでしょうか?
ふと、そんなことが気になりそのことについて聞いたりしていたら、元々の質問など忘れてしまっていた。
◆ ◆ ◆
〜数百年後〜
「お母様この食器などはこっちの棚で良いのですよね?」
「うむ、割らぬよう気をつけての」
私は母に言われた通りに綺麗な装飾が施された食器が並べられている棚に、食事で使った皿などを並べていく。
他の兄弟たちは既に片付けており、各自部屋に戻っている。
今は眷属が増え、私を含めて七人おり、その他にも召使いの天使や悪魔が五十人ほど増え、合計で二百人程の召使いがこの家に住んでいる。
だが、そんな多くの召使いを雇っていてもこの屋敷の部屋は余っており、最早全く使われていない部屋も多々あるのが現状だ。
――空間魔法で屋敷内の部屋数を増やしたのは分かりますが、さすがに多過ぎですよね。
ずっとここに住んでいる私もこの屋敷に一体どれだけの部屋があるのかわかっていない。全貌を把握しているのも母だけだ。
……とそんなことを考えていると、上目遣いでこちらをジッと見つめながらニヤニヤしている母親の顔が視界に入ってきた。
「なんです、お母様?」
「いやぁ、何でもないぞ?ただ、妾のことを『お母様』と素直に呼んでくれて嬉しいだけじゃ」
「ーーッ、よ、呼べと命令したのはお母様ではないですか!」
最近はそう呼ぶことが日常であったために、いきなり指摘されて恥ずかしくなり顔を紅くし叫ぶ。
この目の前で私の様子を見て笑っている母は私たちが呼び方を変えたとしても、主と眷属という関係は変わらないのだ。
数百年前に主としての命令権を行使して私たち眷属は主である彼女のことを母と呼ぶことを命令したことでそれ以降、主を主ではなく母として呼ぶこととなった。
因みに、母が命令権を行使したのは後にも先にもこれ一回きりらしく、母曰く――
『命令なぞして家族を動かして何が面白いのじゃ。妾はお主らと談笑出来れば満足じゃからの。命令の権利は金輪際封印するのじゃ』
とのことだそうだ。つくづく我が儘で優しい神の元に生まれたものだ。
「もうっ!揶揄わないでください!食器とかはもう全部ですよね?私は読書に戻ります!」
恥ずかしさと勢いで、部屋から飛び出し書斎へと向かうが、出て行く時に視界の端で優しい顔でこちらを見つめる母が映ったのを見逃さなかった。
〜書斎〜
「――全くお母様は……」
いつも使っている読書用の椅子に腰掛け、ため息をこぼす。
母は昔から何かと私たちに冗談を吹き込んでは慌てふためく様子を楽しんで笑うという幼稚なことを好んでいる。
勿論、仕事のときはそんなことしていないと思うが……してないですよね?
あの人のことなので心配になってきたが、神界での母の評価は非常に高く多くの功績を残してきた偉大な神なんだそうだ。
「まぁ、お母様の良いところではありますが困ったところでもありますよね…………っと」
独り言を呟きながら、周りに積んであった本を適当にこちらに持ってきて空中で三冊を同時に開き、スキル【並行理解】を発動させ、同時に三冊の本を読み始める。
「……あら?この本って……」
三冊のうち一冊を手に収め、頁をめくっていく。
内容を読んでいくうちにあることに気づいた。
「……この本、前に下界について書いてあった本の続きですね。え〜と、なになに……」
目次を開き、面白そうな項目がないか探すと、ある項目が眼に止まった。
「『下界への行き方』ですか」
そういえば、下界の生命や様子などは母から教わったが、肝心な行き方は知らなかった。
早速、目次を頼りに下界への行き方の書かれた場所を開き、眼を通す。
二十分ほどしてその項目の内容が読み終わり、一つの答えにたどり着いた。
「なるほど、《転移魔法》ですか」
事細かに書かれていた文章をなんとか理解し、分かったことはそれだった。
《転移魔法》――《空間魔法》の一種であり、その名の通り場所と場所を繋ぐ魔法である。
だが、一重に場所を繋ぐと言っても様々な種類が存在する。
代表的なものだと、魔法を行使した者のみを指定した場所に転移させるものや、効果領域内の生物や物体を一斉に転移させるものなど多岐に亘る。
その中で下界に向かうために使用する《転移魔法》は次元という場所に干渉するものでトップクラス難易度が高い。
――一番手っ取り早い方法としたらお母様に聞くことですが……。
私たちの母は様々な分野に精通しているので《転移魔法》に関しても知っているとは思うが、ある理由のせいで気が進まない。
――お母様って私たちにやたら過保護なんですよね。
母親の過保護具合はここの住人は既に知っているのだが、どうにも行き過ぎているように感じる。
迷子になっては困ると外出のときは許可を取るようにしているため、下界でなくとも煉獄や冥界にも数えるほどしか行ったことがない。
――《次元干渉転移魔法》のことなんて聞いたら流石に怪しまれますよね?
この本を読んでいて下界への興味がより一層増した。
どんな物があり、どんな生き物がいるのかこの眼で見てみたい。
そんなことを考えながら、転移魔法について記述された本を片っ端から集め、情報収集を始めた。
評価、ブクマしてくださると私が狂喜乱舞しますのでどうぞ宜しくお願いします( ̄^ ̄)ゞでは!




