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師匠

待たせたな!(^ω^)

〜街の街道〜

 俺たちはギルドに戻ることはせず、一度ファルヴィスと合流することにした。


 正直、リリカの兄弟が何か騒動を起こしていないか気になったのだ。


 その旨のことをネネ、リリカ、ルートに話すと賛同してくれた。


 ということでギルドを後回しにし、先にファルヴィス達と集合場所にしていた石像の前に来ていた。


 辺りを見回すと、武器屋のところにアーロンとレストが居るのを発見した。


「おーい、兄さんたち何して——」


『ぎゃああああ!!』


リリカが2人に近寄っていくと、いきなり複数人の男の絶叫が響いた。


「‥‥なんだ?」 


 絶叫のあった方向に眼を向けると、腕の無くなっている男が数人とファルヴィスと娘のシャロンが立っていた。


 腕を吹き飛ばしたことで辺り一面が真っ赤に染まっている。


 2人は結界を張り、返り血を防いだようで一滴の血も付いていなかった。

 

「ああ‥‥お、俺の腕が‥‥」


「汚らわしい手でお母様に触れるからです」


 状況から察するにチンピラどもがファルヴィス達に絡んだことが原因で腕を吹き飛ばされたのだろう。

 

「‥‥はぁ、面倒なことをしてくれたな【範囲内時間操作(エギラ・フェヌス)】」


 時間魔法を使い、ネネやファルヴィス一家以外の者たちの時を止めた。


 先程の男供の絶叫で野次馬が集まって来ていたので面倒ごとを避けるために時を止めたのだ。


‥‥さて、後は‥‥


「【範囲記憶改竄(エギドメア)】」


 【範囲記憶改竄(エギドメア)】は範囲内の者の記憶を一部改竄する魔法だ。

 男どもとファルヴィスたちが緩んでいた事実を記憶から抹消してしまえば、ファルヴィスたちに注目する者もいなくなるだろう。


 俺は、少し怒りを顔に出し、ファルヴィスに問いかけた。


「‥‥ったく、面倒ごとを起こしていないか確認に来てみたが、予想通りだったな」


 俺は、話しながら男たちに修復の魔法を掛け、腕を治し、ついでとして記憶を改竄しておいた。


「そ、それは、面目無いのじゃ。じゃ、じゃが、先に手を出してきたのはアッチじゃ!」


 まぁ、予想通りだな。

 ファルヴィスは基本、人についていこうなんて、まずしない。


 ファルヴィスなどの神々は人間や生物にあまり興味を示さない。

 本当にこういうチンピラとかは一度、痛い目に合わないとまた同じことを繰り返すだろう。こいつらの味わった恐怖だけは残しておくか。


「腕を飛ばしたのは私。お母様は何もしてない。叱るなら、私にして」


そう申し出たのは、ファルヴィスと一緒にいたシャロンだった。


「そうか。ならば、シャロンだったか?お前は力の加減を考えることだ。ここの人間は弱い。例えば、お前が一回人間の顔を殴りつけただけでもその人間が俺みたいに強固出ない限り、一瞬で絶命に繋がるんだ」


そのことにシャロンは驚愕し、口を開けていた。


「じゃあ、ムカついたらどうしたらいい?」


 シャロンはコテンと首を傾げ、聞いてくる。

 なかなかに難しい質問だな。返答に困る。


「そうだな、力加減を考えたら、このくらいなら気絶程度で済むだろう」


 そう言って、俺は地面に拳をねじ込み、地面を抉りとった。

 だが、その様子を見ていたファルヴィスから指摘された。


「お主、それは加減とは言わぬぞ。その力を振るえば普通に人であれば死ぬと思うのじゃが‥‥?」


「いや?このくらいだったら、頭に入れれば頭蓋骨粉砕くらいで抑えられると思うんだが?」


「はぁ、何というかお主は‥‥」

 

 ファルヴィスは頭を抱えて唸っていた。

 力加減は間違っていないと思うが伝わりづらかったのもあるのだろう。

 ‥‥と、そんなことを考えていると、ふと、時間の停止した世界の中で声が響いた。


「いや〜、なんとも強くなっているじゃないかカイト?」


 ネネやファルヴィスの家族たちではない、声が空間に響いた。


 普通ならば、こういうときは警戒などをするべきなのだろうが、俺は悠長にその声に

答えを返した。


「こんなとこで何をしているんですか?師匠?」


そう答えると、声の主‥‥師匠は高らかに笑い声を上げた。


「アハハハハッ!懐かしいねぇ!その呼び名!まだそう呼んでくれるのは嬉しい限りだよ」


「そうですか、それは良かったです。ですが、今更、何の用が?しかも時間にまで干渉を起こして」


 久し振りに会えたことは嬉しいが、時間を停止した世界に干渉してくるのは正直やめてほしい。

 無理に時間に干渉されると、術式が不安定になり、魔法が解けてしまうことがあるからだ。


「いや〜、やっぱり、人の国は落ち着くからね。少し休んでいたんだ」


 そう言いながら、宙に浮く少年。

 師匠の見た目は俺の見た目より少し小さいくらいの少年だった。


 昔と見た目は変わっているが、魔力の質と莫大な力の大きさを感じとり、師匠だと確信した。


「そんな格好で何をしているのです?」


「何、暇つぶしをしていたんだ。仕事に息抜きは欠かせないからね」


ぐぐ〜っと背伸びをする師匠にファルヴィスが話しかけた。


「では、仕事に戻ってもらえると助かるのじゃが最高神エルメス様?」


その一言で場が凍りついた。


「えぇぇー!?この子が最高神様?しかも、カイトくんのお師匠さんなの!?」


 ネネが声を上げていた。

 まぁ、普通はそうなるだろう。師匠の見た目には見えないし、最高神であることは俺も初めて知った。


「師匠って最高神だったのか。なるほど、最高神ならば昔、稽古をつけてくれたときの理不尽な魔法なんかを使えてたのも納得がいくな」


「理不尽なんて、酷いじゃないかカイト〜。僕が使っていたのなんて、終焉魔法や物理法則を反転させる魔法とか、あと……」


 師匠は簡単そうに口にしているが、出てきた魔法は普通の難易度のものもあるが、終焉魔法なんかに関しては、ファルヴィスでも使えるか怪しいくらいの超高難易度の魔法だ。


「ああ、あと、教えるのに苦労したのは蘇生系統の魔法だね」


 その言葉にファルヴィスが疑問に感じたのか、質問した。


「……蘇生魔法はそれほど難しい魔法術式でもないと思うのじゃが?」


「確かに蘇生魔法自体の魔法術式はそこまで難しいものじゃないんだけどね……」


師匠は少し考える仕草をした後、こういった。


「そろそろ、立ち話も疲れてきたし、どこかでお茶でもしないかい?蘇生魔法の続きはそこで話そう?」


 確かに少しこの空間を維持するのも疲れてきたな。

 

「そうだな。他のみんなが良いと言うのならば、是非と言いたいところだ。みんなはどうだ?」


「妾は構わない。リリカ、ルート、レスト、アーロン、シャロン、ネネ、お主らも構わんじゃろ?」


ファルヴィスの言葉にみんなは、首肯した。


「決まりじゃな。メリッサ、セレス、お主らも行くかの?」


すると、何もない壁から声が響いたと同時に壁に沿った空間が歪み、セレスとメリッサが姿を現した。


「気づいていましたか。時間が停止していたので、何かあったのではないかと姿と気配を消していましたが、流石、お母様ですね」


「気付かない訳がなかろう。何千年、一緒にいたと思っておる」


ファルヴィスが、くつくつと笑う。


「みんな、揃ったようだし、移動しようか。せっかくだし、歩いて、目的地に向かうとしよう。カイト、時間魔法を解除してもらっていいかな?」


 師匠ならば、この程度の時間魔法、簡単に解除出来るとだろう、と考えながらも、首肯し魔法を解除した。


「それじゃ、行こうか」


そうして、師匠を先頭に、俺たちは目的の場所へ向かった。


 すいません、諸事情により投稿が遅れてしまいました。゜(゜´Д`゜)゜。

 これからまた不定期ですがぼちぼち投稿していきますので宜しくお願い致しますm(_ _)mペコリ

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