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破壊神一家、街に出る

〜現実世界・ウラルーク大森林〜


「カイトくんたち、まだ帰って来ませんね〜」


「彼奴のことじゃ。力比べのついでに修行なんかをやらせているのじゃろうな」


カイトたちが、消えてから180分の時が経過していた。その時——


ーーウィン


「っと、よう。今帰ったぞ」


俺たちは空間魔法を使って虚実空間から現実世界に戻ってきた。


「ようやく戻ってきたか。ちと、修行が長くなかったのではないか?」


「向こうで6年間の修行をしてたんだ。仕方ないだろう?」


「はぁ、こちらにはここにきた理由があるというのに‥‥まぁ、良いわ。とにかく、彼奴らはどこかの?」


ここに来てから、ファルヴィスは3人を探しているようだった。


「お母様、ここです」


空間転移で帰ってきたレストがファルヴィスに話しかける。その後ろにアーロンやルートの姿を視認することが出来た。


「おお、時空転移をものにしたか。しかも、あの空間から帰ってくるとはな」


「‥‥へっ?あの、お母様。あの空間とは?」


あ、やべ、せっかく言わないでおいたのに。


「なんじゃ、カイトから聞いておらんのか。もともと、虚実空間とは存在しない空間じゃからの。

空間軸に干渉して移動する空間転移じゃと、ちと移動が難しくての。失敗したら空間の狭間に閉じ込められてしまうのじゃ」


「「「え!?」」」


3人同時に同じ表情をしていた。


「本当なのですかお母様!?え?じゃあ、戻れなかったら‥‥」


「戻れなかった時は俺が助けていた。空間の狭間といっても空間であることは変わらないからな。その場で空間ごと破壊してやる」


「お母様、空間の狭間には、普通行くことが出来るのですか?」


ルートがファルヴィスに問いかけた。


「当たり前じゃが、無理じゃ。空間の狭間なんてまず、どこにあるのか分からんからの。カイトを基本にしようと思うでないぞ」


おい、どういうことだ。まるで俺が異常なように聞こえるじゃないか。


「まあ、雑談はこれくらいにして、ファルヴィス。お前たちはこれからどうするんだ?」


「それなんじゃが、少し街に行ってみようと思うのじゃ」


「街に?」


「そうじゃ、子供たちもまだ完全に回復したわけじゃ無かろうからな。それに人間の作る料理は美味いしの」


前者は建前で、後者の方が本音な気がするんだが、まぁ、いいか。


「ということだ、ネネや他のみんなもいいか?」


「私は、良いと思うよ〜」


「私もお母様の意見に賛成です」


「私も姉さんたちに賛成です。色々と見て回りたいです」


「私はマスターについていきます」


ネネやセレス、メリッサ、リリカも賛成なようだ。


「俺も賛成だ。カイトさんの修行の疲れが残ってるからな」


「俺も兄さんと同意見だなぁ」


「僕も、少し休みたいなぁ」


女子組に続いて、3人も賛成なようだ。


「それじゃあ、この魔法陣の中に入ってくれ。ルマイドの街まで転移をする」


俺はそういうと巨大な転移陣を展開した。

そして、みんなが魔法陣の中に入ったことを確認してから転移魔法を発動した。



〜ルマイドの街〜

「っと、移動完了かな」


俺は、転移場所を街の裏路地に決め、転移した。

そのため、中々に狭い。

もう少し、場所を変えた方がよかったかもな。

なんとかして裏路地から脱出して街道に出た。


「ふう、すまない。人気の無い場所を選んだんだが。少し狭かったな」


「いや、気負いなんぞせんでよい。転移魔法は便利じゃが、場所や消費する魔力の量にも問題があるからの」


「そう言ってくれると気が楽だ。ありがとうな」


俺はファルヴィスの頭にポンと手を置き、数回撫でた。


「あ……うむ…」

「ん?どうしたんだ?顔を赤くして‥‥」

「な、なんでもないわ!」


ファルヴィスはそう言って、そっぽを向いてしまった。

う〜む、ネネやリリカは喜んでくれたのだが、ファルヴィスは嫌いだったのか?

女心というのは8000年経った今でも分からない大きな課題の1つだな。


「あら、お母様。カイト様に頭を撫でられて照れてしまったのですね」


「セレス、お主には後でお灸を据えてやろう。妾を煽った罰じゃ」


「ふふっ、それは、丁重にお断りすることにしますね。それにお母様。照れる事は恥じる事ではありませんので怒る事では無いのですよ?」


「‥‥うぐぐ。お主、少し見ないうちに口が随分達者になったではないか」


「それはそうです。私だって成長するのですから」


セレスとファルヴィスは何かを話しているようだが、ここからだとよく聞き取れないな。


まぁ、元から盗み聞きなんて事はする気は無いが。


「あの、カイトさん」


「ん?どうした?ルート?」


横からルートが話しかけて来たので、そちらに振り向いた。


「あの、僕って人間の街って来たことが無くて‥‥その、案内して欲しいんですけど‥‥駄目ですか?」


ルートは上目遣いでそう提案してきた。

なんか、ルートは弟みたいな可愛さがあるな。兄弟というのは本当に興味深い。


「それくらいなら、全然いいぞ。だが、俺もこの街をそんなに知っている訳じゃないからな。俺も見て回りたいとは前々から思っていた」


「ありがとうございます!僕、冒険者ってのをやってみたかったんです!」


冒険者か‥‥亜神がなるなんて聞いたことが無いな。

まぁ、なってはいけないなんて決まりないだろうし、いいかな?


「じゃ、ギルドに行くぞ!」


「はい!」


俺が、ルートの手を引こうとした時に後ろから声がかかった。


「マスター!待ってください」


「ん?なんだ、リリカ?」


横からリリカが俺たちを呼び止めた。

少し、顔を赤らめている気がするが、どうしたんだ?


「その、私も一緒に行ってもいいですか?」


なんだ、一緒に行きたかったのか。

ルートに目で、いいか?と尋ねるとルートは首肯したので『いいぞ』と言おうとしたときに更に後ろから声が上がった。


「私も行きます!」


手を上げ、ネネも賛成してきた。

ネネも行きたいのか。せっかくだし、彼女たちにもルートに街の案内を手伝ってもらおう。

他にも、聞きたいこともあるしな。


「全然OKだ。ルートもいいか?」


「はい!ネネお姉さんも一緒に行きましょう!」


「ありがとう!」


そして、ネネとリリカを連れ、ギルドに向かおうとしたときにファルヴィスにいきなり呼び止められた。


「お主ら、街を周るんじゃったら、ホレ」


ファルヴィスがこちらに何かを人数分投げた。

空中を舞ったソレをキャッチして手を開くと、手のひらには硬貨が乗っていた。しかも、銀貨や銅貨なんかじゃなく、白金貨だった。


「あ、お小遣いですね。ありがとうございます」


後ろでルートがとんでもない発言をした。

白金貨がお小遣いだと?金貨1000枚だぞ?


「あ、そっか。みんなってこっちにあんまり来ないからこっちの常識が通じないんだった」


リリカが1人で納得していた。ネネに関しては、白金貨をみて、あわあわしている。


「リリカ、どういうことだ?」


「みんなはこっちの世界の硬貨は白金貨が普通だと思ってるんです。家の方に白金貨が山の様に積んでありましたから。もちろんですが、お母様も白金貨が普通だと思ってますね」


まじか、白金貨が山の様にって凄いな。


「なんじゃ、それじゃ足りなかったかの?」


「いや、ファルヴィス。まさかお前、この硬貨しか持ってないのか?」


すると、ファルヴィスは、頭に?マークを思い浮かべたような顔をした。


「当たり前じゃろう?それが、この世界の硬貨じゃろうに」


「当たり前って、この硬貨は確かにこの世界の硬貨だが、金額が多過ぎるんだ。これ1枚で小さな城が買えるレベルの代物だぞ?」


その言葉にリリカを除いたファルヴィス一家全員が驚いていた。


「なんじゃと!?この硬貨にそれほどの価値があったのか!?」


「てか、逆にどうやってそんな量の白金貨を集めたんだ?」


まぁ、破壊神だから、ドラゴンくらいなら指一本で倒せるからそれをギルドとかに売ればいけるかもしれないが、ファルヴィスに限ってギルドなんて面倒なことしないだろうからな。


「ああ、なんか500年前くらいに妾らの家にあった要らぬ道具をこの世界で売ったら山積みのこの硬貨が届いたんじゃ。じゃが、多すぎたのでな、空間魔法で倉庫にしまって置いたのをこの世界に行くということで少しだけ持って来たんじゃ」


と言いながら5枚の白金貨を掌でもて遊ぶファルヴィス。


「あの、それしかってことはこの他にも硬貨ってあるのでしょうか?」


先程、ファルヴィスと言い合っていたセレスが俺に問いかけて来た。


「すまないが、俺はここの世界に転生してからあまり時間が経ってないからな。こちらの情報はあんまり知らないんだ。聞くんだったら、ネネかリリカに聞いた方がいいんじゃないか?」

「そうですか。では、リリカ。どんな硬貨があるのですか?」


セレスは振り返って、リリカに問いかけた。


「え、えっと。確か、価値の低いものから銅貨→大銅貨→銀貨→大銀貨→金貨→白金貨だった気がします」

「そんなに種類があったんですね。この硬貨って。てっきり、これだけなのかと」


 セレスは手に持っている白金貨をまじまじと見ている。


「まぁ、白金貨も硬貨には変わりないから普通に使ってもいいと思うよ?」


「そうね、ありがとうリリカ」


 セレスがリリカの頭をなでなでしている。

 リリカも嬉しそうだ。


どうでもいいことなのだが、ファルヴィス以外のファルヴィス一家は全員が紅目に紅髪をしているので、ここ一帯に紅色が溢れているな。遺伝子とは凄いものだ。女子と男子で体型が違うが、類似している点が多くあるんだ。


例えば、みんな全体的に背が高いのだ。

俺には兄弟がいないということで、遺伝の状態がどのように体に作用するのかが分からないのでこの研究は保留にしたことがあったな。


「しかし、ファルヴィス。これ、もらってしまって良いのか? 小遣いであれば自分の分あるし、少しだったら俺が出しても良いと思っていたのだが‥‥」


「良い良い。年上には少しくらい甘えてもらわんと困るくらいじゃ。それはお主らにやるから、夕刻にこの石像の前に集合してくれれば良い。基本的に自由時間じゃ。好きなとこに行くが良い」


そう言って、ファルヴィスは残りの子ども達に白金貨を渡していた。


「そうか。それじゃあ、今回は有り難く貰っておこう。よし、それじゃ、3人とも、まずはギルドに行くぞ」


「「「オオォー!!!」」」


そして俺達はギルドに向かい、歩を進めた。


神の常識は人間での非常識、はっきり分かるね(о´∀`о)


読者様へ

お読み頂き有難う御座います。m(_ _)m

下にある☆☆☆☆☆にて作者への応援が出来ますのでどうぞ宜しくお願いします(*´∀`)♪

感想などもお待ちしています( ^ω^ )

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