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破壊神

〜森林内〜

「ふむ、2人ともしっかりとこちらに向かって来たな」


 この範囲の中で俺1人の魔力を感じ取るのは中々に難しいことだ。

2人とも前よりも随分成長しているな。


「さて、そろそろ移動するか」


俺が、木の間を移動しようと体制を変えた瞬間に感じた違和感。


「ーーッ!」


 俺は咄嗟に違和感のあった方角に魔法を放ったが、それが当たることは無かった。


——ただ、魔物が動いただけならば、今放った魔法で相手は倒れていただろう。だとしたら、敵は何だ?魔物は違う。人の魔力も感じることはなかった。だとしたら———


「面倒だが、ちょっと本気でやるか」


俺は、体制を変えてあるスキルを発動した。


「【種族変換】『龍王』」


スキル【種族変換】で種族を龍王に変えることで強靭な皮膚と爪、翼を手に入れることが出来る。

スキルによって翼に角、爪を持った龍人へと変化を遂げた。


「さて、面倒ごとを片付けるとするか」


俺は手に入れた翼を広げ、体が耐え得る最高速度で飛翔した。


〜12.4秒後〜

「‥‥見つけた」


森のど真ん中で俺は止まり、違和感の正体を見つけた。


——流石に違うと思ったが、まさか本当にいるとは思っていなかったな。まあ、一発入れれば良い話か。


俺は完全に気配を消し、龍王の体に身体強化の魔法を重複してかけ、ヘカトンケイルを構えた。


「さて、どんな反応をしてくれるかな?」


俺は、上空から一気に降下し、それにありったけの一撃を入れた。


ドゴオオオオォォォ!!


 地上に向かった衝撃で降下した場所を中心に辺りが吹き飛んでいた。

だが、俺の一撃は目標にあっさりと止められていた。


「カカッ!カイトよ。良い一撃じゃぞ。妾でも少しよろけたからの」


「ーーッ」


そう言いながら、やすやすと俺の一撃を片手で受け止めたのは、10歳程の少女だった。口調は少女ではないが‥‥。


「こんな所に何の用だ?破壊神ファルヴィス」

「なんじゃ、妾がどこにいようが妾の自由じゃろうが」


「そういうことじゃない。なんでこんな所にいるんだ。何か用があるんだろ?」


ゆっくりと地上に降り立ち、変身を解いた後で、目の前にいる破壊神に問いかけるが、当の本人はカラカラと笑っていた。

なんともやりにくい相手だ。


「ああ、それなんじゃが ——」


と口を開いたその時、パタパタと走る音が聞こえた。


「カイトくん!」


「マスター!ご無事ですか!?」


木々の間から2人が飛び出してきた。


「2人とも、平気だ。心配をかけて悪かったな」


俺がそういうと、2人はホッと胸を撫で下ろしていた。


「あと、カイトくん。そこにいる女の子は誰なの?」


ネネが俺の横にいたファルヴィスを指差す。


「ああ、そうか。ネネは初めて会うもんな。こいつは——」

「‥‥お、お母様、お久しぶりです」


俺の言葉を遮り、リリカが口を開いた。


「え?ええぇ!?リリカちゃんのお母さん!?」


「正確には破壊神ファルヴィスだ。そして、リリカの母親でもある」


「改めて、破壊神ファルヴィス・ランディアじゃ。そして、そこにおるリリカ・ランディアの母をしておる」


ファルヴィスは優雅にネネにお辞儀をした。


「破壊様!初めまして、ネネ・クライフィアです!」


ネネは恐縮したかのに様にぺこぺこ頭を下げていた。


「そんなに頭を下げんで良い。妾も話しづらいからの。とりあえず、宜しくお願いするぞネネよ」

「は、はい!宜しくお願いします!」


うん。2人が仲良しになってくれたようでよかったな。

すると、ネネの手を握っていたファルヴィスは向きを変え、リリカの方へ歩んでいった。


「さて、我が娘よ」


「は、はい。なんでしょうか‥‥お母様」


「何か言うことがあるのでは無いか?」


「あ、えっと‥‥その‥‥」


 リリカはファルヴィスに問われ、しどろもどろになってしまっている。


どうするべきか。助けてやりたいとは思うが、神とはいえ、家族間の問題に介入するのも気が引けるな。


「や、やっぱり、勝手に家を出て行ったことを怒っているのですか?」


待てよ。リリカって、家出して俺と出会ったのか?


そういえば、リリカの過去のこととかはあまり聞いた覚えがないな。


「とりあえず、リリカよ。そこに座るのじゃ」

「うう。はい」


ファルヴィスに命じられ、ぺたんと座らせられるリリカ。


ーー 親と子か。絶対に超えられない壁だな。


「す、座りました。お母様これで‥‥わふっ!」


何を思ったのか、ファルヴィスはいきなりリリカに抱きついた。


「馬鹿娘が!お主が出て行って妾たちがどれほど心配したと思っておるのじゃ!」


「え、ええ?ちょ、お、お母様!恥ずかしいです!マスターやネネさんが見てるんですよ!は、離して下さい!」


 リリカは必死に引き剥がそうとするが、当然破壊神の力の敵うはず無く、抱き着かれたままだ。


「家族総出でお主の捜索しておったんじゃぞ!後の6人は今、別々の世界に散っておる。お主が見つかったから、これから収集をかけようのじゃが良いか?」


「え?兄さんたちを呼ぶの!?兄さんたちに悪いからいいよ!」


「あ、もう手遅れじゃ。もう収集をかけてしもうたからの」


「話くらい聞いてよ!お母様!」


 リリカが叫んだ瞬間にこちらに何かが猛スピードで向かって来ているのが分かった。


 とても強い魔力の塊が6つ…これがリリカの言っている兄弟か。


「リリカ、今、近づいて来ているのがお前の兄弟なのか?」


「そうですね。お母様、本当に兄弟全員を呼んだんですね」


「当たり前じゃ。これくらいせんとたった1人を各世界の中から探すのは困難じゃからのぅ‥‥と着いたようじゃの」


 ファルヴィスが言った瞬間に何かがここに墜落して来た。

着いた衝撃でクレーターとなっていた大地がさらに抉れ、巨大な砂埃を巻き上げた。


(長女)「一体何ですか?お母様?」


(三男)「ここまで、全力で飛ばしてくるのも久し振りだなぁ」


(次男)「てか、アーロン兄さんはもう少し着地の勢いを殺せないものなの?」


(三女)「私も空間転移疲れました。リリカ姉さんは見つかったのですか?」


(長男)「着地に気をつけろと言ったって微調整が苦手なんだよレスト」


(四女)「お母様、お腹空きました。お菓子下さい!」


なんか、凄い個性的な者達が来たな。


「お前たち。リリカが見つかったのじゃ!協力してくれてありがとうなのじゃ」


「ごめんね、みんな。心配かけたみたいで」


リリカは兄弟たちの前に出て謝罪をしている。


「カイト、ネネ、紹介しよう。妾の子供達じゃ。全員で7人。長男のアーロン、次男のレスト、三男のルート、長女のセレス、次女のリリカ、三女のメリッサ、四女のシャロンじゃ」


ファルヴィスは一人一人、指をさしながら紹介して行った。


「リリカ、お前の兄弟って凄い個性的なんだな」


「あ、そうですね。(やかま)しくてすいません」


ぺこりと頭を下げるリリカの後ろから、先程メリッサと呼ばれたリリカに瓜二つの少女が覗いていた。


「ふ〜ん、この方がリリカ姉さんの彼氏さんですか?」


「ちょ、違うってメリッサ!この人は私のマスターなの!彼氏なんかじゃないって!」


「いやでも、凄い整った顔立ちだから、てっきり姉さんの彼氏さんなのかと」


と言って、メリッサはクスクスと笑っている。

完全にからかわれているな。これが兄弟というものなのか?

と考えていると、後ろから声がかかった。


「貴方がリリカ姉さんのマスターですか?僕はルートというものです。これから宜しくお願いします」


見た目はリリカやメリッサよりも少し小さい少年のルートという子がこちらに挨拶をしに来ていた。

なんか、凄い律儀な子だな。ディルメイドみたいだ。


「1つ聞きたいんだが、いいか?ルート」


「はい、何でしょうか?」


「お前たち兄弟は恐らくだが、探しているのはリリカだけではないだろう?」


「は、はい。その通りです。でも、よくお分かりになりましたね。何にも言ってないのに‥‥」


「ああ、すまないが、君たち兄弟やファルヴィス‥‥君たちの母さんの心情を読み取らせてもらった。この場にいる兄弟から焦りの感情が読み取れたからな」


 ファルヴィスがリリカを見つけてからこの兄弟たちを呼ぶまでの時間が速かったからな。何かあると思い、感情を見抜く魔法【感情眼視(エオ・テネス)】で皆の感情を読み取ったら、安心の他に焦りの感情があった。


「何でもお見通しなんですね。流石、リリカ姉さんのマスターです。ですが、僕には少し難しくてよくわからないんですよね。なのでお母様に聞いた方が良いと思います。お役に立てず、すみません」


少し恥ずかしそうに言っているルート。しっかりとしていて良い子だ。


「それじゃあ、ファルヴィス。ここに来た本当の理由を教えてもらえるか?」


俺は、先程、四女として紹介させたシャロンに おやつをあげているファルヴィスに問いかけた。


すると、ファルヴィスはゆっくりとこちらを向き

妖艶な笑みを浮かべた。


「お主はすぐに色んなことに気づくのぅ。まあ、その通りじゃ。ここに来たのはリリカを探すためだけではない。ん〜、結論から言うとな——」


そして、ファルヴィスはこう口にした。


「並列神界の最高神が姿を消したのじゃ」

読者様へ


お読み頂き有難う御座います。m(_ _)m

下にある☆☆☆☆☆にて作者への応援が出来ますのでどうぞ宜しくお願いします(*´∀`)♪

感想などもお待ちしています( ^ω^ )

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