Aランククエスト
「常設型Aランククエスト?」
ネネの指差した紙には赤い字でそう書かれていた。
どういうことだ?ということでクエストの内容を読んでみることにした。
そして、紙にはこう書かれていた。
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常設型Aランククエスト
クエスト内容:ウラルーク大森林に生息しているマデルライガー5体の素材を入手する。
同じく、ウラルーク大森林に生息しているエントラーサーペント5体の素材を入手する
期限:クエスト受注から1ヶ月後まで。(失敗した場合、違約金が発生する)
挑戦者:ランクを問わず有効
推奨ランク:B、Aランクの冒険者
報酬:素材の8割の金額+Aランク冒険者の場合Sランクへの挑戦権を得られる。Bランク以下のランクの冒険者の場合はAランクへの挑戦権を得られる。
PS このクエストは常設型なのでクエストがクリアされても再度受けることが可能。
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「ランクを問わず有効か。少しは楽しめそうなクエストだな」
マデルライガーはこの前倒して強さが分かっている上にエントラーサーペントは前の時代でも存在していて、弱いことがわかっているので倒しやすい。
「じゃあ、このクエストを受けましょう」
リリカが、ベリっと、クエストの紙をボードから剥がし取りクエストを受注しにカウンターに向かっていった。
何やら受付の人と話していたが比較的直ぐに戻ってきた。
「早かったな。何話してたんだ?」
「いや、それが‥‥このクエスト前にも受けた冒険者の方々がいたようなんですが、誰もクリアしたことがない様なんですよ。不思議ですねこんな簡単なのに」
リリカはクエストの紙をピラピラしながら内容を読み直していた。
だが、クリアされたこと無いクエストか。内容は簡単なんだがな。
「まぁ、考えていても仕方ないだろう。せっかくのクエストだ、張り切っていこう!」
「「おおーー!!」」
◆
〜ウラルーク大森林の入口〜
「ここがウラルーク大森林らしいんだが‥‥」
俺たちはクエストに記されていた場所に来ていた。だが、ここには来たことがあった。
俺が転生したときに歩いて来た森だった。
「うう〜、少し不気味です〜。お母さんからも、この森には入ってはいけないと言われていたので怖いですが、カイトくんが一緒だと心強いです」
「私は、ここに来たことがあります。ですが、ここってそんな強い魔物っていましたっけ?私が記憶している限りでは下の中くらいの魔物から中の上くらいの魔物しかいなかったと思います」
2人はこの森にそれぞれの感想を持っている様だ。
まぁ、初めてであれば緊張するだろうし、一度でも入っていれば安心できるというものだ。
ネネには今回のクエストで緊張を解いてもらうとしよう。
「さて、入る前に確認だ。ネネは『天照』をしっかり持ってるか?」
「はい!持ってます!」
ネネは、腰に装備していた『天照』を掲げて見せた。
「よし、じゃあリリカは問題ないか?」
「はい!いつでも、マスターが命令して下さればこの地ほどであれば一瞬にして焦土に変えることが出来る程度の力はつけているつもりです」
リリカは民族衣装に付いているスカートを摘みこちらにお辞儀した。
力も確かで、気合いは十分なんだが、リリカは 時々でる怖い発言をどうにかして欲しいな。後で少し注意しておこうかな?
「俺も準備万端だ。それじゃ、出発!」
そして、俺たちは森の中に進んでいった。
〜数時間後〜
「ネネさん!そっちに行きました!」
「はい!任せてください!ハァッ!」
ネネが天照を振り下ろし、マデルライガーの首を切り落とした。
ふむ、2人とも良い連携プレイだ。
リリカは本気を出すとこの一帯が地図から消える可能性があるので攻撃魔法は使わず、誘導魔法や挑発系の魔法を駆使してネネの方に敵を回してあげている様だ。
一方のネネは最初は怖がっていたが、俺が試しに魔物を倒してみせたら、要領が分かった様で先程から『天照』を使って魔物をズバズバ切り裂いている。
ネネは、自信が無かっただけで素質は十分にある。だからこそ、育て甲斐がある。
そして、俺は何をしているかというと‥‥
「なぁ2人とも、もうそろそろ俺も戦っても良いんじゃないか?」
「マスターはそこで座っていてください!」
「そうですよ!カイトくんが戦っちゃうと、ここら辺が焼け野原になってしますよ」
「‥‥お前たちは俺を何だと思っているんだ」
木の上で2人の戦闘の様子を観ていた。(強制)
俺が戦うとこの森が地図から消えると2人から言われてからずっとこのままだ。
2人の戦闘が立派だということは十分にわかった。ネネはしっかり戦いが出来るようになり、 リリカは、細かい魔法操作が出来る様になっていた。
2人とも成長していた。それはとてもいいことだ。なのだが、—— 俺も戦いたい!!
この森に来てから一度も戦っていない!2人に止める理由は分かるが、俺は魔法操作はそんなに下手ではないので戦ったというだけで焼け野原になることは無いのだが、2人の戦闘をそのことを伝えることで邪魔をしたくも無い。
う〜む、どうしたものか。
「攻撃が甘いですよ!」
「これで終わりです!」
そうこう考えているうちに戦闘が一段落したようだ。
その様子を物語ったかのように周りには討伐対象であるマデルライガーやエントラーサーペントの死骸が山の様に転がっている。中には、恐らく上位種と思われる大型の魔物の姿も確認できる。
これを見た目が15歳の少女2人がやったといって誰が信じるだろうか?
というか、ネネは大分レベルが上がっているな。途中から剣を振る速度も速くなった様だったし何かしらのスキルでも手に入れたのか?
気になったので気まぐれにネネを鑑定してみた。
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名:ネネ・クライフィア
種族:人間
Lv526
HP:442,127/442,467 (+458,890)
MP:249,236/249,879 (+267,599)
攻撃:46,680 (+82,525)
防御: 48,520 (+67,236)
素早さ:,56,320 (+23,668)
能力:AAA+
固有スキル
魔法適性:上、武器適正:上、大剣術、超成長
スキル
火炎魔法Lv4 風魔法Lv5 雷魔法Lv4 生活魔法Lv6
装備:天照
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ほう、相当なレベルアップを果たしているな。
レベル500だと前の世界でも相当な実力者だったからな。
今のレベルなら、騎士団なんかでも喉から手が出るほどの逸材だろう。
とりあえず、2人にお疲れをいうために俺は木から飛び降りた。
「っと。2人ともお疲れ。魔物の群れも片付いたみたいだな」
「いえ、この程度でしたらいくらでも出来ますので褒められる様なことでは‥‥」
「もう〜、リリカちゃんは素直じゃないな〜。いいんだよ?素直に嬉しいっていっても」
「い、いえ。本当にこの程度では‥‥し、しかし褒めて下さるのでしたら、その‥‥あ、頭をなでなでして欲しい‥‥です///」
リリカは顔を赤く染めているようだが、何を恥ずかしいと思っているんだ?
なでなでくらいであれば幾らでもしてやれるし、褒美であればもっと別のものを渡してやることも容易い。
「褒美であれば、もっと良いものをあげられるが、なでなでなんかがいいのか?」
「な、なでなでがいいです!」
ふむ、本人がいうのだからそれがいいのだろう。
俺はリリカの頭を何回か撫でてやった。
「‥‥ふぁぁ、あ、ありがちょうございます!」
何を緊張したのかリリカは噛んでしまい、またもや顔を赤く染めていた。
俺がリリカの様子をみてクスクス笑っていると服の裾をクイクイと引っ張られた。
その方向を見るとネネが立っていた。
そうか、ネネにも褒美を渡さないとな。リリカにだけ渡していたら平等とは言えないからな。
「ああ、ネネも何か欲しいものはあるか?」
「あ、あの、くれるんだったら‥‥その、リリカちゃんと同じくなでなでしてくれると嬉しいな///」
ん?また、なでなでか。女の子はなでなでされるのが好きなのだろうか?
まあ、ネネが言っているのだからやらないことは無いのだが。
そして、ネネの頭をリリカと同じように何回か撫でてあげた。
「ふふ、ありがと!カイトくん!」
ふむ、褒美の内容はともあれ、2人とも喜んでくれたようだ。
しかし、この魔物の死骸をどうやって説明するか。
討伐目標数のマデルライガー5体とエントラーサーペント5体は余裕で達成出来ているが、ざっと目を通すだけで、その2種がそれぞれ30体ほど倒されており、同数とまではいかないが、10体、20体くらいは上位種の亡骸も見受けられる。
仕方ない、持って帰ってから説明するか。
「2人とも、この魔物は全部しまってもいいか?」
「私はいいよ〜。リリカちゃんはどうかな?」
「あ、1、2匹は残して欲しいです。おやつとして食べたいので」
「わかった」
リリカの注文通りにマデルライガーの亡骸とエントラーサーペントの亡骸を1体ずつ残して後の魔物はアイテムボックスに収納した。
「これでいいか?」
「はい!いい感じのお肉で美味しそうです」
リリカはいい感じのおやつを手にして御満悦のようだ。
「ねえ、リリカちゃん。前から思ってたんだけど、魔物の肉を生で食べてるけどお腹とか痛くならないの?」
「私は平気なんです。私の持っている【暴食】のスキルで喰らったものを力に変えることができるので小型の魔物はいいおやつなんです」
説明しながら、リリカはもぐもぐと魔物の肉を食べ進めていく。
なんとも、グロい光景だ。
「さて、そろそろ出発するか?」
「マスター、戻るのでしたら少々お待ちを‥‥もごもご‥‥」
「私もまだ準備が終わってないから少し待って欲しいな」
「大丈夫だ。まだ帰るわけじゃない。準備が終ってないのならここで待っていてくれ。ちょっと五月蝿い『鳥』を仕留めて来る」
「鳥‥‥ああ、マスター、アイツを仕留めて来るのですか。どうぞお気をつけてください」
「え?リリカちゃん。アイツって何?」
「マスターの狙っている獲物です。マスターの持ってくる手土産をみたらネネさん、きっと驚くと思いますよ?」
「へぇ〜。どんなのだろう?楽しみ!」
どうやら、2人とも楽しみなようだ。なら、速く捕ってこないとな。
「じゃあ、行ってくる!」
そう言い残し、俺は森を超高速で進んでいった。
読者様へ
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