従者との再会とクエスト
遅くなってすいません(>人<;)
「あ!ネネさんにカイトさん。お久しぶりです」
「こんにちは、リーンさん」
「こんにちは〜」
俺たちはギルドを訪れ、クエストに挑もうとしていた。
「あ!そういえば、ギルマスからカイトさんが来たら応接間にお通しするように言われてますのでついてきてもらっても良いですか?」
ああ、マデルライガーだったか?
確か、賞金についてだったな。
2匹で金貨300枚だったからな。一体いくらになるのやら‥‥それ以上の金額になると結構持って移動するのが辛いな。なんか、チンピラみたいなのに絡まれるのがあるから嫌だなぁ。
まあ、絡まれたら返り討ちにすればいいか。
「じゃあ、案内してもらってもいいですか?」
「分かりました。あ、ネネさんも一緒に来ますか?」
「はい!待ってても、と思うので行きます」
「では、こちらです」
リーンさんに連れられて俺たちは応接間に案内された。
「では、ギルマスに話をしてきますので、ここで少々お待ちください」
といってリーンさんが部屋に入った瞬間に悲鳴が響いた。
「きゃあああああっっ!!」
俺とネネは部屋に飛び込み中の様子を確認したがそこには凄い光景があった。
「はむはむ、もぐもぐ‥‥」
そこには、椅子に座った紅い長髪に紅い瞳をしている民族衣装の様な服を着ている15歳程の少女が虫型の魔物を食している様子が映っていた。
びっくりしすぎたせいかリーンさんは腰が抜けたようで床に尻もちをついていた。
「ん?冒険者の人たち‥‥です‥‥か?」
少女はこちらをみると顔を真っ赤にして、こちらに寄ってきた。
「マ、マスター!はしたないところをお見せしてしまい申し訳ございません!こ、これは、そ、そのお腹が空いたのでおやつ食べていただけでして‥‥」
「わ、分かったから。とりあえず、落ち着いてくれ……リリカ」
リリカと呼ばれた少女は言われた通りに深呼吸をして椅子に戻った。
「ああ、こんなところをマスターに見られるなんて‥‥恥ずかしい!」
リリカは手で顔を覆い隠して椅子の上で悶えている。
だが、正直言って恥ずかしがることはないと思うのだがな。
俺だって、彼女の能力や特性は十分理解しているつもりだ。
と考えているとネネが小声で俺に話しかけてきた。
「あの、カイトくん。あの人ってカイトくんの知り合いなの?」
「ああ、どういう関係かっていうのは分かるか?」
ネネが首を傾げている。まぁ、分からないよな。
「えっと、いまいちよく分かっていません。『マスター 』というのは?」
「あいつ‥‥リリカは俺の従者だ。一応、俺が主人でリリカが従者って関係なんだが、別に束縛したりなどはせずに自由にしていて良いとの命を与えている。だから、実を言うと敬語も辞めて普通に話してくれたら嬉しいんだけどな」
彼女の性格上、そうすることも出来るのだろうが、彼女にも矜持といえるものがあるのだろう。
と話をしていると、部屋のドアが開きギルドマスターのレウスが入ってきた。
「お待たせしてすまなかった。リリカといったか?報酬の用意が出来たぞ」
「ありがとうございます、レウスさん。それより、マスターが来てくれました」
「マスターというと探していた者か?」
「はい。マスター、こちらに」
「お久しぶりです。レウスさん」
俺がリリカの前に出るとレウスは目を見開いていた。
「おお!カイトじゃないか!マデルライガーの件はすごかったぞ」
ん?ああ、そういえば魔物の買い取りでこの場に呼ばれたんだった。
リリカに会ったことで忘れていた。
「あの、因みに魔物の値段って合計でいくらくらいになったんですか?」
「聞いて驚いてくれ。白金貨4枚だ!」
レウスのその言葉に後ろにいたネネやリーンさんまで固まっていた。
ヤバイ、白金貨ってなんなんだ?俺のいた頃の時代にはそんな硬貨は存在していなかったからさっぱりわからん。
やはり、この時代についてもっと学ばなければならないな。
「なぁ、その白金貨ってなんなんだ?」
「名前くらいは聞いたことがあると思っていたのだが‥‥まあ、あまり見ることがあまりないから知らない者もいるのか。白金貨というのは金貨1000枚に相当する現在流通している硬貨の最高単位の硬貨だ。最も、この金貨を個人で所有しているのは極一部の上位貴族くらいだと思うが‥‥」
レウスが頭を抱えて唸っていた。
というか、この白金貨って凄いものなんだな。金貨1000枚分って‥‥ダメだ、金銭感覚が狂いそうになる。
ということでこの件に関しては考えることを辞めた。
「あの〜、レウスさん。私の報酬は‥‥」
「おお、そうだったな。7cm台の魔石が200個に蛇型魔物の素材と60cm台の魔石だったな」
「はい!良いおやつが無かったので暇つぶしに倒した魔物です」
「‥‥カイトの件で出鱈目にも慣れたつもりだったんだがな。この大きさの魔石を持っている魔物は普通はそんな簡単に倒せるもんじゃ無いんだ」
はぁ、とため息をつきながらレウスはリリカに布袋を手渡した。
「今回の報酬だ。だが、魔石の分だけだ。蛇の魔物については買い手が見つかり次第、報酬を渡すからまた今度渡すことになるだろう」
「分かりました!ありがとうございます」
リリカは深々とお辞儀をすると俺の方に寄ってきた。
「マスター、1つ聞いてもいいですか?」
「ん?なんだ?」
「あそこにいる方はマスターのお仲間でしょうか?」
そう言ってリリカはネネを指差した。
「わ、私ですか?」
「そうだが、それがどうしたんだ?」
「い、いえ、お気になさらぬようお願いします」
ぺこりと頭を下げ、リリカはネネの方に向かっていった。
よく分からんな。どうしたんだ?
「初めまして!私はリリカという者です。マスターの従者をしています。以後よろしくお願い致します」
リリカが丁寧にお辞儀をすると、ネネはあたふたしながら自己紹介を始めた。
「え、えっと、私はネネ・クライフィアといいます。カイトくんのパーティーメンバーです。宜しくお願いします!」
「はい、宜しくお願い致します。ネネ様」
「ふぇっ!?あ、あの、私に『様』なんてつけないで良いですよ?」
「そうなんですか?ですが、マスターのお仲間となれば『様』をつけるのは当然のことかと‥‥」
リリカは敬語などは使い慣れているが、友達として接する相手が少なかったせいで仲間の呼び方などが分かっていないことが多いんだろう。
仕方ない、少し背中を押してやるか。
「リリカ、ネネ。2人とも聞いてくれ」
「あ、はい」
「はい。なんでしょうかマスター?」
「2人とも俺の仲間なら、上下関係を作らないで接してほしいんだ。だからリリカは『様』をつけて呼ぶ事は極力辞めて欲しい。出来るか?」
「‥‥マスターの御命令とあらば」
リリカは、その場に傅き、頭を下げた。
「では、ネネ様のことは、ネネさんと呼ばせて頂きます」
「うん!よろしくね。リリカちゃん」
2人はしっかりと握手をして挨拶をしていた。
「よし、用事も済んだしクエストを受けに行こうか」
「うん、行こう!」
ネネは腕を上げ、張り切っているようだが、リリカはあまり浮かない顔をしていた。
リリカは俺に命令されたこと以外行動することを控える性格だからな。
従者といえど命令なしについて行きたいというのは少し言いづらいのだろう。
その証に少しそわそわしており、こちらをチラチラ見ている。
可愛いやつめ。と内心思いながら俺はリリカに話かけた。
「リリカ、どうした?浮かない顔して」
「あっ、いえ、その‥‥」
「来ないのか?クエストに」
「へっ?い、いいんですか?一緒にクエストに行っても‥‥」
考えていたことを当てられて驚いた、という顔をしていて、少し笑いそうになった。
「ふっ、くふふ‥‥」
「な、何ですか、急に笑って‥‥」
ヤベ、思わず本当に笑ってしまった。
リリカはすぐ顔に出て考えていることが丸わかりだから、その表情を見ているととても面白い。
「いや、何でもない。気にしないでくれ」
前にそのことをリリカ本人に伝えたことがあったが本人は無自覚らしく、『今後気をつけます』
と冷静を装っていたが顔は真っ赤になっていた。
良い思い出だ。
と考えているとリリカが、じぃ〜とこちらを覗き混んでいた。
「な〜んか、失礼なこと考えてませんでしたかマスター?」
考えていたことが当てられてしまった。だが、思念を読み取る魔法【思考受信】を使っている様子も無かった。
これが、女の勘というやつなのだろうか?
だとしたら怖いな。気をつけなければ。
「気のせいだ。クエストに行くぞ。リリカ」
「はい!」
こうして俺はネネとリリカを連れて応接間から退室した。
因みにリーンさんは腰を痛めてしまったようでレウスに連れられて、医務室に向かっていた。
今度会ったらきちんと謝罪をしておこう。
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〜ギルド内〜
「さて、良い感じに暇つぶしになりそうなクエストはないかな?」
俺たちはギルド内にあるクエストの内容が書かれているギルドボードの前に来ていた。
俺のランクはGランクなので受けられるクエストはG、Fランクのクエストだけだった。
「薬草採集にゴブリン退治にお使いなどか。どれも簡単過ぎるクエストだ」
俺は、がっくしと肩を落としため息を吐いた。
というか、お使いくらいなら自分で行った方が速くないか?
たとえ、年老いて体力的に問題があるとしても自身の時間だけを巻き戻し若返れば問題など無いはずだ。
何故わざわざ冒険者に頼むんだ?
と考えているとネネが横で笑っていた。
「まぁ、カイトくんからしたらどんなクエストも簡単だもんね」
「ネネさんの言う通りです。マスターにはSランククエストでも簡単だと思います」
「だが、そんなSランククエストでも挑めなければ達成することは出来ないからな」
そう言いながら一応、上位ランククエストも確認しようとしたとき、ネネが声をあげた。
「ねぇ!これだったら受けられるんじゃない?」
ネネが指差したクエストの紙には赤い文字でこう書かれていた。
「‥‥常設型Aランククエスト?」
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