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死に星 ―twinkle of death―  作者: 白宮 安海
第二章 ベストフレンド
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3. 塵と屑 3

二人と死に星達はアステリダストへと向かった。アステリダストは、ギャラクシアとはまた違って、建物の多くは砂を固めたようなもので出来ていた。ダストという名の通り、息を吸い込むと埃くささが鼻についた。干し子は思わず咳き込んだ。

地べたに座って物を売る商売人や、街を歩く人々の目の周りは黒ずみ、瞳の奥は死んでいる。中にはマントを深く被り、顔を隠して背中を丸めて歩く人もいた。


「あんたら余所者かい?随分上等な服を着ているな。俺様に渡してくれればいい情報と交換してやるぜ」と、情報屋は涎まみれの唇をだらしなく開いて声をかけてきた。ディーアは密かに「目を合わせないで、星子」と囁いたので、星子は咄嗟に俯いて言った。

「ねぇ、ディーア。ホッリビスを倒して早く帰りましょうよ。こんな所早く出たいわ」

「そうしたいんだけど、それが……」

「何?ディーア」

そこで、アデスは口を挟んだ。

「何にも知らねぇんだな、アンタ。力の強いホッリビスは自分で意志を持ち、人間に寄生をする」

「え……?寄生?」

「そう寄生。だが寄生された人間は、気づかねぇ。そこが厄介な所。寄生された人間は己の精神が黒く阻まれていく。そうして精神が死んでいくまで追い込み、人間の黒い感情を餌に膨らんでいった所で、ホッリビスはその身体を乗っ取る」

星子は想像して、身震いをした。

「まあ、だけど寄生される人間は弱い人間だ。俺だったらそんな人間ごとぶっ殺すけどな」と、アデスは大きな口を広げて笑った。

「人間……なんて殺せない」星子は急に不安感に苛まれ、足がふらついた。ディーアはそれに気づくと背中へそっと手を添えて顔を覗き込んだ。

「大丈夫だよ、星子。ホッリビスが完全に乗っ取る前にどうにか外におびき寄せればいい。宿主を喰らう前に、餌をこっちで用意するんだ」

「でも、そんなのどうやって。私には無理、出来ない」

星子は震える声で言った。その時、空が曇りぽつりぽつりと雨が降り出した。やがて雨はざあざあと容赦なく頭上に降り出した。それでもディーアはまだ穏やかな声で言う。

「安心して、僕がついている。星子の事は僕が守るよ」

「二人とも。濡れちゃうから、とりあえず中へ」昴は付近の宿を指して言った。星子は頷き、ディーアと共に宿へと入った。

「雨が止むまでホッリビスを討つのは待った方がいいね」ディーアは言った。入口のそばのテーブル席に、星子は腰をかけて呆然とした。

「しばらく止みそうもないし、二人は空いてる部屋で休んだらどうだい?」

「え、でも代金はどうするの?」星子は力なく尋ねた。正直、すぐにでもこの場から離れたかった。

「僕が何とかするよ。ゼウス様の使いと言えば何とかなるさ」

「ディーア達はどうするの?」

「僕とアデスはホッリビスを探しに行く。備え無しよりも下調べをした方がいいだろう。この雨ならかえって良かった。闇の行商人も静かだろうし」

「帰ってくるわよね?」星子は眉を寄せて心底不安げに言った。

「もちろん。死に星は一人じゃ生きられないんだから必ず帰ってくるとも」

「――用心しないとな」意味深げにアデスは呟いた。

「僕らはリンカーから離れると、力のほとんどを失う。僕ら死星は君たちの精神力から輝きと生命力を貰うのさ。当然姿も星の形に戻る事になる」

星子は出会った頃の、あの気持ち悪い星の姿を思い出した。

「あの姿に戻ると、行商人にすぐに目をつけられる。だから僕らも慎重に行動をする。星子達もくれぐれも用心して。何かあれば脳に直接コンタクトを送る」

「脳に直接……そんな事も出来るのね。便利。まるで携帯みたい」

携帯……と呟いた所で、星子はそれが何のことだったか全く記憶をしていなかった。

「うん、僕ら死に星とリンカーは精神が繋がっているからね」

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