第五百三十一話 休日の過ごし方2
「さっきから何を考えこんどるんだ?」
ガーリンさんがチコリに訊く。
「あのね……」
チコリは、ゆっくりと話し始めた。
「あたしの働いている雑貨屋さん、すごくいいお店なの。みんなも知ってるでしょう?」
「うん。こだわりの品が揃ってて、いいお店だよね!」
わたしが言うと、チコリは嬉しそうに笑って、
「そうなの。店長さんは、いろいろなところに出かけて、珍しい品物を自分で仕入れてくるの」
「ふんふん」
わたしたちは相槌を打つ。
「どれも、とってもいい物ばかりなの。なんだけど……」
「だけど?」
わたしが促すと、チコリは困ったように言う。
「それが客足に結びついてるか、っていうとそうでもないのよね」
「……あんまり売れてないの?」
リーズが訊くと、チコリは言いにくそうに言った。
「あんまりお客さん来ないの」
◆
「ふむ……。品揃えが豊富で、珍しい品物もたくさん取り扱っている」
「それなのに、お客さんが足を運んでくれないのね」
「うーん……」
わたしたちは考え込む。そんなわたしたちに、ガーリンさんが言う。
「まあ、そういうこともあるさ」
そしてさらに続けて、
「商売なんてものはな、そうそううまくいくもんじゃあない」
と言う。
「でも……、せっかくいい品物を仕入れてきても、誰も買ってくれないのは哀しいな……」
チコリは言う。
うつむくチコリを見て、わたしは、
「ねえリーゼロッテ、なんかいいアイデアない?」
そう訊ねる。
「うーん」
リーゼロッテは腕を組んで考え込む。そして、
「そうだな……」
顔を上げ、言う。
「何か目玉商品を店頭に置いてみてはどうだろう」
「目玉商品?」
リーゼロッテは頷いて、
「そう。物は悪くないんだ。客足さえ伸びれば、自然と商品は売れるはず」
「目を引く物を置いて、人を集めるんですね」
とセタ王子。
「なるほど……」
わたしはうなずく。
「目玉商品かあ……。雑貨屋さんだから、やっぱり女の子に人気が出そうなものがいいよね」
わたしは考え込む。
「チコリ、わたしがお邪魔したときに置いてあった、あのポーチはどう?」
「うーん、可愛くて良いんだけど、目を引くかっていうと……」
チコリは首を傾げる。
たしかに通りすがりの人がふと足を止めるほどの「目玉」には少し弱い気がする。
「インパクト……目を引く物……」
ぶつぶつ言いながら、頭を働かせる。
「ポーチ……あ」
あるアイデアが浮かんだ。