第四百十九話 初めての合同授業、その後
魔法史×魔物学の授業が終わり、わたしたちは教室を出る。
みな、興奮冷めやらぬ様子で、口々に授業の内容を話し合いながら歩いている
「魔法史と魔物学が一緒の科目になるなんて、思いもしなかったな」
「そうね。ちょっと驚いたわ」
セレーナが答える。
「びっくりしたけど……面白かったね」
わたしが言うと、
「ああ。非常に面白かった」
リーゼロッテがうなずく。
「ウィザーディングコンテストでプリズムドラゴンを発表したときから、気になっていたテーマだったんだ」
リーゼロッテの言葉には熱がこもっている。
「先生の言っていたこと……魔物が共通祖先を持つという話。リーゼロッテ、あなたも同じことを考えていたの?」
「ああ……ミオンが言った進化という考え方から、必然的に導き出される答えだ」
リーゼロッテは、顎に手をやり、
「ただ先生も言ったように、進化という言葉では説明しにくい魔物がいるのも確かだ」
「というと?」
「例えば、モノアイ・クリーパー。なんというか、他の種から環境に合わせて段階的に変化していったというには……あまりに個性的すぎる」
わたしは、ゲッゲッと鳴く、足のたくさん生えた目玉の化物の姿を思い浮かべる。
「……たしかに、ユニークな姿してるね」
わたしは食欲がなくなりながらも、食堂へ向かうのだった。
◆
お昼休み。
わたしたちは、リーズとチコリ、セタ王子に合同授業の話をする。
レビン先生とガルバルド先生による授業は、とても深い内容だったと告げる。
「へえー! 面白そう。あたしも早く受けてみたい」
「興味深いですね。二つの科目が合わさって、相乗効果を生むのでしょうか」
それから、レビン先生がはじめに言っていた、『学年間を越えた授業』というくだりについても話す。
「というわけでさ、この六人で一緒に授業を受ける日がくるかもしんないよ」
すると、リーズが感激したように立ち上がる。
食堂の視線が集まる中、リーズは気にもしていないように、言う。
「セレーナと一緒に授業を受けられるのね!」
いちおう、
「わたしも一緒にね」
と突っ込むが、案の定スルーされる。
「えーっ!」
チコリもうれしそうに立ち上がって、叫ぶ。
「セレーナさまと一緒に?!」
「わたしも一緒だってば」
もう一度そう突っ込む。
だが、また華麗にスルーされる。
セタ王子はもごもごと、つぶやく。
「り、リーゼロッテさんと……」
「わたしも一緒……」
言いかけたところで、にゃあ介に止められる。
(ミオン。悲しくなるから、もうやめておくニャ)




