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第三百九十七話 魔法対策

 わたしたちはリーゼロッテを囲んで座っている。


「ねえ、リーゼロッテ、よくわからないんだけど……。魔法対策っていっても、何をすればいいの?」


 リーゼロッテはしゃがみ込んだまま黙っている。


「わたしがガーゴイル役ってどういうこと?」


 まだ黙ったまま、リーゼロッテはわたしを見つめている。


「リーゼロッテ?」


 突然、リーゼロッテは落ちていた小石を拾い、わたしに向かって放り投げる。


「あいたっ」


 わたしは額をおさえて涙目で抗議する。


「ちょっと、何するのリーゼロッテ!」


 するとリーゼロッテはメガネを中指で直しながら言う。


「小石をミオンに投げたんだ」

「それは分かってるし!」


 わたしが膨れると、リーゼロッテは、


「それじゃもう一度いくぞ。いち、にの、……それ」


 リーゼロッテは、また小石を投げる。

 わたしは立ち上がって、それをひらりと避ける。


「なんなの、もー!」


 リーゼロッテは、


「今、ミオンは石を避けることができた。それは、私が合図してから投げたからだ」


 そう説明する。


「えぇ?」


 わたしは、びくびくしながら元の位置に戻る。


「それは確かにそうだけど……」


 どうやらもう石は飛んでこないようだ。

 警戒を解いて座り直す。


「合図……そういうことね」


 セレーナが言う。


「え? でも……魔物は合図してくれないよね?」


 チコリが言うと、


「そうだな」


 リーゼロッテは頷く。


「だが、合図の代わりとなる『何か』があれば、どうだ?」

「何か?」


 リーゼロッテはこう続ける。


「……鍵は予備動作だ。予備動作があれば、それを合図に、見切って避けることができる」

「予備動作……」


「魔法にも、合図となる予備動作がある」


 チコリがはっと気づく。


「……詠唱?」


 リーゼロッテは我が意を得たり、と微笑む。


「そう。魔法を使うには、詠唱が必要だ。それは魔物とて変わらない」




   ◆




 広場に皆が横並びに立っている。

 その反対側、皆と向かい合うように、わたしは一人立っている。


「それじゃあ、いくよ」


 わたしが言うと、リーゼロッテが答える。


「ミオン、くれぐれも加減して唱えてくれよ」

「うん……でも、まだ魔力制御は完璧じゃないから、ちゃんと避けてね」


「ああ。みんな、本気で避けるんだぞ」


 リーゼロッテの言葉に、皆が頷く。


 わたしは深呼吸して、すこしの間を取る。

 それから……おもむろに詠唱に入る。


「我求めん、汝ら猛き水よ、獣どもの牙を折り石を鑿て……」


 リーゼロッテが短く言う。


「くるぞ!」


 皆の顔に緊張が走る。


「イブルウォータ!」


わたしは水魔法を放つ。最小限の魔力を込めて――


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