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第二百五十九話 分業1

 わたしは、レッサードラゴンと戦った時のことを思い出す。

 あの時も、にゃあ介に助けられたのだ。


 わたしの力では歯が立たずに、悔しくて……泣いた。


(不満そうだニャ?)

「そんなこと……」


 今はそんなことを考えている場合じゃないのに、あの悔しかった気持ちを思い出す。


(それニャらば、今回は、分業でいくのはどうだ?)

「分業?」


(何度か言ったと思うが、目覚めた状態のミオンを操縦するのは骨だ)

「そうみたいだね」


(上半身の操縦はワガハイが受け持つ。ミオンは下半身を頼む)

「なにそれ! そんなのアリ?」


(ワガハイの負担も減るし、一石二鳥ニャ。いくぞ)

「ちょ、ちょっと!」


 なんか滅茶苦茶だし、にゃあ介に丸め込まれたような気がするけど……

 でも、今はそれしか無い。


「二人とも、聞いて」


 わたしはセレーナとリーゼロッテに声をかける。


「なに?」

「どうしたんだ、ミオン」


 わたしは言う。


「にゃあ介の力を借りようと思うの」


「ミルの力を?」

「レッサードラゴンのときのようにか?」


 わたしはうなずく。


「この状況を打開するにはそれしかないと思う。……いいかな?」


 二人は一度顔を見合わせ、言う。


「ええ、いいわ」

「無論だ」


 わたしはもう一度、大きくうなずく。そして言った。


「にゃあ介、お願い」




   ◆




(ではミオン、まず闘魔術を)

「闘魔術?」


(ちょっとした目くらましが必要だ……不意打ちはワガハイの本意ではないが、この際しかたニャい)

「わかった」


 わたしは魔物の召喚に入る。


「我が傍なる霊魂よ、小さき者に乗りてとび、その翼にて翔けり給え……ブラストスピリット」


 そしてこう叫ぶ。


「出でよ、モノアイ・クリーパー!」


 海岸の砂が舞い上がり、魔物の形へと収束していく。



(さて、ワガハイの出番だ)

「うん。にゃあ介に任せる。どうすればいいの?」


(簡単なことニャ。ワガハイが合図したら、あの魔物めがけて真っすぐ走れ)

「簡単かどうかはわかんないけど……やってみる」


 わたしは目を閉じて、全身の力を抜く。


「いいよ、にゃあ介」


 一瞬、ぶるっと身体が震え、上半身の感覚がなくなる。

 にゃあ介がわたしの腰より上の主導権を握ったようだ。


 目が開くと、クラーケンの姿が瞳に映る。


「相手にとって不足なし、だニャ」


 にゃあ介が、ぺろりと舌なめずりをする。



 セレーナとリーゼロッテが、イェルサの稲妻のもとへ駆けつける。


「何か作戦があるのかい!?」


 ジェイクがクラーケンと対峙したまま、訊ねてくる。


 セレーナが返す。


「くわしいことは後で話します。とにかく、皆、全力でミオンの援護を!」


 セレーナはそう言いながら、ジェイクの隣に位置取る。

 ジェイクはわたしたちを交互に見つめると、それ以上訊かずに頷いた。


「――わかった。みんな、クラーケンの気を引くんだ!」


 全員が、クラーケンの注意を引くように、左へと展開する。

 クラーケンは、そちらへ向きを変える。


 その動きはゆっくりだが、その気になればもっと速く動けるはず。

 はやく倒さないと危険だ。



 わたしは脚に全神経を集中する。


「それでは、いくぞ」

 

 にゃあ介が言った。


「走れ」


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様ですヽ(´▽`)/ 複座式のロボットみたいな状態のミオン。 文業って言っているけれど、下半身担当のミオンは兎も角として上半身担当のにゃあ介は自身の難易度あげてません?(苦笑) と…
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