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第二十四話 エントリー

 事務棟の中に入ると、受け付けらしきところに、金髪のお姉さんが座っていた。

 お姉さんはわたしに気がつくと、こう言った。


「こんにちは。御用はなんでしょう」

「こんにちは。あ、あのう、編入試験を受けたいんですけど……」


「かしこまりました。では、こちらに、お名前をお願いします」


 わたしは、慌てて受け付けのカウンターへ近づき、出された木の板に名前を書く。


「検定料金、銀貨一枚いただきます」


 お姉さんはわたしの名前を確認しながら、言った。


「わかりました」


 ポケットから銀貨を取り出して、渡す。


「当日欠席されても、返還はできませんがよろしいですか」

「はい。大丈夫です」


 だって、絶対欠席なんて、しないもん。


「試験は五日後、朝の鐘と同時に、校舎内で行いますので、遅れないようにしてください」


 お姉さんはハキハキと話す。


「朝の鐘か……」


 あれ、結構早いよね。起きられるかしら。


「持ち物は、筆記用具のみで結構です」


 筆記用具……。まさかデッサンとかじゃないだろうし、やっぱり、ペーパーテストあるんだ……。


「あの、試験て、一体どういう……」

「試験内容に関しては、一切お答えできません」


 にべもなくそう言われた。


「そ、そうですか……」


 わたしががっかりしていると、お姉さんは、小さい板と羊皮紙を渡してきた。


「それではこちらが受験票になります。それから試験日までに、こちらに目を通しておいてください」


「は、はい」


 それを受け取って見ていると、お姉さんが言った。


「頑張ってくださいね、ミオンさん」


 顔をあげると、金髪のお姉さんが片目を瞑ってウィンクしている。


 何だか冷たい感じのするお姉さんだと思っていたけれど、一気に印象が変わった。仕事だから、事務的にしてたのね。


 わたしは元気よく答えた。


「はい、頑張ります!」




 事務棟を出るとすぐに、わたしはもらった受験票を確認した。


「033。これがわたしの受験番号……」


 それから、この羊皮紙。どうやら注意事項等が書かれているようだ。




 ~~~~~~~~~~

 注意事項


 1.朝の鐘が試験開始の合図です。時間までに試験室へ入ること。

 2.試験室へ入ったら、受験票を机の上に置くこと。

 3.受験票の他には、筆記具以外の物は机に置いてはならない。

 4.試験室では監督者の指示に従うこと。

 5.試験中の退室はできません。

 6.遅刻は一切認めません。



 服装、持ち物等


 1.筆記用具持参のこと。

 2.昼食の準備は要りません。

 3.当日は動きやすい服装で来ること。



 結果の発表について


 1.試験結果の発表は、試験より一週間後から三日間、校舎西側の掲示板にて行います。

 2.合格者の番号のみ貼り出します。

 ~~~~~~~~~~




「注意事項」に目を通して、6番で目がとまる。遅刻は一切認めません、か。


(寝坊は厳禁ニャ)


 にゃあ介に言われ、わたしはこの世界に転生した日の朝のことを思い出す。


「そういえば、あの日も遅刻しそうで、慌てていたんだっけ。……うん、今度は遅刻しないようにしなきゃ」


(朝寝をする人間で、 いっぱしの人間になった者など一人もいニャいとスウィフトも言っている)


「……にゃあ介は朝も夜も毎日寝てばっかりじゃなかった?」


(……いっぱしの猫はよく眠るんニャ)


 とにかく、わたしはそそっかしいところがあるから、日にちと時間だけは間違えないでおこう。

 目覚まし時計があるかどうかわからないけれど、あったら絶対買っておこう。

 まてよ、でも時計って高級品みたいだし……。

 ああ、買うといえば、筆記用具も買わないとね。しっかり心に記銘しておく。


 それから、気になるのは……「服装、持ち物等」の3番だ。

 動きやすい服装……? 実技試験もあるってことだろうか。いったいどんなことをするんだろう。


 ああ、不安だ……。わたしは胃が痛くなるのを覚えた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読み飛ばしてしまったのかな…いつの間にか字が読めるようになってる?
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