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第二百三十六話 調査1

 隠し部屋を探す、とは言ったものの、日中は授業がある。

 必然、探すのは授業の終わった午後の放課後からになる。


「まずどこから探そうか」


 その日の放課後、わたしたちは学校の中を見て回ることにした。


「やっぱり、声を聞いたという証言が一番多い場所ではないかしら?」

「生徒たちに聞き取りしたところだと、二階の西の、突き当りの教室辺りが、噂の出どころのような感じだな」

「いつの間にそんなことしてたの、リーゼロッテ……」


 相変わらずリーゼロッテの要領の良さには感心する。


「よーし。じゃあまず、二階へ!」


 わたしたちは階段を上っていく。

 二階へ上がって廊下を進みながら、わたしは二人に訊ねる。


「ね、まだ何にも聴こえないよね?」

「そうね」

「ああ」


 日は傾きかけ、校内はだんだんと薄暗くなってくる。


「幽霊なんていないよね? そうだよね?」

「ちょっと、ミオン静かにして」

「そうだぞミオン。肝心の声を聞きもらしてしまうではないか」


「だってー……」

「さっきまでの威勢はどこへ行ったんニャ」


 わたしはぐずる。

 財宝は見つけたいけれど、おばけはこわい。

 なんだかモチベーションが迷子だった。


「それを葛藤というニャ」


「いいの。モチベ迷子で」

「…………」



「あそこが西の突き当たりよ」


 セレーナが指さす。

 確かにそこは壁で行き止まりになっていて、扉もない。


「…………」


 セレーナは耳を壁につけて、しばらくじっとしている。


「なにか聞こえる?」


「いいえ……」


 セレーナが首を横に振る。


「何も聞こえないわ」

「どう? リーゼロッテ」


 リーゼロッテは、壁を見つめたり触ったりして確かめている。


「隠し扉の類はないようだが……」

「ないかなぁ」


 するとリーゼロッテは言う。


「そんな簡単に見つかったら苦労しないさ。もう少し調べてみよう」


 わたしたちは、そのあたりの壁を一通り調べた。

 が、隠し通路も隠し部屋も見つからなかった。


「もう遅い。今日はこれくらいにしよう」

「仕方がないわね」

「うん……」


 わたしたちは、学校を出た。



「何もなかったね」


 帰り道、わたしはそうつぶやく。


「そうね」


 セレーナは言う。


「まあ学校は広いから」


 するとリーゼロッテもこう答えた。


「そうだな。気長に探すさ」




   ◆




 次の日。

 昨日の続きで、わたしたち三人は学校のあちこちを調べて回った。


「ないなあ」

「ないわね」

「ないな……」


「収穫なしか~。嬉しいような、悲しいような……。まあ、今日はあきらめて……」


 あきらめて帰ろう、と思ったそのとき。

 どこからか、カタ、カタという乾いた音がかすかに耳に届いてきた。


「……き、聴こえた?」


 わたしが訊ねると、


「え、ええ」

「何か鳴ってるな」


 二人はうなずく。


「ど、どうする?」

「どうしましょうか」


 わたしとセレーナが迷っていると、リーゼロッテが言った。


「決まっているだろう、音の出どころを確かめるんだ」

「や、やっぱそうか」

「や、やっぱりそうなのね」


 わたしとセレーナは、リーゼロッテの背中に隠れるようにして廊下を歩いていく。


「おい、二人とも。歩きにくいじゃないか」


 リーゼロッテはぴったりとくっつくわたしたちに、ぶつぶついいながら歩いていく。

 カタカタという音は、どんどん近づいてくる。


 リーゼロッテはとある教室の前で止まった。


「ここだ」


 扉についた小窓から、教室の中を覗き込む。

 中にぼんやりと浮かぶ人影のようなものが見えたような気がした。


「ひっ……」


 わたしは恐怖でリーゼロッテにすがりつく。


「落ち着けミオン」


「だ、誰か立ってるわ」

「セレーナも落ち着け。あれはただの標本だ」


 リーゼロッテがなだめる。


「魔物の生態を説明するための、ただの作り物だ…………おや?」


「な、なに?」

「どうしたの、リーゼロッテ」


 リーゼロッテは頭をぽりぽりと掻きながら言った。


「あの標本、……動いている」


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