1/8
前奏
「伴奏者賞 2年A組 大泉真さん」
審査員の声をかき消すようにして隣のクラスから歓声が聞こえる。
―また真なんだ…
うちのクラスから聞こえるのも、納得の声だ。
「まぁ、去年も取ってたしね〜」
「本人も当然って顔してるぜ」
―あーそうだよねー。やっぱり真は絶対王者なんだよねー。
あの大物に勝つつもりなんてさらさらないし、まず伴奏者賞なんて私にとっては視野に
入れたくても入れられないレベルが高すぎる存在なんだ。
ってわかってても、やっぱり…。
「あともう一人います。」
え?
「2年B組 青野琴葉さん」
この一瞬から、何かが変わった気がした。
自分の名前が会場に響きわたった瞬間から。