第九十二話
ネルギア連合国に来てから、丁度一週間が経過した。本当であれば、国中を探し回って、今回見つけて倒さなければならない生物を見つけたいところなのだが、ソルティアさんによって彼女の家から出られなくなってしまったので、暇を持て余してしまっている。ソルティアさんがいるときはいろいろとあって騒がしいので特に気にはならないが、彼女が仕事と情報収集に行ってしまうと、とても退屈だ。
そんな風に考えていたとき、ふとあることを思い出した。女神様であるセリナリア様から言われた、時間を十秒間止められるというものだ。丁度暇を持て余していたところだし、試してみることにした。これをやるときには見られたくないとも思っていたので、その面で考えても、非常に都合がいい。
場所は、時間を止めるだけなら危険なこともないだろうと思い、客室ですることにした。ある程度荷物などを除けて、広いスペースを作ってそこに座る。
セリナリア様は、条件発動型、意識発動型、能動発動型と言っていた気がするので、まず自分の能力がどういうものなのかを考えてみる。発動したのは、これまでは三回だ。
一度目は、前の世界でトラックに撥ねられそうになっていたクラスメイトを助けたときだ。あの時は、数秒戸惑ってしまったが、何とか彼女を助けることが出来た……と思いたい。それはともかく、一回目はあの時だ。
二度目は、確か家でリンちゃんに襲われたときだ。あの時は、近くにまだ幼かったネルがいて、何としてでも守ってやらなければならなかった。今考えてみると、よくあんな状況でああも上手く出来たものだと思う。それまで何年も世話してくれた人があんな風に攻撃してくるなんて、普通だったら対応しきれないだろう。それにしても、彼女はどこへ行ったのだろうか。
そして、一番最近のやつだと、帝都で謎のおっさんがパティルを殺そうとしていたときか。あの時はかなり焦った。殺させてたまるかという感情だけで動いていたな。そういえば、あの数秒の間に聞いた声は、セリナリア様のものだった。
そうして考えてみると、これまではいつも誰かが危険な状態にある時だけ発動していることが分かる。その時に何を考えていたのかはしっかりとは思えていないが、時間が止まるように考えていたとは思えない。そうすると自分から意識して発動する意識発動型ではなさそうだ。となると、条件発動型か、能動発動型ということになるのだが、そうなってしまうと、訓練する方法が思い浮かばない。早速の手詰まりに、頭を抱えたくなった。




