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第八話

「マミー、パピー、おあよー」


 俺は今、この家の歴史の一ページに名を刻んだぞ。とうとう周りに分かる言葉で喋ったのだ!これまでかかった時間1年と3ヵ月。長い時間だったが乗り越えることが出来た。これで羞恥プレイを止めることが出来る!


「ねぇ、この子喋ったわよ」


「あぁ、そうだな」


「そうあよー」


「「「「!?」」」」


「どうしあのー?」


「だ、大丈夫よ?」


 いや、大丈夫じゃないでしょ。しゃべっちゃダメだったか?


「しゃべっちゃラメあの~?」


「い、良いぞ。というか、もっと喋れ」


「わあっらー」


 どうやら効果はてきめんらしい。だめ押しをしよう。


「リンあんー、いつおありがとー」


「え、私の名前分かるんですか!そんな、こちらこそありがとうございます!」


「ネリアあんも、ありがとー」


「おや、アタシの名前まで知ってるのかい。すごいねぇ、カー君は」


「うん、ママお、パパお、いつおありがとー」


「カー君にも、ありがとう」


「おぉ、お前すげぇな。パパは鼻が高いぞ」


 なんて素晴らしい会話なんだ。前の世界じゃこんな会話一度もしたことねぇや。と思ってたら母さんと親父に抱き締められた。


「本当に、ありがとう、カー君」


「うん、ママ」


「こんど、パパと一緒に剣の練習しような」


 おぉ!なんか異世界っぽい!


「うん、パパ」


 そんな歴史的な日だったが、親父も母さんもどこかへ出かけるみたいでしょんぼりしながら部屋を出ていった。そして、いつもどおりリンちゃんと二人きりになる。


「カー君、今日はどうしますか?」


 もういつもどおりの対応をしてくれる。このくらいがいいよねぇ。


「えーおー、もじをおぼえたいおー」


「え!?文字ですか!?」


「うんー」


 早くいろんなことを知りたいからね。文字はいろんなことを知るためにもっとも重要なものだ。


「というより、文字という物を知ってるんですか?」


「うん」


「どれだけ賢いのですか、カー君は」


「えっへん」


「...もう、驚きませんよ」


 くっそう。1ヵ月くらい練習した必殺のギャグだったのに。


「おにかく、文字ー」


「はい、文字ですねー。今から本を探してくるので待ってくださいねー」


 よし、文字を教えてもらえるぞ。早く魔法についての本とかを読んでみたい。


 リンちゃんは、本を探しにいったので、俺は魔法で遊ぶことにした。もう魔粒子保持量は異常なほど多いので、今はさらに操作を完璧にすべく頑張っている。そのうち魔法で飛べるんじゃないかなーと思えるくらいである。


 遊んでいたらリンちゃんが戻ってきたのでばれないように入る前にやめる。途中で消すなんてことも出来るようになったぜ。


「これしかなかったのですが、これでいいですか?」


 入ってすぐリンちゃんはこう言ってきた。どんな本でもオッケーだぜ。


「なーにー?」


「こんな本なのですが」


 どんな本かと思ったら軍略書だった。どっから持ってきた、こんなもん。


「う、うん。いーおー」


「ありがとうございます」


 俺は座ったリンちゃんの膝の上に見やすいように座る。


「じゃあ、始めましょう」


「あーい」


 その日はその謎の軍略書を最後まで読み終えたのだった。

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