第八十一話
結局、手紙にあったことが本当に起こるのかは、わからないまま会談は終わってしまった。魔族とか、真の世界とか、俺が知れたことも多くあったが、俺が知ったから何かがあるとは思えない。
そんな風にもやもやしたものが残ったまま、俺はある場所を訪れていた。街の中央にあるという教会だ。しかし、その教会というのは、キリスト教のような、真っ白な建物ではなかった。全体的に、赤色が多く、木造で、これまで見たことのない和風な感じだった。というよりも、正直に一言で言ってしまえば、神社だった。それが間違いないと思えるのは、入り口に鳥居があるからだ。こっちに来て神社が見れるとは思っていなかった。
そんな感慨はさておき、ここにやってきたのは、ソルティアさんに会うためだ。さっき、貴重な話をミッドラー首相に聞いたが、巫女という何か偉そうな立場であるらしいソルティアさんも、何か知っていると思ったからだ。しようと思った提案が出来ていなかったということもある。
鳥居を潜り抜けて、中へと入る。中も、神社と同じような作りになっていて、迷うことはなさそうだった。それに、周囲にも多くの人が同じように歩いて行っている。前の世界では観光目的の人だと思っただろうが、この世界では神社っぽいこの場所は、何かしらの役目を負っているようで、観光目的のような、きょろきょろと見回すような人はいなかった。そんなのは俺だけだ。
周囲の人と同じように、人の波に流されながら歩いていくと、周囲の人々は神社の社の中へと入っていく。入ってもいいのだろうか。まぁ、入っている人がいるのなら入っていいのだろうが。
中に入ってみると、お守りなどを売っていそうな受付で、全員が何かの紙にさらさらと何かを書き付けている。その受付の列に並んで、少しすると俺の番になった。そこには、普通の服を着た女性が受付をしていた。てっきり巫女服を着ているのだと思っていたが、それは巫女様だけが着ることを許されているのだろう。もしかしたら、巫女服というのがないという可能性もある。
「いらっしゃいませ。本日は治療ですか? それとも占いですか? 治療ならこちらに、占いならこちらにお名前をご記入ください」
受付の人は、事務的な口調で、他の人が書いていた紙を指した。どうやら、ここで出来ることは治療と占いらしい。しかし、俺はどちらでもない。
「すみません、ソルティアさんと会うことは出来ないでしょうか。カーディルが来たと言っていただければ分かると思います」
俺がそう言うと、少々お待ちくださいと言って、受付の人は奥へと言ってしまった。そのまま周りを見回しながら待っていると、数分経った頃に受付の人が戻ってきた。
「お待ちしました。巫女様がお会いになりますので、私の後に付いてきてください」
受付の人は、そう言って奥へと歩き出したので、俺もそれに付いていく。さて、どんなことを話せばいいだろうか。取りあえず、さっきは出来なかった提案からしていこう。そう考えながら、受付の人を追った。




