第七十七話
俺が、その提案をしようとしたその時、取調室の扉が開いて、衛士長っぽい人が中に入ってきた。
「ただいま戻りました。お時間をお掛けしてしまい、申し訳ございませんでした」
入ってくるなり、さっきまでの態度とは一転した対応を見せる。どういうことだ? すると、俺の困惑が伝わったのか、衛士長っぽい人は苦笑した。
「先ほどは、身分も分からず、失礼な態度をお見せしてしまいました。ところで、巫女様が居られるようなのですが、お取込み中でしたか?」
そこで、部屋の中にいるソルティアさんに気が付いたようだ。お取込み中というか、会話中だったな。
「えっと、カーディルさんって、お偉いさんだったりしましたか?」
ソルティアさんが、そんなことを聞いている。お偉いさんだったらこんなところにいないと思うがな。
「メシア王国からの使者としてやってきた方です」
衛士長っぽい人がそう言うと、ソルティアさんは、座っていた椅子から飛び上がった。
「そんな方だったんですか! そうとは知らずに、いろいろと詰め寄って聞いてしまって……」
ソルティアさんも、俺が何者か知ったことで、恐縮してしまったようだ。
「全く気にしてないから、大丈夫だよ。それで、手紙はどうなったの?」
今回の訪問の半分の理由はこれだったので、これが分からないと話にならない。
「それは、先ほど首相に渡させていただきました。後ほど首相と直接会える時間を設けておりますので、それまでは一室でお待ちいただくことになりなす」
なるほどね。手紙だけ先に渡ってるのか。俺も内容は知らないから、会っても何も話せないが、それでも会った方がいろいろと都合もいいかもしれない。返事とかを聞かないといけなかったりしたら大変だしな。
「ソルティアさん、そういうわけだから僕は行くんだけど、今度話せたり出来る?」
俺が聞くと、ソルティアさんは首を縦に振った。
「分かりました。私は基本的に街の真ん中にある教会にいるので、いつでも来てください」
教会か。巫女なのになんで神社じゃないのかと思ったが、そこは突っ込んでも返答はないだろう。
「それでは、ご同行お願いします」
衛士長っぽい人がそう言って先導するので、俺はソルティアさんに挨拶をして、取調室を出た。




