第七十五話
俺が、衛士に連れられて行ったのは、一つの小さな部屋だった。そこには、机が一つと、椅子が二つあって、まるで取調室のようだった。俺は、その部屋の片方の椅子に座らせられると、もう一方の椅子に衛士長のような、偉そうな人が座った。
「もう一度聞こう。本当は何をしに来たんだ?」
再び同じ質問をされても答えは変わらないと思ったが、律儀に答えることにした。
「先程言った通り、メシア王国からの使者です。なんなら書をお見せしましょう」
俺は、そう言って自分の懐から手紙を取り出す。それを手渡すと、衛士長っぽい人は勝手に破ろうとする。
「破かないでください。しっかりと書面にはメシア王国の刻印が入っているはずです」
衛士長っぽい人は、俺にそう言われて、それを俺に返してきた。
「確かに、それはメシア王国の刻印だ。しかし、それならば何故空から落ちてきた? 来るのであれば船で来れば良いだろうに空から出てくるなどと言うのはおかしいだろう」
まぁ、それもそうだが、それに関してもしっかり反論は考えてある。
「僕は、メシア王国から飛んできました。それだけ今回のことは緊急ということです。本来ならば、こんな場所に留められている時間も惜しいところです」
俺がそこまで言い切ると、流石に形勢が悪いと思ったのか、衛士長っぽい人は立ち上がった。
「分かった。ひとまずはここにいてくれ。上に取り合ってくる。話はそれからだ」
衛士長っぽい人は、そう言い残すと、部屋の外へと出て行った。部屋には、俺一人が取り残される。って、どうすればいいんだよ。緊急だって言ったのに面倒だな。
そんなことを思いながら適当に待っていると、部屋のドアが開かれた。勿論そこには衛士長っぽい人がいると思ったら、明るい茶色の髪を三つ編みにした少女が部屋のなかに入ってきた。
「すいません! ここにさっき落ちてきた人がいたと思ったんですけど、あ、いましたね」
部屋をキョロキョロと見渡して、俺を見つけるとそんなことを言う少女。
「そうだけど、何かな?」
俺が、いつもの感じで返すと、突然彼女は俺の両手を取って降ってきた。
「うわ~、感激です! まさか本当に言い伝えのように空から降ってくる男の人がいるなんて、びっくりしました」
いや、言い伝えとか言われても分からないんですけど。
「すいません、ちょっと何を言っているか分からないな」
そう言うと、彼女は一瞬きょとんとした表情になって、俺の両手をばっと離した。
「そっ、そっ、そうですよね。すみません、失礼しました。今からきちんとお話ししますね」
彼女は、そう言って彼女の聞いた言い伝えの話を始めた。




