第七十二話
次の日、俺が城に行くと、パティルの部屋に行く途中で、親父に呼び止められた。
「おい、カーディル。ちょっと待て」
俺は、歩きを止めて、親父に向き直った。
「何?」
俺がそう聞くと、付いてこい、とだけ言って、パティルの部屋とは違う方に歩き始める。
「今日から、団長からお前に任務がある。今から団長の部屋に行って内容を聞きに行ってもらうからな」
成る程、と頷いてから、俺はその異常事態に気が付いた。パティルに基本的に常時付き添っていなければならない俺を、わざわざ呼び出さなければならなくなる程の事態だと言うことだ。
「どんな内容なの?」
俺が聞くと、親父は厳しい顔をした。
「俺は聞いていない。直接聞いてこい」
そんな風に話ながら歩いていると、いつの間にか団長である、レンドさんの部屋に辿り着いていた。
俺は、親父が見つめるなか、部屋の扉を叩いた。
「カーディル・ナディアです」
そう言うと、中から、入れ、という団長の声が聞こえたので、扉を開けて中に入る。中には、最初に会ったときよりも少し老けた団長がいた。しかし、老けてはいるが、未だにその力は衰えておらず、その目付きは、最強の剣士の名に恥じないものだった。
「来たな。ヘイゼルから聞いていると思うが、お前には今日から任務で遠くまで行ってもらう」
遠くって何処だ? 俺移動にが一日以上時間が必要というのは、少なくともメシア王国内部には無い。つまり、一日以上かかるような場所か、一日以上かかる内容の任務だってことだ。
「何処に行って、何をすればいいんですか?」
俺が尋ねると、団長は一枚の封筒を取り出した。
「これを、ネルギア連合国の首都にいる、首相のミッドラーに届けてもらう。そして、ネルギアである調査を約三日間してもらう」
「届けるというのは分かりますが、調査というのは何を調べればいいんですか?」
俺が封筒を団長から受け取りながら聞くと、一枚の紙を取り出した。
「調査の内容はここに書いてある。極秘の任務だから誰にも言うな。他に質問が無ければ直ぐに行け」
紙には、短めな文が書いてあるだけだった。俺は、質問も無かったため、礼をして、部屋の外に出た。
部屋の外に出ると、親父がまだいた。
「どういう任務なんだ?」
親父がそう聞いてきたが、極秘のため言うわけにはいかない。
「言うなって言われちゃったから、たとえ父さんでも言えないよ。直ぐに行けって言われたから、早速行ってくるね」
俺がそれだけ言って行こうとすると、親父が腕を掴んできた。
「無事に帰ってこいよ」
親父は、心配そうな顔でそう言ってきた。
「大丈夫だよ。きっと帰ってくるから。行ってきます」
俺は、そう言って親父の手を解いて、城の外へと向かった。




