第六話
生まれてから6ヵ月たった。俺は行動範囲をベッドの上と母親の膝の上だけという状態から脱し、部屋のなか全てまで広げる事が出来たのだ。なぜ、広げる事が出来たのか。それは簡単だ。俺の肉体がハイハイが出来るまでに成長したからだ!これまでの6ヵ月、とてもつらかった。しかーし、まだ羞恥プレイは続いてしまう!これをどうにか無くしたいが、それはどうしようもないだろう。
「楽しいですか?カー君?」
こうして話しかけてきてくれているのは、メイドさんのリンちゃんだ。最近は俺がよく動くことになったのでずっとリンちゃんがつきっきりでいてくれている。参った。魔法の訓練が出来ない。前に寝たふりをしたときもリンちゃんは掃除をしていたので、まったく一人になれない。しょうがないのでこの部屋を観察している。
この部屋は結構良いものらしく、床にはフカフカの絨毯が敷いてあり、壁は全面白で塗られており、天井も真っ白だ。窓もあって、曇りないすごく透き通ったガラスがはめられていた。そこから外を見てみると、似たような、中世の西洋風の建築物が並んでおり、前には石畳で出来た道路があった。そして、その一方は、とても大きな城に通じていた。道路には、あまり多くの人が通る訳ではないが、身なりの良さそうな親子だったり、騎士みたいな格好をしている人もいた。あと、馬車が通る事もあった。
しかし、現代のような車とか、飛行機とかはないようだ。その代わりに空には竜みたいなのが飛んでいた。おぉ、また通った。やっぱり竜には憧れるよな!あの上にのってめっちゃ空を飛んでみたい。魔法で飛ぶのも良いな。
「カー君は、外を見るのが大好きですね」
俺は意思を伝えるため、コクンと首を上下に動かした。これ、まだ首が据わってないからやるとき結構怖いんだよね。
リンちゃんは驚いた顔をしていた。当然か、一歳未満の赤ん坊が話を聞いて頷いたんだもん。これを両親の前でもやって、驚かせてやろう。
「え?えぇ?」
相当動揺してるな。近づいてやろー。近くに行ったら、女の子座りしている膝に手を掛けてぇ、にこり。おお、効果てきめんだな。顔を真っ赤にしてらぁ。
「か...可愛い......」
うわ、とっても良い笑顔だ!反撃してきた。それは卑怯だぞ。
あれ、手が俺の後ろに回されていくぞ。これはもしかしなくても...。
「かわいすぎるぅ!」
わぷ!抱き締めてきた!顔の全面にふくよかな双丘が...。っていうか、リンちゃんは見た目ではメイド服を着ててあんまり大きく見えないけど、結構大きいな。やべぇ、元中学生には刺激が強すぎる。母さんのは親って事で耐えられたけど、この人は別に親でも兄弟でもないから色々な欲求が...。耐えろ、俺の理性!この欲求に負けたら、大きくなったときに色々な支障がでてくる。今はこの顔に当たっている感触だけにしておくんだ。きっとそのうち幻想郷へ行くことが出来る!
俺の理性が負けて、何かしらの行動に出る前に熱い抱擁は終わりを告げた。ふぅ、変な行動に出なくてよかったー。もう疲れた。
「ごめんなさい!カー君!あまりにも可愛かったものですから、ってカー君!しっかりしてください!」
そのまま、俺の意識は途絶えたのだった。ガクン。