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第六十六話

 ラインハルトさんが正面に立った。そして、声を大きくする魔法がかかる。


「先程、父が言ってくれたが、私の結婚を祝いに集まってくれて、どうも、ありがとうございます。私も、あまり格式張った言い方は得意ではないので、このままの口調で言わせて頂きますが、ご容赦ください」


 そう言って、最初の挨拶が終わった後は、ひたすらに婚約者の話ばかりを延々と二十分くらい聞かされた。それは、ラインハルトさんが、彼女と初めて出会った時から始まり、彼女と初めて話した時の話、彼女と初めてデートした話、彼女の家へと挨拶へ行った話など、もう分かった、分かったから、と言いたくなるほどの惚気話で、聞いていた俺たちは、御馳走様としか言えないくらいに甘い雰囲気に酔っていた。


 ふと、婚約者の女性を見てみると、顔が遠くからでも分かるほどに真っ赤に染まっていた。そりゃあ、そんだけ言われれば恥ずかしくもなるか。


 やっと、話が披露宴に辿り着いて、挨拶は終わりになった。この後は、自由に食事になるようだ。しかし、その間に、主賓に挨拶に行かなければならない。位の高い人から行くので、勿論、パティルからだ。それに付いて俺も行く。


「この度はご結婚おめでとうございます」


 パティルが、言ったことを、俺も復唱する。俺はこういったことを学んでいないので、パティルに全てお任せだ。


「いえいえ。パティル様に結婚を祝われるのは、とても嬉しく思います。英雄で有らせられるカーディル殿からの祝いも、無論嬉しく思います」


 パティルが言われるのは当然だし、何時ものことなのだが、俺もなのか? まぁ、そう言われて悪い気はしないな。


 その後、二、三言話した後に、ラインハルトさんは、他の貴族とも挨拶をしなければならないと言って、別の貴族の所へと向かった。俺たちは、やっと食べ物が食える状態になったので、ずっと待ったと言われていた犬のように食べ物へと向かった。


 食べ物は、立食形式なので、簡単に手で摘まめるもので統一してあった。俺とパティルは、どちらもアウトドア系の、運動大好きなので、普段から食べる量も半端ではない。何故パティルが沢山食べると知っているのかというと、何てことはない、食事を一緒に取ったことがあるからだ。その時は、俺と大体同じくらいの量を食べていた。


 どんどんと食べていく俺とパティル。隣で食べているのに、お互いに話しかけることもなく黙々と食べ続けている。食べ物の前には、どんなものも意味はないのであった。そのままラインハルトさんに声をかけられるまで、俺とパティルは食い続けるのだった。

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