第五十八話
行きよりほんの少し時間をかけて、メシア王国の首都まで帰ってきた。その間には、行きでは気にできなかった様々な物を見た。社会勉強になって良かったと思う。
城に行くと、多くの人が、右へ左へと大慌てで動き回っていた。しかし、俺とパティルが帰ってきたのを見ると、国王陛下や、騎士団長や、それ以外にも多くの人が喜んでいた。親父も飛んできて、俺の姿を見ると、抱き締めてきた。おっさんに抱き締められるなんて誰得だよと思ったが、俺のことを心配してくれたのが伝わってきたので、俺も無言で抱き締め返した。
その時、ちょうど伝令兵が、帝国軍の撤退の知らせと、皇帝の伝言を持ってきた。その知らせを聞いて、城は歓喜に湧いた。それもそうか、今から戦争なんていう事態になっていたのが、なくなったんだしな。戦争とかやってない国だから、こういうのに慣れてもいないだろうし。
その後、城の中だけで、ささやかなパーティーが開かれた。今回の事件は、内密で済ませることになったので、大々的に出来ないのだ。しかし、帝国の帝都は、かなり壊してしまったので、そのうち王国の方にも情報が入ってきてしまうだろうが、それはしょうがない。
パーティーでは、俺がパティル、すなわち捕らわれた姫を救った英雄として、今回の事件の一番の功労者とされた。まぁ、俺以外はほとんど動いていないようなものだったから当然っちゃ当然なんだけどな。しかし、功労の割には、あまり大きくない称号を貰っただけだった。まぁ、内密にだからな。そんなに大きなものは出来ないんだろう。しょうがないな。
パーティーの間、俺に擦り寄ってくる貴族が大勢いた。今日のパーティーは、主だった貴族しかいないというのにだ。そうしてみると、今回の事件がそれだけ大きかったことが分かる。
正直、そんな色々が面倒だった俺は、パーティーの間中、ずっと隠れて飯を食い続けた。誰かが近付いてくるのを察知したら、すぐに逃げる、そんなことを繰り返していた。そんなことをしていて、気が付いたらパーティーも終わりに近づいていた。
さて、俺も帰るか、なんて考えながら、最後のしめにと飯をかきこんでいたら、メイドさんから、国王陛下がお呼びですと言われてしまった。さて、どんな用事だろうと思って、呼び出された玉座の間に行ってみると、国王陛下だけではなく、パティルと、第一王子と第三王子、第二王女と、現在帝都へと使者として向かっている第二王子以外は全員揃っていた。ちなみに、パティルは第一王女である。
どんな用事かは分からなかったが、取り敢えず跪いた。すると、すぐに面を上げよと言われた。そして、国王陛下は、俺に大義であったと言った。そして、王子と王女は、ありがとうと言った。その言葉には、王族であり、軽々しく見せられない、自分の家族への愛が籠っているように見えた。俺は、その言葉を聞けて、今回の事件で、強引でも救いに行くという選択をして良かったと再確認出来た。




