第四十九話
私が目を覚ました時、私の体は知らない部屋へと寝かされていました。普段寝ているベッドより、質素な物でした。部屋は装飾などのない、味気のない部屋で、軟禁部屋の様な雰囲気を感じました。
そこまで部屋を観察した時点で、私の精神は、すでに恐怖で磨り減りきってしまいそうでした。しかし、ほんの少しだけでも、武をたしなんでいる身としては、この程度で怖がってはいけないとも思いました。少し耳をすますと、何人かの足音が聞こえているようでした。
一つの足音がこの部屋へと進んで来ます。扉の前まで来て、扉が開くと、そこには、自分と変わらない歳の姿を持っている少年が立っていました。
「やぁ、悪かったね、こんなところまで御越しいただいて」
そう言うと、まるで自分の部屋であるかのように入って来ました。
「ここは何処で、貴方は誰なんですか」
私は、剣術を練習するときの三倍くらいの目付きで睨み付けながら聞きました。しかし、その視線を受けても全く戸惑いもしませんでした。
そのまま、部屋にあったテーブルまで行って、そこにあった椅子に座り込みました。
「まぁまぁ、そんなに怒らないで。そんな鋭い目付きで睨まれたままでは、できる話も出来やしない。取り敢えず、お茶でも如何かな?」
そう言うと、手を二回叩きました。パン! と響いたそれは、部屋中を反射しました。
すると、直ぐにメイド服を着た女性が現れました。その手には湯気の立った紅茶がありました。
その紅茶をテーブルの上で、カップに注いでいきます。二つに注がせると、少年は、ありがとう、と言って彼女を下がらせました。
「こっちで一緒に飲もう。折角準備させたのに、冷めてしまうよ」
そう言われてしまっては、行かないわけにもいきません。しかし、私は寝たときの格好のままでした。出来ればこの格好は、両親と、信頼できるメイドと、ある人にしか見せたくありませんでしたが、他に服があるわけでもないので、仕方なくその格好でいきます。
テーブルまで行って、椅子に座ると、少年は、殆どの女性が見たら気絶すらしてしまいそうな笑顔を浮かべました。
「やっとまともに話してくれるつもりになった? メシア王国の第一王女、パティル・メシア様?」
当然なのですが、少年は私の正体を知っていました。別に隠しているわけでもないので、知っていることは珍しい事ではありませんでしたが、ここでの台詞としては間違っている気がしました。
「もう一度問います。貴方は誰なんですか」
そう聞くと、少年は、さっきの笑顔とは違う意地の悪そうな、しかし魅力的な笑顔で答えた。
「有名だと思っていたけど、知られていなかったみたいで残念だ。僕はリドアール帝国皇帝、ルーク・リドアールだ。ルークと呼んで貰って構わない」




