第四十三話
なんと、今日だけで、二人の王国剣技大会の入賞者と稽古をすることができることになった。こんどの相手は剣聖ラインハルトだ。
俺とラインハルトさんは、距離を空けて向かい合う。武器が真剣なので、注意しないとな。
「始めようか」
ラインハルトさんが、静かに宣言する。
「はい」
俺はそれだけ答えると、武器を構える。今回もレンドさんとやったときと同じルールだ。つまりなんでもあり。
構えていると、何故かラインハルトさんが剣を横に振った。すると、そこに魔粒子が集まり、まるで、剣撃を飛ばしたかのように俺の方に向かってきた。
俺の方に近づいてくる魔粒子。それは、まるで燃えているかのように鮮やかな赤色で迫ってくる。俺は普通に飛んで避けた。
「これを避けるのか」
ラインハルトさんは、それだけ言うと俺との距離を詰めてきた。俺の目前まで来ると鋭い剣が俺の全身を真っ二つにするために振られる。それを後ろに体を反らして避けようとしたが、また魔粒子が集まっていたので横に避けた。
「危ない魔法ですね!」
俺が避けながら叫ぶと、ラインハルトさんは、ニコッと笑うだけで次々と剣を振ってくる。
それにしても、これを真似することは出来るのだろうか。こんどやってみよう。
ラインハルトさんの謎の攻撃を避けていく。さっき剣で防ごうとしたら、すり抜けて来たので、その手は使えない。厄介な攻撃だ。
そこで、俺は魔粒子を剣に纏わせて守ってみた。すると、謎の攻撃がぶつかって砕けた。
ラインハルトさんがそれを見て驚愕の表情になる。
「なんで守れるんだ!?」
「色々出来るんで」
その驚いた一瞬の隙をついてラインハルトさんのそばに近づいて剣を胸に突き立てる。寸止めだけど。
「これで終わりです」
「そうだね。私の負けだ」
それだけ言うと、大きな笑い声が聞こえてきた。
「はっはっは。負けたか、ラインハルトよ」
そちらを見ると、案の定レンドさんだった。
「まだまだ私も修行が足りませんね」
ラインハルトさんは、それを聞いて、そう言った。
「いつも見ていて思うんですが、それはどうやっているんですか?」
パティル様が、ラインハルトさんに疑問をぶつける。俺もあれがどうやるのか、少し知りたいな。
「気を送り込んでいるんです。剣に気を送り込んで、それを放出させています」
気ってなんだ。魔粒子のことか?
「パティル様も、剣術をやりつづければ、分かるときが来ると思います」
レンドさんがそう言う。気って魔粒子だと思うんだが。だって魔粒子が出てたし。
「じゃあ、頑張っていればそのうち分かりますね!」
レンドさんの言葉を聞いて、パティル様は嬉しそうだ。剣術を頑張りたいと言う王女様か......。




