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第三十四話

 午後になった。魔法の時間だ。魔法は危ないのでグラウンドで行う。そこでは、ヒュミス先生が、既に待っていた。


「えーと、ナディア君ですね。魔法の授業を受けるんですか?」


 ヒュミス先生がそう聞いてくる。当然受けます。


「はい。お願いします」


「そうですか。じゃあ、ここで他の子を待っていてください」


 パティル様もやってきた。ヒュミス先生と、二、三言話してこっちに来た。


「授業受けるんですね!」


 とっても嬉しそうにそう言ってくる。


「うん。家族も良いって言ってくれたしね」


 というより、この選択肢しかなかったな。やってもやらなくても管理されてた。


「私の魔法に沢山驚いていってくださいね」


 おぉ、どんだけ自信あるんだよ。まぁ、見させてもらうとしようか。





 残りの二人も揃った。とうとう始まるようだ。


「全員揃ったので始めます」


 とうとう始まるのか。ちゃんと学ばないとな。


「魔法はイメージと詠唱が重要です。まずは、私が見本を見せますので、ちゃんと見てくださいね」


 詠唱!? 詠唱が必要なのか!? 俺は詠唱してないぞ。


「”ファイアーボール”!」


 ヒュミス先生は、片手を前方につきだして言うと、その手の先から魔粒子が出てきてアーチを作り出した。その後、ヒュミス先生の手に近い方から魔粒子がぶつかり合って火が起こる。それは、あたかもヒュミス先生の手のひらから出たかのようになった。


「この様に、手のひらから出されるのがこの魔法です。最初は皆出来ないので、根気よくやってみてください」


 え? 手のひらから炎は出てないよね? もしかして、魔粒子見えてないの? 聞いてみるしかないな。


「先生、その魔法、手から出てないですよね?」


 聞いてみると、周りから怪訝そうに見られた。ヒュミス先生も同じような顔をしている。


「ちゃんと見ていなかったんですか? 手から出ていたはずですよ?」


 そんな......ばかな......。


「だって、魔法って小さな粒子の反応で起こっているんじゃないんですか?」


 ヒュミス先生は、おかしなものを見るような目で見てきた。


「違いますよ。魔法は、イメージを言葉にして出すことで発生するんですよ」


 嘘だ! 嘘だといってくれ! じゃあ俺のこれはなんなんだ。


 俺は魔粒子をそのまま手から出す。


「今、俺は魔法の元を出しているはずです。分かりませんか?」


 ヒュミス先生の顔には、とうとう怒りが現れ始めた。


「そういうなら、さっきの魔法をやってみなさい」


「分かりました」


 俺は直ぐに魔法を再現する。たしか、魔粒子をぶつかり合わせていたはずだ。魔粒子は、しっかりと俺のイメージ通りに動き、俺の手から炎のアーチを作り出した。


「これでどうですか?」


 ヒュミス先生は、とても驚いた表情で俺を見ていた。


「まさか、無詠唱ですか! 本当にいたんですね」


 どういうことだ? 普通じゃないのか?


「とりあえず、授業はこのまま進めます。ナディア君は、放課後生徒指導室へ来てください」


 俺は、学校五日目にして、二度目の生徒指導室行きを命じられた。

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