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第三十話

 俺と先生が距離を開けて構える。先生の武器は細いレイピア見たいな物だ。


「お前に先手はやるぞ?」


 先生がそう言ってくるが、俺にはそんなことに答える暇はない。何故なら先生の構えに隙がなくて、攻めあぐねているからだ。


「来ないのか? ならこっちから行くぞ?」


 先生がゆっくりとこちらに迫ってくる。ここで後ろに下がったら負ける。そう思った俺はその場で待ち構えた。


 そして、先生が間合いに入った瞬間、先生の姿がぶれた。


 ほとんど勘で右に全身で避ける。さっきまで俺がいたところに鋭い突きが刺さった。


「これをよけるのか。流石は流剣の息子と言っておこう」


 そう言う間にも先生は俺に斬りかかってくる。縦、横、斜め、突きと秒間三回くらい斬撃が俺に襲いかかってきて俺は守るのに全力を注がないと凌ぎきれない。


 このままでは埒があかないので、隙を作るため先生の剣を払う。上から振られた剣を上に弾き返す。その隙に体に剣を叩き込もうと横に凪ぎ払う。しかし、その攻撃は空を切った。


「いい判断だが、相手の動きもしっかり見ろよ」


 先生は体を半歩後ろに動いて避けたようだ。少しの隙が出来たので俺も急いで後ろに下がる。俺は既に息も絶え絶えになっている。先生は汗ひとつかいていない。


「はぁ......はぁ......先生......強すぎです......」


「王国四位の力は伊達ではないからな」


 涼しげにそう答える。


「むしろこれだけ堪えるお前の方がすごいだろう。お前本当に五歳か?」


 王国四位に食らいつけるのは王国二位のしごきを受けているからだろうな。


「生まれて五年しか経ってませんよ」


 なんとか息も整った。次は俺から攻める。いっきに間合いを詰めて横に切りつける。先生は剣で防いだ。つばぜり合いになる。力ならなんとか俺の方が強い。これで押し切る。


「お前は力が強すぎるだろう......」


 シュバルツィエ先生も苦しげにしている。やっぱりこれでいくしかないな。


 しかし、シュバルツィエ先生は剣を傾けていくことで俺の剣を逸らす。全力をここに注いでいた俺は逸らされて隙を晒してしまった。そこを的確におさえられて負けてしまった。


「頑張ればお前らもこのくらいに強くなれる。これからの練習しだいだからな」


 疲れはてて倒れている俺を尻目に、シュバルツィエ先生はそう説明していた。先生くらいに強くなるのはそんなに簡単じゃないですよ......。

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