第二十九話
その後もパティル様と何度かやったが、全て俺が勝った。後半はかかってくるパティル様を俺がからかっていて、練習にすらなっていなかった。
パティル様は既に肩で息をしている。対して俺は涼しげにしている。どれだけの力差があったかわかるであろう。
「調子が良ければ絶対に負けないですからね!」
王女様が顔を真っ赤にして言い訳を言う。王族がこれで良いのだろうか。一昨日はすごいのかなぁと思っていたが、今では負けず嫌いの女の子という印象しかない。
「それは調子が良いときに言うべきだよ」
ぶっちゃけ俺が強すぎたな。こんなに実力に差があるとは思ってなかったな。
「おい! 自習組! 集まれ!」
突然大きな声でシュバルツィエ先生に呼ばれた。自習組って俺らのことだよな? すぐに集まる俺たち。
「今から試合の見本を見せるからな」
シュバルツィエ先生は、武器の振り方の練習をしていたグループに向けてそう言って俺たちの方を向いた。
「お前らの中で一番強いのは誰だ?」
あ、二人組を変えてなかったからもうひとつのグループの力が分からないや。そう思っていたら、何故か俺以外の三人が俺に向けて指を向けていた。おい、パティル様、俺より強いんじゃないのかよ。
「そうか、お前かナディア。見本として私の相手をしろ」
な、なんだと! あの最速殿が拙者の相手をしてくださるというのか!
「お願いします!」
「おぉ、そんなに嬉しいのか。まぁそれはいい。全員しっかり見ておけよ。分かったな」
「「「はぁい」」」
シュバルツィエ先生の言葉にクラスの全員が返事をする。
「それとお前はその武器でいいのか?」
先生すらも心配している。どんだけ異様な感じに見えているのだろうか。
「そんなに重くないので大丈夫です」
「自分の体の大きさに合ったものを選んだ方が戦いやすいぞ」
たしかにな。振り回す空間が少なくなるしな。
「じゃあもう少し小さいのに変えてきます」
「そうするといい」
俺はさっき武器を選んだところへ向かう。後ろから、さっきは本気じゃなかったんですか、という声が聞こえたが無視した。
俺は結局俺の身長の半分よりちょっと長いくらいの剣を選んだ。一番振りやすい長さだったからだ。
「選んできたのか」
シュバルツィエ先生が尋ねてくる。
「はい」
「じゃあ始めるとしよう」
そう言って俺と先生は距離を取った。勝負の始まりだ。




