第二十八話
「それじゃあ、私達もやりましょう」
王女様が、そんな風に言ってくる。
「そうしよう」
俺も賛同する。
「カーディル君はそんなに大きな剣で大丈夫なんですか?」
俺の身長の二倍くらいある剣を見ながらパティル様は、心配してくれる。
「大丈夫だよ。これでも軽いくらいだし」
ぶっちゃけ俺のナイフの方が重い。なんなのあれ。おかしいよあれ。
「それならいいんですけど......」
まだパティル様は半信半疑だが、ここは押しきる。
「大丈夫だから、やろう?」
まだパティル様は迷っていたが、やがて吹っ切れたような表情になった。
「じゃあやりましょう。それでやることを後悔させますよ」
おぉう。強気だな。
「じゃあ、後悔させてみてよ」
ぶっちゃけ、親父としかやってなかったから、自分がどのくらいなのかよくわからないんだよな。今回のではかれるといいな。
「さぁ、来い!」
俺も本気を入れて挑む。
パティル様は、しっかりと俺の方に剣先を向けて油断なく構えている。そのままにらみあっていてもしょうがないので俺から攻める。武器が変わって、間合いが一気に伸びたので感覚がかなり違うがなんとかなりそうだ。
やっと自分の攻撃が通じるところまで行くと、パティル様が一気に入り込んできた。そこを、俺の剣がパティル様の頭に向けて振りおろされる。それをギリギリで避ける。しかし、その時には俺の次の準備は終わっていて、剣の刃の部分がパティル様の首筋に当てられた。
「これで終わりですが、どうでしょうかパティル様」
ちょっとからかいぎみに言ってやった。
パティル様の顔が真っ赤に染まっていく。
「今のは油断しただけです! 次は簡単に勝っちゃいますからね」
わたわたと手を振りながら抗議してくるパティル様の首筋に当てていた剣を戻す。
「じゃあもう一度やろう。パティルさん」
「次は、ぜーったいに勝ちますからね」
そう言って、再び離れてお互いの調子を窺う。今度は向こうから攻めてきた。しかし、元々の身体能力の差があるので、パティル様の動きは俺にはとてもゆっくりに見える。パティル様が俺の間合いに入る直前で俺の使っている剣を地面に叩きつけた。しかし、それには目もくれずに間合いに入ってくる。もしかして、隙だとでも思っているのだろうか?
「がら空きですよ!」
俺に向けて剣を横に振り抜こうとしてくるパティル様。俺の身の安全とか考えているのだろうか。そんな事を思いながらも俺の体は飛んでパティル様の剣を避ける。その勢いのままパティル様は一回転してもう一度俺に切りつけてくる。それを俺の剣でもって守って、すぐ近くにあるパティル様の体を抱き抱える。
「きゃっ! 何するんですか!」
顔を真っ赤にしながら再びの抗議。しかし、その距離はさっきよりも近い。
「あまりにも可愛いので抱き抱えちゃいました」
俺はおどけて答えて見せた。
「か、可愛いって、えぇ!?」
おぉ、思った通りに動転してくれてこっちも満足だ。しかし、これってまずいかな? 王族だしなぁ......。
「って、騙されませんよ。早く下ろしてください!」
うおっ、暴れられたら危ないじゃん。
「分かったから暴れないで」
すぐに下ろす。
「本気でやったら、もっと強いんですからね」
パティル様は頬をふくらませながらそんなことを言った。




