第二十六話
そのあとは、腹筋の回数を数えたり、握力を調べたり、幅跳びをしたりした。全てでこれまでの記録を大幅に更新したらしい。俺は魔法で超回復をするっていうずるをしたからな。このくらいなら余裕だ。
「ナディア、お前には話があるから、放課後に生徒指導室に来い」
「わかりました」
こうして、俺はシュバルツィエ先生に放課後呼びだされた。
生徒指導室は職員室の隣にある。職員室は校舎の入り口から入って右側にあるので、そのさらに先が生徒指導室ということになる。
コンコン、と扉をノックすると、中からシュバルツィエ先生の入れという声がしてきたので中に入る。中には、黒く塗られたかっこいいテーブルと、同じく黒に塗られた椅子があった。そして、シュバルツィエ先生は扉から入って正面にある椅子に座ってこちらを見ていた。
「なんだ?座っていいぞ」
そう言われたので、先生の向かいの椅子に座る。
「今日呼んだのは、今日の身体能力の計測で、何故、あんなに動くことが出来たのかについてだ。お前、これまで生きてきて何をやっていた?」
なんて聞かれ方だ。五歳児でこれまでの生き方を聞かれるとは思わなかった。
「ちょっとしたトレーニングくらいしかしていませんよ」
......嘘ですけどね。魔法トレーニングがちょっとしたですむわけがない。
「嘘をつくな」
案の定見破られた。
「でも、これは本当にトレーニングの結果ですよ。これは間違いないです」
魔法を使っていること以外は普通のはずだ。多分。
「じゃあ、どんなトレーニングをやっていたんだ?」
「どんなと言っても腕立て伏せと腹筋とランニングを出来るギリギリまでやっていただけです。三歳からは剣の練習の方が多かったですし」
「そうか......」
いちようシュバルツィエ先生も納得してくれたようだ。そのあとは、ちょっとした話をして帰してもらった。
家について、夕食の時間になった。
「パパ、王国剣技大会って知ってる?」
ふと気になったので聞いてみた。
「あぁ、それか、どこで聞いてきたんだ?」
やっぱり親父は知っているようだ。
「学校で聞いてきた。それに、担任が最速のシェリアさんだしね」
よく考えてみるとすごいよな。なんでそんな人が学校の先生とかやってるんだよ。騎士とかやればいいのに。
「あぁ、あの娘な。たしかに速かったな」
「知ってるの?」
「そりゃあ、大会でやったからな」
「ほんと?」
「あぁ」
ていうことは、勝てなかったのか? あれ、待てよ、そういえば、親父ってヘイゼルだよな。
「勝ったの?」
「勝ったぞ?」
おぉ!
「じゃあ、流剣ヘイゼルってパパのこと?」
「そんなの知ってるのか。そうだ。俺がそれだ」
マジか、親父は王国で一、二を争うほど強いのか。
「まぁ、最強のレンドには勝てなかったんだがな」
「へぇ、そんなに強いの?」
「あぁ、手も足も出なかった。どうやったらあそこまで強くなれるのか」
「へぇ」
俺もそのくらい強くなれるといいな。




