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第十六話

 ネルが産まれたので、その為の部屋が必要になった。なのでこれまで物置として利用していた二階の空き部屋を掃除して使うことになった。その作業は俺も手伝った。家具類は既に買ってあったようで、配置するだけですんだ。


 ネルは産まれたばかりの俺と同じように部屋から出ないようにするらしい。なんかこの国にはそういう風習があるらしい。産まれて1年は一つの部屋を出ないっていう。何でだろうね?


「べろべろばぁ」


 そして、今俺はネルの相手をしている。親父はもう城に行ったし、母さんも学校へ行ってしまった。こんなに放っておいて大丈夫なのだろうか。母さんいわく「リンちゃんがいるから良いのよ」だそうだ。良いわけないと思うのだが。


「カー君、ありがとうございます」


 リンちゃんが部屋に入ってきた。俺にネルのお守りを任せて他の部屋の掃除をしていたのだ。


「大丈夫だよ。ネルちゃんもいい子にしてたしね」


「本当は私がやらなければならないですから」


 とはいっても、そんなにやることないでしょ、と前に言ったらそんなことないと言われてしまった。普通はオムツの世話や、ミルクの準備に機嫌も見なければならないからとても大変なんだそうだ。俺は、オムツも1日3回くらいだったが、普通なら10回以上、20回くらいすることもあるそうだし、ミルクも1日5回で規則正しく同じ時間に貰っていたからとても楽だったらしい。ネルはどうかというとそんな感じで普通らしい。転生している可能性があるかもなぁ、と思っていたが、無さそうだな。


「毎日ご苦労様」


「いえ、仕事ですから」


「でも、本当に毎日いるよね。ちゃんと休み貰ってる?」


「大丈夫ですよ。それに......っとと、これは言えないのでした。とにかく大丈夫です」


 それならいいんだがなぁ。この世界には労働基準法はないのだろうか。


「うぇーん。うぇーん」


 ネルが泣き出した。どうした?


「はいはい、ミルクですね。ちょっと待ってくださいね。カー君、ちょっとネルちゃんを見ていてくれませんか?」


「わ、分かった」


 えぇ!?リンちゃん何で分かったの!?すぐにネルを抱き抱えながら驚愕の目をリンちゃんに向ける。


「じゃあ、ミルクを持ってきますね」


 そのまま部屋を出ていってしまった。もうこの姿にも驚かなくなっちゃったなぁ。周りから見たらすごい景色だと思うんだが。だって4歳児が赤ちゃんを抱き抱えてるんだぜ。赤ちゃんはそんなに軽くないだろってなるよな。最初は驚いてくれていたんだがもうなくなってしまった。ていうか、俺も異常だよな。ネルは軽い方ではあるが平均よりとても軽いという程ではない。そんな赤ちゃんを重さがないのかというほど簡単に抱き抱えられるんだから。見る側だったら機械なんじゃないかと疑う程だな。まぁこの世界には機械ないっぽいけど。


「ミルクを持ってきました」


 リンちゃんが戻ってきた。その手にはミルクを持っている。


「ネルちゃん、ご飯の時間ですよ」


 リンちゃんにネルを預ける。俺は後は見ているだけだ。ネルはミルクを美味しそうに飲んでいる。


「美味しいですか?」


 なんとなくリンちゃんも嬉しそうな気がした。


「そういえば、さっきは何でネルちゃんがお腹がすいたって気づいたの?」


「何回も見ていればなんとなく分かるようになりますよ」


 そうなのかなぁ、俺の時はあんまり分かってなかった気がするけどなぁ。


 ネルはミルクを飲み終わったらすやすやと眠りについてしまった。

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