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第百三十九話

 竜に巻き起こった大爆発によって、視界が一瞬で爆炎で遮られる。数秒、固唾を呑んでそこを見守ると、段々と煙が晴れてくる。そこには、満身創痍の竜の姿があった。しかし、その巨体はまだ倒れていない。二つの極大攻撃を受けてなお、立ったまま雄大な姿を晒している。


「まだ倒れてくれないの?! あれだけ強い攻撃を当てたのに……!」


 更に攻撃を浴びせるべく、竜の巨体に近付こうとする。しかし、そんな俺を、何故か初夏が遮った。


「何するの! 竜はまだ倒れてないんだよ!」


「いや、もう終わりだ。今に……ほらな」


 初夏がそう言うと、その巨体が棒か何かの様にゆっくりと倒れていく。そして、着地し、衝撃で周囲に風が起こった。竜は、既に事切れて、それでもなお立っていたのだろう。


「終わったのかな……?」


「ああ。最後のあれはいくらなんでも強力過ぎたな。竜だけじゃなく、他の物までふっ飛ばしてやがる。扉は大丈夫だとは思うが……」


「そうだった! 扉はどうなの?」


 当初の目的を思い出して、俺と初夏は周囲を散策し始める。探して数分、扉が、爆心地の中心で、何事もなかったかのように立っているのを見付けた。中から他の魔獣は出て来ていないようだった。


「あの爆発でも大丈夫だったみたいだね」


「そうみたいだな。それにしても、この扉は少し頑丈過ぎる。あれだけの攻撃を受けても無傷というのはな」


「本当だよ。壊れちゃえば、わざわざ封印しなくても済むかもしれないのに」


「いや、それはやめた方がいいだろう。あくまで予測だが、この扉を壊したら、向こうとこちらの世界が繋がりかねない。魔獣が入り放題になるのはまずい」


 俺が出した案は、素気無く却下された。そして、初夏が扉を封印しにかかる。あれだけの戦いの後に、魔獣が襲ってくるとも思えなかったが、一応警戒をする。


 初夏の封印は、すぐに終わった。意外な激戦続きで想像より疲れていたのか、俺は思わず座り込んでしまった。それを見て、初夏も同じように座り込む。


「今日はここまでにするか」


「そうだね。急いで失敗はしたくないし。明日からは、流石にあんなのは出ないよね?」


「さあな」


「そのくらいは断言してよ」


「とは言ってもな、向こうにはもっと強いのがわんさかいるからな。断言しようもない」


「え……もっと強いのいるの」


「まあな」


 それっきり、初夏はそっぽを向いて寝転んでしまう。俺としては、強いのについてもっと聞いておきたかったが、初夏が話したくなさそうにしているので、それはやめて、青い空を見上げた。

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