第十話
今日は親父が剣を買ってきてくれるらしいが、それまで暇なので我が家を紹介しよう。この家はそこそこ大きく、御屋敷というほどではないが、裕福には感じられる程度だ。2階建てで、一階には玄関とリビング、お客様用の寝室、他にはトイレと洗面所がある。トイレはなんと水洗だ。水は高いところから流しているらしい。どうやって運んでいるのかと聞くと魔法だと言われた。そりゃあ簡単だろうなと思った。2階は主に寝室になっていて、俺の部屋と両親の部屋、リンちゃんの部屋があって、あと一つは物置になっている。ネリアさんはこの家に住んではいないようだ。すべての部屋が高級そうな感じに整えられている。やっぱ貴族なんだなぁと思った。
あと、庭に出して貰えるようになった。これが非常にありがたい。魔法の練習がとてもやりやすくなった。水とか出しても大丈夫だし。水の魔法はいまだによくわからないんだよな。出したあとは消えるんだけど、他の物に当たるとそれは湿るっていうか、濡れてしまう。だからあんまり部屋の中では出来なかったし。ちなみに、まだ親とかには言ってないし見せてもいない。もっと大きくなったときに突然見せて驚かせて見たいからだ。
今は何種類かの魔法を組み合わせる練習をしている。例えば、水を熱の魔法で熱してそれを動かすとか。もっと高度なのだと水を凍らせてそれを風でめっちゃ速く動かすとか。相当上達したと自負しているのでどうにかしたい。
そうこうしているうちに、とうとう親父が帰ってきた。どんな剣が俺を待っているのか。早く見たいぜ!
「カーディルよ。お前の望んでいた剣を買ってきたぞ!」
「早く!早く見せて!」
「まぁ、ただの木剣だがな」
外で買った木剣と思われる包みを開いていく。その中には小さめの大人からしてみればナイフぐらいの剣が入っていた。まぁね、包みを見たときにね、やけに小さいなぁとは思ったんですよ。だけどここまでとは思わなかった。
「小さくない?」
「まぁ、普通の剣からすれば小さいが、今のお前じゃそのくらいが限界だと思ってな」
「そんなわけないよ!」
「じゃぁ、試しに持ってみろ」
さすがにこのサイズの剣?というかナイフを持てないわけがないだろ。親父の手からナイフを受けとる。
ずしっ。手が地面に付いた。あれ?俺はナイフを受け取ったはずなんだが何で手が地面に付いていて、その手の中にナイフがあるんだろう。持ち上げようとするが全く上がらない。あ、手が重みで痛みを感じてきた。おもっ!
「パパ!ちょっと持って!重い!痛い!助けて!」
笑いながら親父は俺の手の中のナイフを持ち上げた。まるで重さなんてないかのように持ち上げられるナイフ。
「分かったか?ナイフでもこんだけ重いんだ。今のお前が普通の剣を持とうとしたら手が潰れるぞ?」
「うん、分かったよ」
なんであんなにナイフが重いんだよ。
「でも、あのぐらいの大きさの木の棒を持ってもあんなに重くなかったよ?」
「それはな、このナイフが武器として作られているからだ。木の棒はなにもない棒だ。それが同じ重さな訳がないだろ」
「え?だって、おんなじ木で出来た物なのになんで違う重さなの?」
「武器と棒の違いだ。武器を作ってるやつだったら何故か知ってるのかもしれないが俺はしらん。いつか聞いてみろ」
へぇ、この世界はどうやら物理法則まで違うようだ。今度ちゃんと調べないとな。
「そこでだ。カーディルにもう一度聞く。昨日も聞いたがお前は剣が欲しかったのか?それともやりたいのか?」
「やりたい」
そんなの決まってるじゃないか。剣と魔法は最高の夢だ。異世界来たら他に何をするんだよ。
「分かった。ならまずはこれから毎日腕立て伏せと腹筋、それにランニングをやれ。出来るギリギリまでやれ。だがお前はまだ2歳だ。あまり激しくはやるなよ」
「分かった」
あんな重い物を振り回すんだ。それ相応の筋力が必要だよな。
「今日はもう時間がないから明日からやれよ」
頷くことで返事とする。明日からハードな毎日になりそうだ。




