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第百三話

 頂上へ向かう最後の階段を登りきると、小さな広場があった。そして、その中央に鎮座する大きな影が一つあった。それは、俺に目を向けると、ゆっくりと二足で立ち上がった。イメージしていたように、猿のようだった。高さは、おおよそ二メートルと少しぐらいか。その身長にしては、奇妙に長い手足だった。キートさんが言ってたように、その全てが毛に覆われている。そして、額の部分に大きな水晶のようなものが、第三の目のように埋まっていた。


「キエェェェェェ!」


 猿は、立ち上がってすぐに俺の方に飛び掛ってきた。それを下を潜る様にして躱す。下を潜った時についでに剣を抜いて下から切り付ける。下にいた俺に血が降りかかった。その痛みからか猿は叫び声を上げながら着地して俺と距離を取る。


 この一瞬で、猿の俺を見る目は獲物を見る目から、危険な敵を見る目に変わった。


「一応聞いてみるけど、お前は何なの?」


 猿っぽいとはいえ、額の水晶のように前の世界とは違うので、もしかしたら言葉も分かるかもしれないという期待を込めて、一言聞いてみる。しかし、その返答は再びの突撃だった。


「やっぱり言葉は持ってないんだね!」


 挑発をしながら突撃を避ける。そしてそこに反撃をしかけようとすると、猿はそれをさっと避けた。俺が反撃したのを見て学習したのだろう。やはり知能はあるようだ。


 俺に与えられた任務は強い生物の討伐と一部を持って帰るというものなので、遠慮なく倒しにかかる。いっきに猿に近付き切り付ける。それを避ける猿をさらに追撃する。さっきまでとは逆にこっちから攻め上げる。しかし、猿は意外にすばしっこく俺の攻撃を避け続ける。


 一際大きい攻撃を避けられて、再び仕切り直しのように距離が離れる。魔法は体を過度に傷付けてしまうのであまり使いたくなかったのだが、使わざるを得ないようだ。


 小手調べに、刃のような風を複数飛ばす。しかし、猿はこれを軽々と避けてしまった。何かの感覚器官でも持っているのだろうか。分からないが、さらに数を増やしてやってみる。それに加えて、斬撃も見舞わせる。猿は段々と避けられなくなっていき、ついに猿を絶命させた。


 どこか一部分を持って帰れということだったので、額にあった水晶を抉り取る。それにしても、思ったよりも簡単に倒すことが出来た。確かに強かったが、危険とするほどではない。キートさんくらいの人が五人もいれば、十分に倒せる強さだ。あそこまで危険だと言うようなものではない。


 そう思った時、周りの草木からゴソゴソと音がした。そこから、猿が二匹、三匹と出てくる。やはり一筋縄ではいかないらしかった。

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