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プロローグ

生暖かい目で拙作を見守ってください

 今日は待ちに待った卒業式だ。生まれてこのかた十五年、死なずに生きてきた甲斐があったと言うものだ。


 ピシッと学ランを着て学校へ向かう。この三年間苦楽を共にしてきたこの学ランとも今日でお別れだ。ありがとう、学ラン。


 なぜ、こんなに卒業式を喜んでいるのかというと、俺は一つルールを決めていたのだ。それは、学校などを一度も休むことがなく行くことが出来たらニートになる、というものだ。なぜこんなルールを決めていたのかと言うといろいろあるのだが、それはおいておくとして。とりあえずは···ニート万歳!!!最高!!ひゅう!


 さーて、最高のニートまであと少し。やることは卒業式にでて帰ること、ただそれだけだ。


 とうとう学校の正門のところに着いた。あとは、ここをくぐって「きゃー」なんだ!


 悲鳴は後ろから聞こえてきた。そっちを見ると横断歩道を渡ろうとしたところで、トラックにはねられそうになっている同じ学校の女の子がいた。学校の中で一番綺麗なんじゃないかって言われてる子だった。周りの人たちは見ているだけだ。っていうかトラック遅くねぇか、結構時間たってたと思うんだが。


 そこで気づいた。周りの全てが遅くなっていることに。そして、自分は普通に動けている。なんだこりゃ。しかし、自分だけ普通に動けているということはきっと助けろと神様が言っているんだ。そうだ、助けなければなるまい。


 そして助けようとしてその子の方へ行こうとしたらとたんに周りのスピードが早くなってきた。え、これどういうこと?トラックもだんだんと元の速さに戻っていく。しかし、助けようとした自分のからだはもう止まらない。こうなったら体当たりでも女の子だけでも助けなきゃ男じゃねぇ。そこで俺は女の子を突き飛ばした。


 驚いたような顔を見せる女の子、迫ってくるトラックの耳を裂くようなブレーキ音につつまれながら、あーあ、ニートになれなかったな。何て思いながら俺は死んだ。

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